Vaughan Williams 仮面劇「ヨブ」
Ravel ラ・ヴァルス(バリー・ワーズワース/BBCコンサート管弦楽団2008年ライヴ)


2008年還暦祝い演奏会ライヴらしい。ネットより拾った音源 Vaughan Williams

舞踏のための仮面劇「ヨブ」

Ravel

ラ・ヴァルス

バリー・ワーズワース/BBCコンサート管弦楽団

2008年ライヴ。ネットより拾った音源。還暦記念ライヴらしい

 独墺系も悪くないけど、より好きなのは英仏北欧辺りの音楽、Purcellから現在存命の作曲家迄その穏健な響きにほっとしております。そういえば最近あまり聴いていないかなぁ、ここ数年怒涛のCD処分実施して、けっこう棚中在庫も減りました。英国音楽の人気は日本ではさっぱり、買うときは安いけど、売るときは大苦戦!って、近未来の不動産みたいじゃないか・・・閑話休題(それはさておき)1960年初頭辺り迄の音源だったらネットからいくらでも仕入れられるようになって、自主CD”英国もの”カテゴリーは120枚ほど+フツウのCDでしょ?RVWの全集はエイドリアン・ボウルト、ヴァーノン・ハンドリー2種生き残っているし、EMIのElgar30枚セット入手してホコリがかぶっている・・・(半分は聴いたかな)

 ちゃんと聴け!NAXOS廉価盤で馴染みのバリー・ワーズワース(Barry Wordsworth, 1948-)還暦ライヴ?っぽい音源をネットより入手、ほんまはピアソラ(Piazzolla)「ブエノスアイレスの四季」も演奏したけれど自主CD収納都合により残念ながら割愛、BBC交響楽団ならぬコンサート管弦楽団というのも一興、聴衆の拍手を聴くと熱気と人気、しっかり感じます。音質(ライヴとして)まずまず。

 50名ほど中規模オケ、お国物の誇りに充ちて立派なアンサンブルでしたよ。演奏の良し悪し、個性を云々するほど音楽を聴き込んでないけどムリして云えば、エイドリアン・ボウルトほどの骨太メリハリにちょっぴり及ばぬかも。例のStravinsky辺りに作品を委嘱したバレエ・リュッス(ロシア・バレエ団)のディアギレフに依頼されたけれど、意に沿わず自ら1930年初演。そりゃそうだろうなぁ、彼(か)のバーバリズムなリズムとか色彩豊かなサウンドとはかなり違いますもの。こちら英国の含羞と抑制、矜持に充ちて一般受けせんかも、というかバレエにはちょいと縁遠そうな、聴き馴染んだ交響曲の(ジミな旋律)世界そのもの。

 1.導入( Introduction - Pastoral Dance - Satan's Appeal to God - Saraband of the Sons of God)/2.サタンの勝利の踊り( Satan's Dance of Triumph)/3.ヨブの息子たちとその妻たちのメヌエット(Minuet of the Sons of Job and Their Wives)/4.ヨブの夢( Job's Dream. Dance of Plague, Pestilence, Famine and Battle)/5.三人の伝達使の踊り( Dance of the Messengers)/6.ヨブの精霊の踊り(Dance of Job's Comforters. Job's Curse. A Vision of Satan)/7.エリフの若さと美の踊り(Elihu's Dance of Youth and Beauty. Pavane of the Sons of the Monning)/8.朝の息子たちのガリヤード(Galliard of the Sons of Monning. Altar Dance and Heavenly Pavane)/9.エピローグ(Epilogue) 計45分ほどの大作。

 まるで荘厳な王宮への入場みたいにアルカイックな「導入」(ここの立派な風情に聴衆思わず拍手有)、スケール大きく劇的な「サタンの勝利の踊り」、内省的な「ヨブの夢」は安寧静謐な歌〜突然調子が変わって激昂するのはよろしからぬ悪夢か、戦闘モード風ハードに爆発しました。この辺り、穏健派ワーズワースもリキ入っておりますよ。「三人の伝達使の踊り」は淡々、情感の動きの少ない音楽。木管が活躍し、やがて静謐な弦に幻想的に受け継がれます。この辺りほんまにジミ、バレエ表現にはムツかしそうな静謐でしょう。起伏のある表現が上手い。「ヨブの精霊の踊り」はサキソフォーンのユーモラスな動き(チェロのオブリガート有)で表現されました(ボウルトの記憶を辿ると少々ユーモア不足)。途中無機的な昂揚が入って対比、ティンパニがけっこう衝撃。ラスト。ドラと伴に壮麗華麗なオルガン登場!ここ圧巻「A Vision of Satan」でしょうか。(違ったらごめんなさい。交響曲第7番「南極」を連想)

 妖しくも切ないヴァイオリン・ソロは「エリフの若さと美」を表現しているのでしょう。(エリフって誰やねん)「舞い上がるひばり(The Lark Ascending,悪訳「ひばりの唐揚げ」に非ず)によう似ております。「朝の息子たちのガリヤード」は爽快なスケール、ラスト「エピローグ」には「導入」のエピソード回帰して、まるで擬バロック風立派な歩み〜大団円〜静謐に消え行くように、やや間が空いて盛大なる拍手有。生真面目、エッチさが足りぬ音楽やなぁ、Stravinskyの「火の鳥」辺りと比べると。

 これが英国音楽の個性なのでしょう。ワーズワースは知名度薄いけど、実力者なのでしょう。英国には多いパターンでっせ。

 「ラ・ヴァルス」に限らず、Ravel は超・緻密な音楽に作っているから、ヤワな演奏じゃ聴いてられん!上手いオケ、正確に演ってこそ作品の優雅、シニカルが浮かび出る、といった風情が大切なのでしょう。念頭にはピエール・ブーレーズ/ベルリン・フィル(1994年)の色気有。ここでは意外なほどニュアンスとデリカシーに揺れ、爆発への対比が余裕+アツく、驚かされました。アンコール的な演目かな?オケはほんまに上手い。

(2015年2月7日)


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written by wabisuke hayashi