Ravel クープランの墓/ハイドンの名によるメヌエット/
Schubert ピアノ五重奏曲イ長調 D.667「鱒」/
弦楽四重奏曲第12番ハ短調 D.703「四重奏断章」
(ヴラド・ペルルミュテール(p)/パスカル四重奏団)


Monitor Records MCS2106 Ravel

クープランの墓
ハイドンの名によるメヌエット(1955年)

Schubert

ピアノ五重奏曲イ長調 D.667「鱒」
弦楽四重奏曲第12番ハ短調 D.703「四重奏断章」(1960年)

ヴラド・ペルルミュテール(p)/パスカル四重奏団/ハンス・フライバ(cb)

写真はMonitor Records MCS2106

 Membranの寄せ集めBOXより、VOXオリジナルではRavelのピアノ作品録音すべてCD2枚に収まっていたのに、何故か2作品のみ3枚目に押し出したもの。雰囲気はあっても、もともとぱっとせん音質は更に鮮度が落ちたように感じたものです。そこに+Concert Hall音源のSchubertを加えた一枚。Vlado Perlemuter(1904ー2002仏蘭西)は現役若手腕の立つピアニストみたいに怜悧に切れ味あるものではありません。

 細かい音形リズムが変幻自在に妖しく乱舞する名曲「クープランの墓」。作品の魅力は管弦楽版と甲乙つけがたいもの。音質が悪いのも手伝って、まるでセピア色の昔の写真みたいに懐かしい風情はニュアンス豊か、夢見るように表現しておりました。テクニック的にあまり切れていない感じも微妙に訥々として味わい深いもの。Prelude(2:49)Fugue(3:07)Forlane(5:41)Rigaudon(3:23)Menuet(4:41)Toccata(4:02)「ハイドンの名によるメヌエット」も淡々と遠くを見つめるように名残惜しい。(2:02)

 誰でも知っている「鱒」は Le Quatuor Pascal(活動期間1941-1969年仏蘭西)との演奏。例の如し肌理の粗い乾いた音質、それなり明るいステレオ? とてもだけど1960年とは信じられぬ水準でしょう。正直なところ、あまりに馴染み過ぎた作品のせいか? 誰の、どんな演奏を聴いても親しみやすい旋律を堪能できます。第1楽章「Allegro vivace」は晴れやかなピアノが可憐に歌って、光り輝く希望に満たされ、弦は陰影豊か、華やかに悠々と歌います。コントラバスの低音が効いてますね。アンサンブルの呼応は親密軽妙なもの。(9:22)第2楽章「Andante」は平易に平穏な旋律が歌って、ゆったりと弾むような緩徐楽章。転調が豊かな陰影を作り出して、バスのリズムが効果的。(6:37)第3楽章「Scherzo」は闊達ヴィヴィッドなリズムにピアノと弦が絡み合って、力強く躍動するところ。(4:16)第4楽章「Tema con variazioni」ここが有名な「鱒」による6回の変奏曲。冒頭の主題提示は優雅にしっとりとした弦担当、あとは可憐にピアノが歌って弾んで愉しい風情が続きます。Schubertは変奏曲も天才の技、るある時は力強く表情豊かに、ある時は軽快に魅惑のウキウキ連続。繰り返すけれど、ここもバスが決まってますよ。(7:33)第5楽章「Finale: Allegro giusto」はちょっと気取って淡々とした風情に締めくくりました。終わったかな?そう思っても、音楽は続く。(6:45)名曲。いかにも親しい人同士が演奏を愉しむような風情に溢れて、華やかに佳き旋律、演奏でした。ド・シロウトには預かり知らぬ話題だけど、ピアノはけっこう弾きにくいんだそう。

 「四重奏断章」(Allegro assai)は短いけれど、不安と憧憬が入り混じって絶品! Schubert魅惑の旋律がたっぷり堪能できる名曲です。(8:35)ここにペルルミュテールは関係なし。

(2023年12月9日)

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written by wabisuke hayashi