Schumann チェロ協奏曲イ短調
Brahms ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲 イ短調
(マリア・クリーゲル/イリヤ・カーラー)
Schumann
チェロ協奏曲イ短調
Brahms
ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲 イ短調
マリア・クリーゲル(vc)/イリヤ・カーラー(v)/コンスタンティン/アイルランド・ナショナル交響楽団
NAXOS 8.550938 1994年録音 333円(中古)
マリア・クリーゲルは気になっているチェリストだけれど、なんせ「系統的にCDを集める」という風習がないものだから、彼女のアツ〜いKODA'LY(8.553160 1994年)以来、ようやく(中古で出会って)聴く機会を得たもの。NAXOSは賞賛して止まない品揃えに驚嘆しきりだけれど、正直税込み@1,000以上の世界はワタシにとって少々ツラいものがあるんです。でも、売れているから中古では頻繁に入手可能。ありがたい。
ティモラ・ロースラーという別嬪チェリストがBRILLIANTに録音していて、ずいぶんクールで爽やかでした。その流れで、棚から探し出したのがこの一枚。アンドルー・コンスタンティン指揮するアイルランド国立響がちょっと薄い、というか少々ヘロ気味。Brahms ではかなり致命的な弱点だけれど、ま、ガチャガチャしていないし、努力の跡は見られるか、ということで勘弁してもらって楽しみましょう。
Schumannの作品は、おおよそ気に入っておりまして(交響曲を除く)、自由奔放勝手気儘変幻自在旋律は、構成厳格なる交響曲には似合わない、ということでしょうか。チェロ協奏曲だって、切々としたモノローグが続くようで、こういう内省的な作品も時には悪くない。さて、どんな演奏が似合いますか?どれを聴いても楽しめるけれど、これぞ理想!という演奏にはまだ巡り会っていない(有名メジャー演奏はほとんど聴いたことがないから)ような、そんな気もしますね。
マリア・クリーゲルの師匠はロストロポーヴィチでして、セクシーで艶やか、明るい音色はよく似ていて、文句なく明快な技巧に聴き惚れます。「内省的」には少々縁遠い演奏でして、雄弁!華麗!この作品、聴かせどころの山がない、というか、ある意味全編”山”というか、浮き立つような明るい雰囲気が素晴らしい。作品の特性か、こちらはオーケストラ云々は問題になっておりませんね。音質も良好。
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Brahms のほうは、正直言うと作品的にそれほど好きではない〜というより、これぞ!お気に入りの演奏に出会っていない。こちらは往年の巨匠達の演奏も一通り聴いているから、ほんまの自分の嗜好かな?(ハイフェッツ/ピアティゴルスキーの1960年盤が相対的に好ましい。ちなみに当盤より5分も短い)Schumannと同時録音なのに、こちらオーケストラの濁りが気になるのは作品故(交響的作品だからね)か、それとも拙宅安物オーディオとの相性問題か。
イリヤ・カーラー(1961年〜)はNAXOS中心に録音しているので、メジャーとは見られていない節があるけど、現役最高実力派のひとりでしょう。やはり華やかで、若々しい躍動感が魅力。技巧云々だけを感じさせないしっとり自然な歌もあって、表現が表面を走ることはない。神経質でもない。だから第2楽章「アンダンテ」が一番映える演奏に仕上がってると思います。
マリア・クリーゲルのソロはSchumannと変わることはないけれど、「ダブル・コンチェルト」ではヴァイオリンが目立ちます。上品で床しい、正確な技巧と抑制された表現ながら、柄が大きくなりすぎない、爽やかな協奏曲に仕上がりました。(2005年2月11日)