Scho"nberg オーケストラのための5つの小品/
Webern オーケストラのための5つの小品 作品10/
Berg オーケストラのための3つの小品/歌劇「ルル」組曲
(アンタル・ドラティ/ロンドン交響楽団)
Scho"nberg
オーケストラのための5つの小品 作品16(1909年/1922年改定)
Webern
オーケストラのための5つの小品 作品10(1923年初演)
Berg
オーケストラのための3つの小品 作品6(1923年初演/以上1962年録音)
歌劇「ルル」組曲*(1934年初演/1961年録音)
アンタル・ドラティ/ロンドン交響楽団/ヘルガ・ピラルツィク(s)*
Mercury 4830629
一時あれほど入れ込んで聴いていたのに、最近疎遠になっていた新ウィーン楽派の音楽。Mercuryによる60年以上前の録音はリアルに現役、素晴らしい定位と臨場感ですよ、ピエール・モントゥー時代のロンドン交響楽団は驚くほどパワフル、緻密に洗練された怜悧な響きはあまりの衝撃に三度繰り返して聴きましたよ。デリケートに暴力的、妖しい静謐と破壊的大音量の不協和音、嗤われるかも知れんけどMahlerが熟しすぎて辿り着く先、みたいな爛熟した手応え充分。好きな音楽ですねぇ、なんか病みつきになりそう。
Scho"nbergは四管編成+打楽器6種+ハープ+チェレスタの大編成。異様な緊張感と色彩が散りばめられた無調音楽。息を潜めたような透明な美しさを感じます。初演は1912年、ヘンリー・ウッドとは意外でした。
「予感」非常に速く。(Vorgefuhle, Sehr rasch)追い込まれ切羽詰まった厳しいリズムと不協和音(2:02)
「過去」穏やかに(Vergangenes, Massig)途方に暮れた不安が漂う静謐が美しいところ・チェレスタが印象的(5:43)
「色彩」穏やかに(Farben, Massig)落ち込むような鎮静継続。(3:39)
「急転」非常に速く(Peripetie, Sehr rasch)金管のキレは衝撃的な絡み合い。さきほどの鎮静と交互に叫んでも、それは知的に感じます。(2:34)
「オブリガート・レチタティーヴォ」激しく動いて(Das obligate Rezitativ, Bewegen)いや増すうねうねとした不安がせり上がって、危機が迫ります。不協和音がクリアにとても美しい。(3:47)
Webernの編成はフルートは一本、弦楽に+打楽器は8種+ハルモニウム、チェレスタ、マンドリン、ギター、そしてハープ。これはセレナーデ?
「非常に静かに、そして繊細に」/「生き生きと、そして繊細な動きをもって」/「非常にゆっくり、そして極めて静かに」/「流麗に、極めて繊細に」/「非常に流麗に」連続計4:16の短いもの。激しい狂気と冷たくもデリケートに透明な静謐が同居しております。
Bergはいちばん有名か、拡大された四管編成とか?打楽器11種+ハープ2台、とてつもなく大きな、そして破壊的に美しい作品。
第1楽章 前奏曲(Praludium)地の底から湧き上がるように不気味に蠢くような始まり。静謐なのにパワフル、金管叫んで不協和音なのに響きはクリアそのもの。(4:23)
第2楽章 輪舞(Reigen)ここはパワフルに雄弁から静謐に収束(5:03)
第3楽章 行進曲(Marsch)これは異形なリズムを刻んで絶叫する重苦しい行進曲。ラストあたり「運命の動機」を刻むホルン先頭にロンドン交響楽団の威力が凄い。(8:53)
「ルル」はオペラから抜き出した、濃厚に甘過ぎる浪漫がはみ出して腐り掛け、狂気に至る音楽。三管編成に+11種の打楽器+ハープ、ピアノ。Helga Pilarczyk (1925-2011独逸)はこの辺りの音楽のスペシャリスト、言葉はわからないけれど、妖しさはたっぷり伝わりました。
「Rondo」(16:22)「Ostinato」(3:43)「ルルの歌」(2:14)「Variations」(4:36)「Adagio」(8:59) (2025年5月31日)
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