D.Scarlatti ソナタ集(ピーター・ケイティン)


D.Scarlatti 

ソナタ集

ニ長調K96、ニ長調K490、ニ短調K517、イ長調K208、イ短調K3、ヘ短調K238、ヘ短調K239、変ホ長調K193、ハ短調K84、ト長調K471、ト長調K539、ハ長調K356、ハ長調K159、ハ長調K420

ピーター・ケイティン(p)

CLAUDIO RECORDS CR35102-D 1985年録音  $5.99(円高時代の贅沢)

 おおよそバロック音楽辺りは好きですね。スカルラッティのソナタは、とくに集中して感動する類の作品ではありませんが、ときどき聴きたくなるし、聴けば必ずほっとする音楽のひとつ。

 ホロヴィッツのとろけるような、輝かしい音色の演奏も素敵だし、ギレリスのちょっと硬質で芯のありそうなライヴも愛聴盤(ERMITAGE)。スコット・ロスの偉業である全集は、かつてFMで特集されたとき6割くらいはテープに録音したつもり。 知られていませんが、ギルバート・ローランドが1990年頃に全集を録音しており、私はその第25〜28巻を格安で手に入れました。(英KEYBOARD RECORDS KGR1025〜1028)

 ま、じつはなんでもいいんですよ。使用楽器も問いません。ときどき屈託のないシンプルな旋律を楽しみたいだけ。もう売り払ってしまったけれど、PILZで出ていたトムシック盤でもけっこう楽しめました。どちらかというとピアノによる演奏のほうが好みなんです。

 ピーター・ケイティンは1930年生まれのイギリスのピアニスト。、DECCAの旧い録音で昔から名前だけは知っていました。個人輸入のカタログを眺めていたら、ちょうど手頃そうな一枚があったので注文したのは、おそらく円高最盛期の頃でしょう。いまは、この価格じゃ手は出ません。(上記の価格に送料もかかる)

 録音も新しくて音質極上。うんと美音、といったピアノではないが、芯を感じさせるしっかりとした明快なタッチ。しっとりとして知性を感じさせる落ち着いた演奏でしょう。テンポは常に適正を感じさせて、エキセントリックなところはない。約1時間、スカルラッティの淡々としてリリカルな旋律を堪能できます。

 解説によると「ラフマニノフも得意にしている」とのことですが、派手で濃厚なパフォーマンスとは無縁のように思えます。「能ある鷹は爪を隠す」といった、意識して抑えた表現なのでしょうか。派手さはないけれど、こんな楽しみを与えくれるCDもそうそうあるもんじゃない。聴き疲れしない、自然体のピアノ。

 クラウディオ・レコード、というレーベルを見かけたのはこれきりですが、録音情報や、使用楽器(スタインウェイ)、テープレコーダーからマイク、表紙の絵まで説明が付いた行き届いたもの。解説はケイティン自身のものなので、スカルラッティについての造詣はそうとうに深いと見ました。

(2000年7月16日更新)


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written by wabisuke hayashi