VICTOR DE SABATAWagner 楽劇「トリスタンとイゾルデ」より第1幕への前奏曲 R.Strauss 交響詩「死と変容」作品24 ベルリン・フィルハーモニー(1939年) Berlioz 「ローマの謝肉祭」序曲 作品9 ロンドン交響楽団(ロンドン・フィルが正しい、とのこと。1946年) Rossini 歌劇「ウィリアム・テル」序曲 Verdi
歌劇「シチリア島夕べの祈り」序曲 ローマ聖チェチーリア音楽院管弦楽団(1947/48年) 指揮 ヴィクトール・デ・サバタ HISTORY 204564-308 The 20th Century Maestros40枚組5,990円のウチの一枚 サバタ(1892〜1967)は、名前ばかりで実際に音源を聴いたのは初めてかも知れません。ステレオ時代まで長生きしたのに、晩年はカラダを悪くして引退していたらしくって、古い録音しか残っておりません。このCD、やや寄せ集め的中途半端な収録ながら、雰囲気様子がわかるから存分なる存在価値はあるでしょ。 とにかくカッコ良い!カラヤンをもっと(いっぱいいっぱい、もの凄く!)高貴にしたしたらこうなる?ってな感じか。戦前のベルリン・フィルの迫力と深さはそうとうなもの(現在のように「音が安易に出過ぎる」こと皆無)だけれど、フルトヴェングラーの演奏時と較べても、ずっと洗練されていて、粋で、色気があって、語り口が流麗で明快で、そして美しい。基本的に響きが「明るい」。 これは他の録音も探さなくっちゃ。 いやもう、弦を始めとして、オーケストラが泣いているんですよ。ひとつひとつの旋律パートに艶があって、うねるような盛り上がりは、またフルトヴェングラーの世界とは別世界の個性(こちらは「歌」でしょ)で、これはほんまに楽しめます。「トリスタン」はぜひ終曲も欲しかったところ。「死と変容」は、これほどのびのびと呼吸が深く、雄弁で、爽快なスケールと寂寥感が迫る演奏も珍しい。 録音がね、良いはずもないが、それを忘れさせる説得力。いや、この年代なら文句言っちゃいけないな。とくにかく、音の古さはまったく感じさせない。 こりゃベルリン・フィルのチカラかな?と思ったら、ロンドン交響楽団になっても、聖チェチーリア音楽院管弦楽団になっても、「劇的色気」路線はなんら変わらんのです。「ローマの謝肉祭」のなんと溌剌として、軽快で引き締まったアンサンブル。さきのベルリン・フィルに比べるとやや軽量ながら、オーケストラが鳴りきってコッカ良い演奏であることに変わりはない。 ワタシ、この曲は好きでもなんでもないが、サバタだったらココロ奪われます。ノリノリでニコニコ微笑みながら、オーケストラを盛り上げていく圧倒的推進力。これ以上の演奏はかつて経験していません。 イタリア・オペラからの三曲は「十八番」(おはこ)でしょ?いやはや、これもまったく同じ。「旋律が泣く」んですよ。スタイリッシュ。「ウィリアム・テル」って有名になりすぎて真面目に聴く機会は少ないが、これほど真摯に、細部にまで味付けした演奏に驚愕せざるを得ません。そして猛烈なる爆発〜しかし気品を失わない。 Verdiも雰囲気タップリ、というか絶叫してますね。音楽が。ラストの締めは「これぞ泣き!」という代表で、すみれちゃん(ヴォイレッタ)の嘆きですよ。息をのんで聞き入りましょう。舞台が目に浮かびました。(2003年1月23日)
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