Schumann ピアノ協奏曲イ短調/Grieg ピアノ協奏曲イ短調
(ルービンシュタイン(p))
Schumann
ピアノ協奏曲イ短調(1967年)
カルロ・マリア・ジュリーニ/シカゴ交響楽団
Grieg
ピアノ協奏曲イ短調(1956年)
アルフレッド・ウォーレンシュタイン/RCA(ヴィクター)交響楽団
アルトゥール・ルービンシュタイン(p)
RCA FDCA 809 中古250円
昨年2006年BOOK・OFFで購入したもので、所謂”通俗名曲”(死語だな)を往年の巨匠が演奏する定盤であります。でも、音楽ファン世代は遷ってルービンシュタイン(1887年〜1982年)を知らぬ人もいるだろうし、ジュリーニだって先年(2005年)亡くなってしまいました。まして、アルフレッド・ウォーレンシュタイン(1898年〜1983年)なんて!?ということで、喜び勇んで購入した一枚。ステレオ初期録音にも興味あるんです、一般に。両作品には、最近とみに愛情を深めつつある・・・こんな著名な音源も初耳也。
これは、素晴らしい技巧が余裕で、暖かく微笑みを浮かべた演奏でしたね。「技巧が余裕」なのであって、壮絶なる切れ味をウリにせず、微妙な旋律の揺れと豊満なる響きがまったく楽しげ、そして切ない味も有。これがヴェテラン巨匠のワザであります。バックの違いも楽しみしていたけれど、ウォーレンシュタインは意外と善戦しておりました。(音質まぁまぁ・・・時代を考えると。 以上、「音楽日誌」2006年8月より引用)
さて、Schumannのほうはジュリーニの噛み締めるようなバックが聴きもの。上記、ピアノは”素晴らしい技巧が余裕”と書いたけれど、終楽章に指運のもたつきを指摘することは可能かも知れません。だって80歳でっせ、既に。”壮絶なる切れ味をウリにせず”って、そりゃ当たり前でっしゃろ。でもね、タッチが枯れているとか、味わいのみで勝負、細部目をつぶって下さい!的老人の音楽じゃないんです。”微妙な旋律の揺れと豊満なる響きがまったく楽しげ”〜まさにその通り。「間奏曲」の昔語りのような、ゆったりとした歌を愉しみましょう。音質は時代並です。やや乾き気味か。
Griegは69歳未だ若い頃(!)の録音であって、輝かしいピアノが雄弁に躍動しております。録音もこちらのほうがずっとよろしい。(オン・マイク気味だけれど)RCA(ヴィクター)交響楽団(ヴィクター名は商標契約との関係で外れている)は、おそらくは(ワルターの)コロムビア交響楽団同様、ハリウッド辺りの演奏家を集めた録音用管弦楽団で、主体は(当時、ウォーレンシュタインがシェフを務めてた)ロサンゼルス・フィルか。前言(さっそく)翻すが、このキラキラ瑞々しいソロを聴いていると「さっきのSchumannは枯れていたのか?」という感慨ないでもない。
これぞ「技巧が余裕」なのであって、自信満々の朗らかな表情で、楽しげに音楽は進みます。アダージョは得意げな表情の詠嘆が決まっているし、終楽章の鮮やかなる”鳴り”+”ノリ”+”熱”に感服いたしました。ウォーレンシュタインのバックも予想外の好演!元気一杯・・・
・・・で、この時点でSchumannに戻りましょう。なるほど、ジュリーニ/シカゴ響のニュアンス豊かなバックに一日の長有・・・11年後のルービンシュタインは決して衰えているとは言えない潤いはちゃんとあるじゃないの。
足りないのは録音音質の”潤い”か。終楽章はGriegほどの”鳴り”+”ノリ”+”熱”に至らない。でも、ルービンシュタインって、やっぱり好きなピアニストなんです。 |