Scriabin 交響曲第2番ハ短調/交響曲第4番ハ長調「法悦の詩」
(リッカルド・ムーティ/フィラデルフィア管弦楽団)
Scriabin
交響曲第2番ハ短調(1989年)
交響曲第4番ハ長調「法悦の詩」(1990年)
リッカルド・ムーティ/フィラデルフィア管弦楽団/フランク・カデラベック(tp)
EMI TOCE7592
最高。
音質良好、フィラデルフィア管弦楽団は厚みのある瑞々しい響きのままRiccardo Muti(1941-伊太利)壮年の引き締まった筋肉質を加えてクリアそのもの。露西亜の粘着質、重さ、暗さなど微塵も感じさせない。この演奏はオーケストラの技量、音質ともいままで聴いたScriabin中出色の完成度でした。
交響曲第2番ハ短調は1902年初演。三管編成、打楽器はティンパニ、シンバル、タムタム。ハープはなし。デーハーに色彩的な魅惑のサウンドと思うけれど、演奏機会は少ないそう。初演の評判は散々、不協和音の連続に耐えられないとの声もあったそうだけど、後の作風と比較したり、現代の耳には保守的に甘美、ゴージャスな響きと感じます。作曲者本人は駄作と感じていたそう。
第1楽章「Andante」浪漫風情に雄弁、平易、甘く切ない旋律が弱音から浮かび上がる鬱々としたはじまり。後年の彼の作風からみるとずいぶんと保守的と感じます。ちょっぴりWagnerも連想させました。(7:53)
途切れなく第2楽章「Allegro」へ。ややテンポ・アップして荘厳に躍動を加え、木管の絡み合いもデリケート、やがて金管もゴージャスな響きにうねり、高揚します。ここはオーケストラのパワーを感じさせるところ。(11:36)
第3楽章「Andante」甘美浪漫香るな優雅な緩徐楽章。冒頭フルートの爽やかな鳥の囁きとヴァイオリン・ソロが絡み合う平明な響きでした。ここにも晦渋な不協和音など存在せず、情感の盛り上がりはちょっと安易、まるで「トリスタン」風。ここのトランペットの明朗な音色、ホルンも雄弁。ラストも鳥の声に締め括り。(13:45)
第4楽章「Tempestoso」はスケルツォでしょうか、嵐のように不穏な始まり。テンション高い弦や厚みのある金管、打楽器が炸裂します。ここもWagnerの色濃い影響が感じられました。(6:05)
アタッカで第5楽章「Maestoso」へ。金管のファンファーレが響いて、勝利は近づいている感じ。いかにも風、設定がちょっと安易に決まって、フルートの鳥の声も回帰、金管がWagner風に爆発して平穏なクライマックスを迎えました。「不協和音の連続に耐えられない」との評価はどこからやってきたのか?(8:48)
「La Poeme de l'extase」は1908年初演。こちらはもうすっかりScriabinの個性が確立して、一番人気でしょう。Rimski-Korsakovは「卑猥だ」と否定したそう(←的を射ている!)。四管編成。ティンパニ先頭に6種の打楽器、チェレスタ、ハープ2台にオルガン迄入る大編成。
不安に遣る瀬ない静かな不協和音(「神秘和音」なんだそう)から始まって、Frank Kaderabek(1929-2023亜米利加)の美しくスムースなトランペットが全編活躍する単一楽章作品。フィラデルフィアの豊満な響きに、ムーティの表現は細部クリアに明るくキレがあって、曖昧さがないもの。パワフルな高揚は交響曲第2番のような安易さを感じさせない。この演奏に心酔すると、他のはちょっと怖くてなかなか聴けない。(20:11)
(2026年9月5日)
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