Bach 無伴奏ソナタ・パルティータ全曲(ルジェーロ・リッチ(v))


リッチのBach J.S.Bach

無伴奏ヴァイオリン・ソナタ/パルティータ全曲

ルジェーロ・リッチ(v)

MCA MCAD2-9841  1966年頃?録音  2枚組2,000円で購入。

 2003年再聴。Bach はお気に入りの作曲家の筆頭だけれど、無伴奏チェロ組曲は説教クサくていけません。少々苦手。同じ無伴奏でも、ヴァイオリンのほうなら楽しく聴けます。ま、Bach の作品にいつも感じることだけど、どんなに楽器の数が少なくても、音楽の広がりは宇宙的深淵の世界。じつはハイフェッツのソナタ第1番ト短調(1952年)を聴いて、すっかり魅了されました。伸びやかで屈託がなくて・・・・自然で。

 で、同曲手持ち在庫の確認で、トップに思い出したのがコレ。もともとLP時代この録音しか持っていなかったし、当時は同じ曲を何種も買えるほどの甲斐性はなかったから、どうしてもお世話になったリッチは擁護したくなるんです。彼特有の「縮緬ヴィヴラート」が気になる場合もあるし、テンポ早めなのはともかく、「間」に余裕がなくてスケールが小さく感じる場合も・・・・すみません。これはあくまで好み、ということでご勘弁を。

 以下の拙文は、「技術的にはともかく精神性」のシゲティ(←こんなん本来キライなんだけど、彼だけは否定できない!)との比較で、リッチのことを言及しているみたいだけど、ヒドい文書だね。ようはするに説教臭いBach は勘弁して、ノビノビと本来の舞曲(これはパルティータのほうか)を楽しく聴かせてくださるのがヨロシ、ということでしょうか。

 久々聴いた印象は、まず予想外に音質が良かったこと。ソロ・ヴァイオリンの音録りは難しいと想像するけど、ちょっと音場を広げ過ぎなのかな?でも、残響の良い、小さな会場で聴いている味わいがありますね。技巧派リッチには相応しい選曲を真摯に、やや色気のある音色で弾き進みます。けっこう熱演。のってくると、ややヴィヴラートのクセが耳に付かないでもないが。

 Bach に対する精神性・・・みたいなものはやっぱり感じます。技術のキレは、けっして空虚さを生み出さない。存分に感動しました。しかし、その後、ワタシは数種類のCDを手許に置くようになって、時に買い足しております。そのなかで、リッチがVery Bestか?と、問われれば、必ずしもそうではない、と答えるかも知れません。この罰当たり目が!って、やはりBach はたいていどんな演奏でも感動するもんですから。(2003年7月9日)

 以下、1999年頃の文書かな?


 新しいほうの録音もありますので要注意。英DECCAに更に旧い録音で一部の曲も録音していましたね。この録音はLP時代から所有しておりました。「シャコンヌ」を筆頭に、壮絶な名曲は心打ちます。

 もう若い世代の人には知られていないでしょうが、この曲の極め付きはシゲティ、とされてきました。私は数年前FMで全曲放送されて、ようやくテープに収めました。

 この人のブラームスとベートーヴェンの協奏曲も気に入っていましたが、ゴツゴツのボウイングから流れる濁った音色、よろよろの旋律の美しいこと。

 例えが失礼ですが、そんなに美人じゃなくて、着飾ってもいない、それなりに年輩でもあるのに、内面から輝くような魅力を感じさせる女性のよう。
 これが「精神性」と呼ぶものなのでしょうか、説得力が強くて引き込まれる演奏でした。
閑話休題・・・・・・・・・・。

 リッチはメジャーでの録音が(とくに最近)少なくて、廉価盤ばかりで出会っているので親しみを感じます。(VOXにもたくさん録音がある)日本ではともかく、西欧では揺るぎない評価を得ているとのこと。華やかに、早めのテンポでよく歌うヴァイオリン。こちらは美人だし、色気もあります。かつてフーベルマンが使っていた「グァルネリ・デル・ジェス」という銘器による録音だそう。

 テクニシャンとして名を馳せたリッチですが、ここでの輝かしい技巧は、けっして内容の希薄さを意味しません。よく歌う美しい音色は、集中力あるバッハ音楽の無限の深さを表現しています。パガニーニなどを演奏するリッチとは、ずいぶんと印象が異なると思うのです。(体育会系とばかり思っていた)

 シゲティとは正反対の行き方ですが、天才少年として売り出したリッチも当時40歳を迎え、技術と音楽のバランスが理想的な形で記録されたのでしょう。例の如しで、細かいヴィヴラートは好き嫌いの分かれるところ。無用なテンポの揺れもなく、深刻にならない明るさもあります。各楽章の表題になっている各地の舞曲は、ほんとうに踊られるかのような楽しさ。

 この演奏だから・・・というわけでもありませんが、いつもながら「シャコンヌ」の劇的な感動。宇宙の鼓動の響き。なんという名曲。

 ステレオ録音で、音質はそれほど悪くないと思います。分離はちょっと不自然。(LP時代は米DECCAというレーベル〜英DECCAとは別団体〜で出ていた)「フーガ」の自筆譜をあしらった表紙デザインも素敵です。

 リッチの録音は英DECCA系の音源がCDで復活していますが、VOXにたくさんあるはずの録音が復活しません。なんとか、まとめて出ないものでしょうか。

* 2枚目4/5トラックの表示が間違っています。たいした問題ではないけど。

  


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written by wabisuke hayashi