Schumann ピアノ協奏曲イ短調(ダブラフカ・トムシック/ムニッヒ/リュブリャナ放送交響楽団)


PILZ   449277-2  2枚組 500円で購入Schumann

ピアノ協奏曲イ短調 作品54

ダブラフカ・トムシック(p)/マルコ・ムニッヒ/リュブリャナ放送交響楽団

交響曲第4番ニ短調 作品140

ヘンリー・アドルフ/フィルハーモニア・スラヴォニカ

交響曲第1番 変ロ長調 作品38「春」
交響曲第3番 変ホ長調 作品97「ライン」

アルフレッド・ショルツ/フィルハーモニア・スラヴォニカ

PILZ 449277-2  2枚組 500円で購入

 Schumannのピアノ協奏曲といえば、ウルトラマンの壮絶な戦いに終楽章が効果的に使われておりました(どの怪獣か忘れたが)〜って、こんな話、理解できる人がいるのでしょうか。(指摘があって、じつはウルトラセブンの最終回とのこと)例の如しで、トムシックは実在のピアニストだけれど、ムニッヒも実在のスロヴェニアの指揮者、ショルツ/フィルハーモニア・スラヴォニカは(少なくとも「ライン」は)ホルヴァート/オーストリア放響らしい。廉価盤の音源を多種多様に見せるための手口らしいが、バカやったもの。(アドルフは?)

 それでも、これに第2番を足せば全集でしょ?豪華で格安なCDですよね。交響曲はともかく、Schumannでピアノが絡む曲はたいていお気に入りでした。自由で変幻自在、気紛れな旋律の魅力。ピアノ協奏曲は、どういうわけか名の通った演奏家を聴いたことがなくて、この曲を知ったのはフランクル盤(VOX)です。それだけでも存分に感動できる名曲。(手持ちのリヒテルで確認しなくちゃ)

 この曲、小粋に弾くべき曲なんじゃないでしょうか。怒濤の力強さと重量感ではご遠慮したい感じ。纏綿トロリと甘ったるいのもいいかもしれない。トムシックのピアノはいつも通りというか、淡々とあまり飾りを付けない自然体でした。フツウっぽいが、基本的技量とかやる気に不足するわけではない。適度な奥行きを感じさせる録音も悪くない。

 リリカルなニュアンスもあって、美しくも自然体のピアノ。リュブリャナ放響は、ホントはもっと評価されても良いと思うんだけれど、暖かい素朴な響きが好ましい。(とくに弱音部〜第1楽章中間部、第2楽章など)耳目を引きつけるような個性ぶりではないが、心安らかな歌も溢れて、聴けば聴くほどに味わいを噛みしめたくなります。


 アドルフ/フィルハーモニア・スラヴォニカの実体はなにか?数あるこの組み合わせの録音が、完全に同一演奏家の変名だという保証はありません。が、どうも(ワタシが聴いた限りでは、偶然かも知れないが)いけません。第4番は、フルトヴェングラーの怒濤の集中力演奏で出会ったという(幸か不幸か)こともあって、どれも不満に思うことが多くて、この演奏も少々文句がないでもない。

 まず、録音状態がくぐもっていてよろしくない。ほとんど広がりも感じないし、迫力、勢いともイマイチ。アンサンブルもそう精緻ではない。それでも、この途切れなく続く作品の緊張感、悲壮な旋律は胸を打つもんです。アレグロ・ラストのアッチェランドや、ロマンスの美しいヴァイオリン・ソロも楽しめました。


 もう一枚の「春」と「ライン」はあきらかに音の感じが異なります。それなりに鮮明だけれど、なんとなくピッチがおかしいような印象も少々有。ハイ上がりにイコライジングしているのかな?ヴァイオリンが刺激的で、全体にやや響きが薄いものの、明るく希望に満ちた雰囲気はあるし、イキイキとしてやや早めのテンポも快い。

   「春」は華やかなリズム感が生命(いのち)なんです。各パートが痺れるような技量を発揮してくれるわけでもないし、アンサンブルもそう特筆すべき水準とも言い難い。でも、爽やかな真面目さは感じました。SCHUMANNの交響曲は、中欧の伝統ある落ち着いた響きが望ましい。

 終楽章まで行き着くと少々聴き疲れします。音質的に、そして少々変化の乏しさに。「ライン」もそうだけれど、あまりテンポを極端に動かすような演奏じゃないみたいです。


 「ライン」は難曲です。軽快に明快に豊かに聴かせていただきたい。ワタシはどうもゴチャゴチャした印象をこの曲に持っていて、好きになれません。旋律的にもやや「いかにも」浪漫風で、腰が引け気味。この演奏(=ホルヴァート?)はかなり整理され、聴きやすいほうかと思います。

 オーケストラの技量的に余裕が足りないと思うが、誠実で一生懸命弾いている感じはあります。スケール感も存分。でも表現が淡彩で、ストレートなのはホルヴァート(?)らしいところでしょうか。でも、Mahler ではもっと集中力がありました。(録音の違いかな?)

 正直な感想は「もっと厚みのあるオーケストラで聴きたい」。ま、ここ最近なんでもそうだけれど、あまり小細工せずに豊かなオーケストラの響きを生かすような、あまり指揮者の主張を前面に出さないような演奏が好きなんです。(〜てなこと言いながらメンゲルベルクに痺れてどうする!?)いつもほど、曲に対する拒絶反応は出ませんでした。なんといっても@250の威力は素晴らしい。(2002年2月25日)


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