Schumann ピアノ協奏曲イ短調/
Mozart ピアノ協奏曲第20番ニ短調K.466(ミハエラ・ウルスレアサ(p))


Mihaela Ursuleasa 1978年9月27日 - 2012年8月2日 Schumann

ピアノ協奏曲イ短調

ハンス・グラーフ/カタルーニャ・バルセロナ交響楽団(2009年ライヴ)
アンコール Paul Constantinescu 「Joc Dorogean-voice(quasi una Toccara)」

Mozart

ピアノ協奏曲第20番ニ短調K.466

ホリア・アンドレースク/ルーマニア放送室内管弦楽団(2008年ライヴ)

ミハエラ・ウルスレアサ(p)Mihaela Ursuleasa,1978-2012年/羅馬尼亜)

ネットより入手音源(おそらく放送録音/入手先ブログは閉鎖済)

 佳人薄命。残念、わずか33歳にて早逝した別嬪ピアニストはショパン・コンクール(2000年)に予選落ちしたとか。こんなネット音源を取り上げても仕方がないけれど、データ音源をいろいろ確保して、あまり馴染みの少ないオーケストラも愉しみに聴いております。音質良好。

 Schumann ピアノ協奏曲イ短調は浪漫派の代表的な名曲。交響曲は苦手として、いくつかのピアノ小品、チェロ協奏曲とともに愛聴している作品は、自在に揺れ動く気まぐれな、甘い旋律が魅力的でしょう。Hans Graf(1949-墺太利)率いるバルセロナのオーケストラは、パブロ・ゴンザレスのMahlerをネットより聴いたことがあって、その立派なアンサンブルに驚いたもの。ここでも充実した演奏にソロを支えております。

 これは最終楽章に向けて燃え上がる稀有な演奏でした。第1楽章「Allegro affettuoso」は、切迫したピアノとオーケストラの絡み合いから開始(短い序奏?)哀愁の主題がしっとり展開される幻想曲。歯切れよく明るく軽快、瑞々しいタッチは自在に揺れてデリケート、表情豊かに前のめりの推進力に充ちておりました。溌剌とした技巧の冴えは前提。第2楽章「Intermezzo; Andante grazioso」は淡々と寂しげな間奏曲。この辺り自然な”タメ”は浪漫派の魅惑真骨頂でしょう。寄せては返すオーケストラの涼し気な旋律に、ピアノが浮遊する風情がなんとも夢見るようにステキな緩徐楽章。そのままアタッカで第3楽章「Finale; Allegro vivace」へ。

 このリズム感の躍動。管弦楽とソロが交互にオブリガートする・・・とはWikiの分析、気まぐれに跳躍するSchumannの陰影豊かな旋律は面目躍如。ウルスレアサは慌てず、流麗な流れに任せて音楽は徐々に熱を帯びて若々しい。アンコールは(他のライヴでもしばしば取り上げている)Constantinescuの「トッカータ」はわずか3分半ほど、闊達ノリノリの躍動でした。超絶技巧。

 Mozart ピアノ協奏曲第20番ニ短調K.466は、哀愁漂うおそらく我らがヴォルフガング一番人気のひとつ。バックは彼女の母国のオーケストラ、これがそうとうに素朴な、今どき珍しい鳴らない味わいオーケストラでした。第1楽章「Allegro」から、溌剌と躍動して、しっとり深情け的演奏とはずいぶん遠い速めのテンポ、明るく疾走するピアノでした。清潔な若々しい演奏。カデンツァは誰のか知らんけど、一転して憂愁な風情漂う情感豊かな〜そして劇的に爆発するもの。第2楽章「Romanze」は傑作揃いのMozart中、もっとも美しい瞬間、シンプル安寧の風情に充ちた緩徐楽章。ここも第1楽章同様、快活軽快流麗に弾むようなタッチが清潔そのもの。途中暗転部分に興が乗って徐々に熱くなってくる・・・

 終楽章「Rondo」は風雲急を告げる緊迫して劇的な楽章。音を短くスタッカートさせてドライなタッチ、快速爽快に音楽は進みます。カデンツァは誰のかなぁ、自作?思いっきり劇的に自由自在なもの。あまり上手くないオーケストラも、親密にソロに寄り添っておりました。

(2020年8月2日)

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written by wabisuke hayashi