ロマンティック序曲集(様々な演奏家によるライヴ)


ANF LCB146 Weber 

歌劇「魔弾の射手」序曲

ベーム/ウィーン国立歌劇場管弦楽団(1972年)

歌劇「オイリュアンテ」序曲

マキシム・ショスタコヴィッチ/イタリア放送ミラノ交響楽団(1975年)

歌劇「オベロン」序曲

舞踏への勧誘(ベルリオーズ編)作品95

アルブレヒト/イタリア放送ローマ交響楽団(1974年)

Mendelssohn

オラトリオ「聖パウロ」作品36より序曲

ムーティ/イタリア放送ミラノ交響楽団(1970年)

オラトリオ「エリア」作品70より「序曲と第1曲」

序曲「ルイ・ブラス」作品95
序曲「アタリー」作品74

マルケヴィッチ/イタリア放送ローマ交響楽団(1980年)

Schubert

イタリア風序曲 ハ長調D591
劇音楽「キプロスの王ロザムンデ」D797「序曲」

アルブレヒト/イタリア放送トリノ交響楽団(1980年)

歌劇「フェアラブラス」序曲 D796

アバド/ウィーン国立歌劇場管弦楽団(1988年)

Schumann

ファウスト序曲

ブーレーズ/BBC交響楽団(1973年)

歌劇「ゲノヴェーヴァ」序曲

パターネ/バイエルン放送交響楽団(1975年)

マンフレッド序曲 作品115

マルケヴィッチ/イタリア放送トリノ交響楽団(1982年)

ANF LCB146 2枚組2,000円(?)もっと安かったかも。すべてライヴ。日本語によるちゃんとした楽曲解説付き。

 よくぞここまでアト・ランダムに揃えてくて、ある意味感慨深い。種々雑多の録音(いずれも海賊音源クサイ)で、Weber、メンデルスゾーン、シューベルト、シューマンというドイツ・オーストリア系の名曲がズラリ。これが同じ演奏家だったら普通のCDだけれど、バラバラなのが渋い。音質は、どれも録音年代からは信じられないくらいパッとしないモノラル録音。

●Weber  Weberの曲はたいてい大好き。
 有名どころのベームが「魔弾の射手」で登場です。Weberのキモはホルンですからね、ウィーンの歌劇場オケの音は立派だし、堂々たる演奏で云うことなし。
 M.ショスタコヴィッチの録音も珍しいですね。かなり恣意的なテンポの揺れがあって、落ち着きがありません。クセがありそう。
 アルブレヒトはのちチェコ・フィルなどとの録音で話題となりますが、70年代はイタリアでも指揮していたんですね。「オベロン」はホルンの音色が安易ですが、がっしりとした構成は立派なもの。「舞踏への勧誘」は、これほど楽しくて流麗な演奏は滅多にありません。このひとの実力は本物。

●Mendelssohn 「ルイ・ブラス」以外は、聴く機会の少ない曲ばかりで珍しい選曲と思います。ムーティが母国で指揮するのは理解できますが、晩年のマルケヴィッチがイタリアで盛んに指揮していたらしいことは意外でした。
 「聖パウロ」は曲の存在自体初耳。いかにもスケール感のある壮麗な曲で、もっと演奏会に使われて良さそうな名曲。勢い充分のムーティの演奏。
 マルケヴィッチの演奏は、いずれも彼らしいリズムの厳しいキリッとしたもの。「エリア」は、おそらく全曲演奏の一部でしょうね。合唱がはいるとBach の劇的な世界に近づきます。「ルイ・ブラス」は繊細な歌わせかたが立派。「アタリー」も初耳ですが、コラール風の宗教的な旋律で始まり、劇的な展開をみせる美しい曲でした。どれもアンサンブルの水準は高い。

●Schubert   再びアルブレヒトの登場。こんどはトリノのオケとの協演。「イタリア風序曲」って、けっこうたくさんあるようで最近興味を持って聴いております。軽快で楽しげな曲。「ロザムンデ」は、響きが厚くトリノ響は意外な力演でしょう。アンサンブルにも不満はありません。アルブレヒトのは外しがないなぁ。間の取り方なんかも実に上手い。
 「フェアラブラス」も初めて聴きましたが、このCDのなかでは一番新しい1988年ウィーンでの録音。はっきりわかるオケの艶やかさ、アバドの旋律の歌わせかたの繊細なこと。

●Schumann  ブーレーズのBBC時代の録音を持ってくるとはニクいですね。珍しいレパートリーでしょう?録音は良くないですが、この人が指揮すると何故こんなにアンサンブルが洗練されるのでしょうか。
 残念ながら亡くなった、パターネの「ゲノヴェーヴァ」になると更に貴重。低音に腰が出てきて、さすがドイツ一流のオケですね。ホルンやオーボエ、弦の音に厚みがあって迫力充分、素晴らしい演奏。
 「マンフレッド」は亡くなる前年ののマルケヴィッチの録音。彼らしい、深刻で力強いアタックが聴かれ、トリノのオケをよくまとめ上げて、聴き応えのある演奏に仕上がっています。

 たしか一枚物に替わって、まだ手に入るはず。@500くらいかな。選曲も筋が通っていて、こういう寄せ集めCDは好きですね。これぞ廉価盤の醍醐味でしょう。音質では負けますが、「ショルツの序曲名曲集」より演奏水準的に楽しめると思います。


またまた、香港のKANETAさんに教えていただきました。マルケヴィッチは第2次世界大戦後イタリアの国籍を取っているから、イタリアのオケとの協演が多いのは当たり前とのこと。

written by wabisuke hayashi