Schubert ヴァイオリンと管弦楽のための作品集
(ズザーネ・ラウテンバッヒャー(v)/
イエルク・フェルバー/ヴュテンベルク室内管弦楽団)他


VOXBOX CD3X 3042 Schubert

ヴァイオリンと管弦楽のためのロンド イ長調D.438
ヴァイオリンと管弦楽のための小協奏曲ニ長調 D.345
ヴァイオリンと管弦楽のためのポロネーズ ニ長調D.580
5つのメヌエットと6つのトリオ D. 89

ズザーネ・ラウテンバッヒャー(v)/フェルバー/ヴュルテンベルク室内管(1977年)

弦楽三重奏曲第2番 変ロ長調D.581
弦楽三重奏曲第1番 変ロ長調D471(Allegro)

ベラルテ・トリオ(1973年)

VOXBOX CD3X 3042

 「音楽日誌」2004年10月にちょろコメントが残って、更に記憶をたどれば20世紀中に入手した3枚組だったはず。マニアックやったなぁ(3枚組2,190円の値札有贅沢)当時、未知の美しい音楽への見聞を広げるため、日々できるだけ安いCDを探しおりました。21世紀は廉価盤の時代へ、更にネットからデータで音楽を拝聴する時代に至って棚中のCD在庫を処分する日々、こんなものを発見しました。珍しい作品ばかり、これは秘曲の類でしょう。しかも名手Susanne Lautenbacher(1932-)とは充分渋い(この人は室内楽も含め膨大な録音有)。音質はまずまずのところ。著名なところではギドン・クレーメルが似たような選曲で録音しておりました(1991-3年)。

 上記4曲はいずれ小ぶりのヴァイオリンの協奏的作品、Schubertらしい美しい旋律が歌う魅惑の作品であります。ロンド イ長調D.438は14:27、彼(か)のBeeやんの(珍しく優しい)ロマンスを彷彿とさせてたっぷり、ゆったり優雅デリケートな出足であります。途中より弾むようにテンポはアップして、まるで踊るような愉しさ!ヴァイオリンはけっこう技巧的な扱いされてますよね?友人に名手がいたのか。(ド・シロウトだから実際のところはわからない)

 小協奏曲ニ長調 D.345は11:13。冒頭序奏にティンパニ、木管も入って雰囲気は前作品より伴奏はちょいと立派な感じ。憂鬱なソロが静かに参入して、これはヒロインによるレシタティーヴォですね。やがて晴れやかな表情にアリアが歌われます。技巧的なパッセージが登場して、時に陰影に充ちた切ない旋律が続きました。ラウテンバッヒャーのヴァイオリンはいつも瑞々しく、デーハー金属的な音色とは無縁、それにしても・・・Schunebertってほんま名旋律の宝庫ですね。

 ポロネーズ ニ長調D.580は題名通り(Chopinでお馴染み)弾むように軽快な民族的符点リズムが素敵な作品でしょう。6:46。ここもオーケストラに管楽器が入っております。前2曲に比べていっそうくつろいた、明るい雰囲気の名曲であります。土俗的リズムを強調せず、慌てずはしゃがずゆったり目のテンポは優雅そのもの、ここでも陰影の対比がみごと、Mozartを連想させるかも。

 5つのメヌエットと6つのトリオ D. 89は弦楽伴奏、ヴァイオリン・ソロは途中控え目に出現します(床しい風情は絶品)。15:42。Mozartのシンプル素朴な舞曲とかコンタルダンスってあるでしょ?あの雰囲気でっせ。そこは時代が下ってちょいと色彩豊か、優雅な甘い旋律も顔を出します。フェルバーのアンサンブルはやや大味表情は濃厚、もっと小さな編成(各パート一人とか)リズムを強調した古楽器が似合いそうな作品でした。

 弦楽三重奏曲 変ロ長調D.581は通称第2番と呼ばれるもの(第1番は未完)静かな味わいの名曲であります。メンバーは(相変わらずしっとり落ち着いた)ラウテンバッヒャー(v)+ウルリヒ・コッホ(va)、マルティン・オステルターク(vc)でしたっけ。この作品に異稿があるとかないとか、ド・シロウトには与り知らぬところ。晴れやか優雅な第1楽章「Allegro moderato」に一点の影もなく(5:00)、儚げなつぶやきのような(途中哀しい表情もある)第2楽章「Andante」はラスト変奏曲風?(5:03)、第3楽章「Menuett :Allegretto」はノンビリ優雅なワルツ、このヴァイオリンは優しくて最高ですよ(3:56)。第4楽章「Rondo:Allegretto」は前楽章の雰囲気のまま、明るく、時に寂しく、牧歌的味わい深く歌い続けました。(6:13)

 弦楽三重奏曲 変ロ長調D471は「Allegro」のみ。快活なMozart(嬉遊曲)風の作品であります。(7:41)

(2017年9月17日)

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written by wabisuke hayashi