Ravel バレエ音楽「ダフニスとクロエ」全曲
(ゲンナジ・ロジェストヴェンスキー/ソヴィエット国立放送交響楽団)


YEDANGCLASSICS YCC-0165 美しいデザインです Ravel

バレエ音楽「ダフニスとクロエ」全曲

ゲンナジ・ロジェストヴェンスキー/ソヴィエット国立放送交響楽団/合唱団

YEDANGCLASSICS YCC-0165 1962年録音 10枚組3,990円

 ”ぼんやりしているとカネも、店頭CD在庫もなくなる”、”あぶく銭は一気に使え”という(勝手な自主)鉄則に従って、YEDANGCLASSICS(旧ソヴィエット音源てんこ盛り)をオトナ買いしたのは4年ほど前だったか?ま、玉石混淆で、気に喰わないものはけっこうオークションで処分したが、未だ棚中上段にずらり!偉容を誇って陳列されているシリーズであります。じつはこのCDだって、露西亜のRavel ?1962年〜どーせ、とんでもない粗っぽいサウンドで一回聴けば充分でしょ、的事前予測(偏見)を以て臨んだけれど、大きく目論見は外れました。

 歴史的録音は価値あるものも多いが、1960年代初頭の露西亜。他の音源から類推しても、きっと酷い音だろうなと想像しておりました。緻密なRavel には致命的な損失か・・・ところがっ!ワリと鮮明、聴きやすい音であり、しかも驚くべき繊細なアンサンブルでありました。若きロジェストヴェンスキー31歳、侮るべからず。

 Ravel は「瑞西の精密時計」と称されるように、細部精緻に一点の曖昧さもなく表現していただきたい。但し、独墺的がっちり構成されるのも困りものでして、美しくも柔軟性と実力あるオケでしっかりと+セクシーさも求めたい〜とは勝手な所望であります。で、先入観的に「ロジェストヴェンスキー」「露西亜の脂ぎったオケ」というのは、どーもあかんような気がする・・・ってフツウそう思うじゃないですか。

 濡れたような官能的な音・・・ではないが、序奏〜宗教的な踊りで始まる冒頭から、粗削りではない鮮明さを誇って、しかも(期待通り)金管の炸裂(ロシアン・ヴィヴラートは充分セクシー)が素晴らしい。女声合唱の存在が効果的であって、全体としてホンワカ曖昧とはしていないし、さっぱり味でもないが違和感はまったくなし。

 弦も木管も少々硬質金属的な響きなんだけど、良くコントロールされて節度を以て歌うんです。アンサンブルの集中力は賞賛されるべき。上手いオケですよ。ヴァイオリンやチェロのソロ、木管の各パートも惚れ惚れするほど。打楽器+金管の活躍は文句なしの強烈さ有。色彩豊かな演奏だけれど、彼としては抑制しているんだろうな、きっと。お下品に至らず。

 仏蘭西音楽って、日本じゃどうなんでしょうか。独墺系しっかりと構築された音楽(代表例BBB)、一糸乱れぬ規律ある演奏が相変わらず人気なのか。この「ダフニス」も、つかみどころのないようなエピソードの連続だけれど、演奏会の演目にあまり載らないのは楽器編成が大きいからか。「美しくも柔軟性と実力あるオケでしっかりと+セクシーさも」を期待すると日本のオケでは厳しいかも。

 この録音はおそらくは放送録音であって、拍手やノイズなし。ジャケット写真も素敵ですね。全55分、15トラック分けも配慮があって(ワタシ所有のデュトワ盤にはなかった)ここ数日繰り返して、飽きません。ミュンシュ、モントゥー、アンセルメ等往年の名匠達の録音にひけを取らぬ価値(おそらく)有。もちろん現役の録音にもそう遅れは取らないでしょう。

 掟破りの蛇足を〜執筆数日後、アンドレ・クリュタンス/パリ音楽院管弦楽団(1962年)の録音を拝聴。技術とか音質とか、そういうことではない”香気”が溢れます。それは明快で華やかな官能、洗練と気品、わかりやすく盤石の自信であり、体質みたいなものでしょうか。なんせオケの音が素晴らしい。あまり著名で評価の定まったものを称揚するのは性格的に似合わないが、若きロジェストヴェンスキーが少々色褪せて聞こえたものです。申し訳ない。 

(2008年10月24日)


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written by wabisuke hayashi