Vaughan Williams 「未知なる国へ」「ノーフォーク狂詩曲」「タリス幻想曲」「5つの異版」
(デル・マー/バーミンガム・シティ交響楽団)


KLAVIER KCD-11034 Vaughan Williams

未知なる国へ(合唱と管弦楽のための)
ノーフォーク狂詩曲第1番ホ短調
トーマス・タリスの主題による幻想曲(弦楽合奏のための)
「富める人とラザロ」の五つの異版(ハープと弦楽合奏のための)

ノーマン・デル・マー/バーミンガム・シティ交響楽団/合唱団

Mendelssohn

序曲「フィンガルの洞窟」

ロリス・チェクナヴォリアン/ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニック

KLAVIER KCD-11034 1980年録音 個人輸入で$1.99だったか?

 お馴染み、児島の体操服屋の旦那より情報有。

デル・マーとバーミンガムのヴォーン・ウィリアムズは、国内盤CDを持っています。日本ビクターが1987年に出したもので 定価は 3200円(消費税施行前)でした。
当時この作曲家に目覚めたころなので よく聴きました。日本ビクターから出ていたことも勘案すると マイナーレーベルの録音で はないかと思います。
なお フィンガルの洞窟は、収録されておりません。


 どういう経過かわからないが、おそらくはEMI音源であるか、逆にマイナーレーベル(VARESE SARABANDE?)録音をEMIが借りたものか。ほぼ同じ収録(チェクナヴォリアン除く)をEMIレーベルで見たことがあります。(CDM 5 65131 2)エンジニアは高名なるカルヴァーハウス。期待に違わぬ鮮明で自然な音質。ノーマン・デル・マー(1919-1994)は、Beethoven 交響曲の校訂(ベーレンライター版)で有名なジョナサン・デル・マーの父君であって、もともとイギリスのホルンニストであった由。日本での知名度ともかく、録音もけっこう残っております。「フィンガル」はサービスのつもりだろうが余計です。違和感あり過ぎ。

 ワタシは英国シミジミ黄昏系旋律が大好きなんです。草臥れ中年の窶(やつ)れた背中が眼前に浮かぶような寂寥。「未知なる国へ」(Toward the unknown region)は、アメリカの詩人Walt Whitmanに楽曲を付けたものであり、「海の交響曲」との類似性も感じさせる(いっそう暗鬱穏健だけれど)12分ほどの名曲でした。静謐清涼なる合唱と管弦楽の対話が続き、清々しく盛り上がっていく快感。繊細で床しい幻想、切ない情感の連続。豊かな残響に合唱と管弦楽が溶け合って瑞々しい。

 ノーフォーク狂詩曲(Norfolk Rhapsody)が、まるで日本の民謡のような木管の節回しから始まって懐かしい。やがて溌剌とした躍動に至って、再び安寧の世界へ回帰し、消え入るようにそのまま「タリス幻想曲」へ。著名な作品であって、纏綿たる弦楽合奏(合奏協奏曲か)の妙が延々と愉しめます。その入念に配慮されたアンサンブルの精緻さ、デリケートな呼吸。甘美だけれど、粘着質ではない。時に息も絶え絶え、もう止まりそう・・・なほど英国紳士の抑制がありました。

 「五つの異版」とは、「富める人とラザロ」という英国民謡が地方毎様々な形で残っていることを発見した作曲者が、それを元に自由な変奏曲に仕上げたものだそうです。冒頭アダージョ(主題?)から心奪われる懐かしくも、優しい弦の旋律であり、ハープが気品あるアクセントを添えます。通常の「変奏曲」とは少々趣を変え、ゆるゆると姿を変えていく美しい旋律の連続でありました。

 4曲で45分。これで収録充分じゃないですか。チェクナヴォリアンになんの恨みもないが、「英国つながり」(?)の「フィンガルの洞窟」は音楽的な共通性はありません。燃えるような勢いのある演奏でしたが。

(2007年3月9日)


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written by wabisuke hayashi