Respighi 交響詩「ローマの松」(アレクサンドル・ガウク)
アダージョと変奏(ロストロポーヴィチ(vc))
Ravel スペイン狂詩曲(ロジェストヴェンスキー)


YedangClassics YCC-0152
Respighi

交響詩「ローマの松」

アレクサンドル・ガウク/ソヴィエット国立放送交響楽団(1960年)

チェロと管弦楽のためのアダージョと変奏 作品133

ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(vc)/キリル・コンドラシン/モスクワ・フィル(1973年)

Ravel

スペイン狂詩曲

ゲンナジ・ロジェストヴェンスキー/モスクワ・フィル(1958年)

YedangClassics YCC-0152 いずれもライヴ音源

 2000年前後、韓YedangClassicsは米Pipelineを原盤に旧ソヴィエット放送音源の豪華装丁CDを発売しておりました。なんか音源組み合わせが妙にバラバラ無定見、しかも拍手を途中でぶった切るのも頻繁。やがてBrilliantがそれなりに関係音源整理整頓して再発売してくれました。そんなどーでもよい話題も既に思い出になっている20年後、ほとんどデータファイルやネットより音楽を拝聴する時代がやってきております。以下のさっぱりとしたコメントは既に16年前のこと。久々の拝聴でした。これは再入手しにくくなっている音源を含んで、関連薄い寄せ集めの代表例かも。

 Aleksandr Gauk(1893-1963烏克蘭)はステレオ録音が本格化する前に亡くなってしまった旧ソヴィエットの巨匠。Shostakovich 交響曲第3番「メーデー」の初演はこの人だそうです。ソヴィエット国立放送交響楽団(表記)とはモスクワ放送交響楽団のことだと思うけれど、ロジェストヴェンスキーの前任1953-1961年音楽監督を務めていたそう。Respighiは後Brilliantから発売された10枚ボックス2種にも含まれていないようです。

 交響詩「ローマの松」は三部作中一番人気、三管編成+多種多様な打楽器+ブッキーナ?とかいう特殊楽器、舞台裏のバンダも動員されるデーハーな作品、できれば新しいピカピカの録音、パワフルなオケで聴きたい作品です。旧ソヴィエットの1960年はステレオが実用化されていなかったっぽいし、一般に音質水準は期待できないもの。幸い、これはモノラルでもかなり明快な音質。

 67歳のガウクはやや鈍重な感じだけれど、重量感重厚な風情にオケはパワフル、けっこう上手いオケだと思います。「ボルゲーゼ荘の松」は華やかな開始(3:05)「カタコンバ付近の松」に於ける静謐なトランペットはエッチなヴィヴラートから厚みのある弦が盛り上げて無慈悲に炸裂する管と呼応します(6:12)。「ジャニコロの松」はたっぷりと幻想的に静謐、この辺り露西亜のオケらしい濃厚なる夜の歌を堪能可能、ナイチンゲールの声は鮮明(7:06)そしてクライマックスに向けて粛々と軍隊の行進が始まる「アッピア街道の松」へ。ここ舞台上方に別働隊(バンダ)が実演だとすごく効果的、衝撃的ですよ。暑苦しい金管爆発、やや乱れる統率もライヴのリアル、熱狂的な拍手がそっけなく途切れるのはYedangClassicsの特徴です。(5:02)

 「チェロと管弦楽のためのアダージョと変奏」はなぜあまり知られていないか?不思議な名曲、ロストロポーヴィチによる色気たっぷり甘い詠嘆の連続に、目眩がするほど陶酔必須な10:49。音質かなり良好、ちゃんとしたステレオ録音。コンドラシンによるバックもデリケートでした。

 ラスト無定見意味不明なる組み合わせはRavel スペイン狂詩曲。Gennady Rozhdestvensky(1931ー2018露西亜)27歳の記録。モスクワ・フィルとの組み合わせも珍しいでしょう。解像度の高い良心的なモノラル録音。物憂く幻想的に静謐なPrelude a la nuit(夜への前奏曲)(3:54)Malaguena(マラゲーニャ)は西班牙のリズムにオケのコントロールは自在でした。(1:56)。そのままの風情を維持してHabanera(ハバネラ)は繊細(2:28)Feria(祭り)に於ける木管の細かい音形はオケの技量を物語って、金管のキレも充分。明るく軽快なるリズムにカスタネットも響きます。(5:51)この時期からロジェストヴェンスキーは名人だったのですね。

(2022年3月16日)

 「ロストロポーヴィチ・シリーズ」という10枚組を購入したら、こんな一枚が収録されておりました。それにしても珍妙なるコンピレーションでして・・・う〜む「20世紀管弦楽作品」つながりか?演奏者もバラバラ、いちおうロストロポーヴィチも存在しております。妙にそそられる音源・・・かも。@400ほどなら許してあげても良いでしょう。

 アレクサンドル・ガウク(1893-1963)は、ムラヴィンスキーとかスヴェトラーノフの先生筋にあたる人で来日したこともある由(1958年レニングラード・フィル)。エエ顔してますね、優しそうなおじさん風で。お師匠さんのほうがバランス感覚あるか。

 「ローマの松」始まりました。いつもながらオケ表記がよくわからない。モスクワ放響のことですか?それなり状態のモノラル録音であり、華やかで厚みのある響きが堪能できました。「カタコンブ付近の松」では、期待通りのヴィヴラート過多の金管が楽しめます。トランペットもホルンも、んもうビロビロで怪しいこと!「ジャニコロの松」は充分に静謐であり、クラリネット・ソロ(かなり強靱な音色)と弦の絡み合いも充分繊細で、幻想的なオケ。

 さて、ラスト期待の「アッピア街道の松」・・・妖しいイングリッシュ・ホルンから種々木管が絡み合って、金管の行進登場となります。先日、カラヤン/ベルリン・フィル(1977年)による圧倒的に洗練され、華やかな完璧技巧を聴いたばかり(録音極上)だけれど、こちら粗野な叫び(少々アンサンブルの乱れ有)もなかなかの臨場感はライヴならではのもの。ナマで経験したら、もっと凄いことなんでしょ、きっと。

 「アダージョと変奏」は、ロストポローヴィチが”いかにも”的、悠々とした雄弁であって、わずか10分ほどの小品。甘く優しく、静かな旋律が続きました。彼のセクシー(過ぎ?)なチェロ(高音の詠嘆が切ない)はもちろんだけれど、コンドラシンのバックが繊細ですね。(途中、収録マイクを叩くようなノイズ入るが)やや、オフ・マイクで自然な音質でした。

 Ravel 「スペイン狂詩曲」は、ロジェストヴェンスキー37歳・若き日の記録です。「夜への前奏曲」は気怠くも寝苦しく、「マラゲーニャ」のリズムは少々素っ気なく走り過ぎか。彼も未だ若かったのでしょうか。「ハヴァネラ」は少々素っ気なくて、テンポも速いし、面白みに不足すると感じるのは、後年の彼のアクを知っているからですか?粋な味わいも足りないか。走り過ぎか。

 全体として仕上げはていねいだけれど、少々薄味な「市場」かな。アンサンブルの整え方、技量は立派だけど、ようわからん演奏かも知れません。モノラルだけれど、音質はかなり鮮明で奥行き感じました。(拍手収録されず)

(2006年5月5日)

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written by wabisuke hayashi