「ルール・ブリタニア」〜Last Night of the Proms
(ポール・ダニエル/イギリス北部フィルハーモニア)


NAXOS 8.553981 Walton  「王冠」 (戴冠式行進曲)
Parry  イェルサレム
Elgar  創作主題による変奏曲「エニグマ(謎)」 作品 36 - 第9変奏「ニムロッド」
Wood  イギリスの海の歌による幻想曲「Fantasia on British Sea Songs」
I. The Saucy Arethusa
II. Tom Bowling
III. Jack's the Lad IV. Farewell ye Spanish Ladies(さらばスペインの淑女達)
V. Home Sweet Home
VI. See the Conquering Hero(見よ、勇者は帰る)
VII. Rule Britannia

Arnold  「Tam O'Shanter(タモシャンター)」 序曲 作品51
Parry  私は歓喜した(詩篇122) 作品51
Walton   「宝玉と王のつえ」 (戴冠式行進曲)
Elgar  「威風堂々」作品39 第1番「希望と栄光の国」

ポール・ダニエル/イングリッシュ・ノーザン・フィルハーモニア/リーズ音楽祭合唱団

NAXOS 8.553981 1996年録音  500円

 所謂”企画もの”=「なんちゃって・プロムス」(それらしい作品コンピレーション盤)だけれどバカにできん!盛り上がりと熱気に満足の一枚。録音もGood!やや一本調子な表現ではあるけれど、たっぷりアツく充実したアンサンブルでもあります。どれも勇壮でノリノリ、誰でも知っている(ような気がする)楽しい旋律、そしてリズムばかり。

 Walton の2曲の行進曲が荘厳で、”それ”らしい、堂々たる貫禄と落ち着き有。でもウキウキするような高揚感もあるんです。両曲とも「戴冠式行進曲」なんだけど、「スターウォーズのテーマ」の源流はこの辺りにあるんじゃないか、そんな連想をいたしました。(「サンダーバードのテーマ」でも良いが)

 Parryの「イェルサレム」は歌詞の意味がわからない(類推はつくが)ウィルアム・ブレイクの詩に曲を付けた国民的に愛される合唱作品とのこと。映画「炎のランナー」にも出てきておりました。わずか2分半の味わい深い旋律です。「私は歓喜した」(詩篇122) 作品51に於ける宗教的感銘は(不遜なる無神論者のワタシにも)伝わるものです。

 「RULE BRITANIA」(ブリタニアよ世界を治めよ)とは、著名なる旋律ばかり集めたHenry Woodの幻想曲〜ラストの超・愛国ソングのことであります。ま、昔日の栄誉回顧だから許してやってよ。いまは世界治めておりませんから。擬バロック風であり、安寧に充ちた静謐であり、切々たる愛の歌(「さらばスペインの淑女達」)有、「はにゅうの宿」が登場(オーボエが美しい)し、Handel が顔を出し(見よ、勇者は帰る)、「RULE BRITANIA」で締め。おそらくは初めて聴いても、馴染みの旋律ばかり。

 Arnoldの序曲「タモシャンター」は飄々としてユーモラス自由なる作風、これが一番変化に富んでオモロい作品と感じます(途中のバグ・パイプ風+メリーゴーラウンド風サウンドが楽しい)。

 御大Elgarの「ニムロッド」って「エニグマ」中ほんのちょっぴりエッセンスなんだけど、それでもたっぷり陶酔できる甘美な世界、「威風堂々」(ラスト)に合唱が入ると万感胸に迫りました。ライヴをテレビやCDで拝聴したが、シロウト聴衆の絶叫の方が盛り上がるけどね。表現としてはやや単調なんだけど、そんなことは気にならない。全編の締めくくりはやっぱりこれで、ウィーンっ子に於ける「美しく青きドナウ」や「ラデツキー行進曲」みたいなものかな。

 プロムスのラストナイトって、一度行ってみたいな。嗚呼、楽しい。これに類するCDはいくつか集めてあるんです。

(2009年7月17日) 

【♪ KechiKechi Classics ♪】

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written by wabisuke hayashi