Ravel クープランの墓/R.Strauss 交響詩「ドン・キホーテ」/
Rachmaninov ピアノ協奏曲第3番ニ短調
(シャルル・デュトワ/シカゴ交響楽団/
ニコライ・ルガンスキー(p)2007-2012年ライヴ)


Charles Dutoit/1936ー Ravel

クープランの墓(2007年ライヴ)
Prelude/Forlane/Menuet/Rigaudon

R.Strauss

交響詩「ドン・キホーテ」
ジョン・シャープ(vc)/チャールズ・ピクラー(va)

Rachmaninov

ピアノ協奏曲第3番ニ短調
ニコライ・ルガンスキー(p)(以上2012年ライヴ)

シャルル・デュトワ/シカゴ交響楽団/ニコライ・ルガンスキー(p)

ネットより入手音源

 セクハラで訴えられていることはさておき、瑞西出身の大ヴェテランCharles Dutoit(1936-)は日本でもお馴染み、モントリオール交響楽団在任中(1977ー2002)その洗練されたサウンドが高い評価を受けました。英DECCAの優秀録音にも恵まれ、録音を聴く限り、オケ問わずどれも薫り高い水準に満足することが多いもの。こうして亜米利加の雄、シカゴ交響楽団にも登場していたのですね。これは放送用録音?ネットより入手した音源は状態極めて良好です。若い頃は貧しかったので、著名な演奏は(ライヴも)FM放送からカセット・テープに録音して愉しんだもの・・・そんな感じを思い出しました。この3曲の演奏の完成度には驚かされました。

 「クープランの墓」は静謐、小粋なメルヘン作品。冒頭オーボエ・ソロがくるくるとアルペジオを奏でるところから夢見心地、デリケートな仕上げは歴代フリッツ・ライナー(1953-1962)ジョージ・ショルティ(1969-1991)の強面イメージが強いけれど、仏蘭西人ジャン・マルティノンがシェフを務めたこともありました。(1963-1968。その時期録音された仏蘭西音楽の輝かしいこと!)時代はすっかり変わって、しっとり瑞々しく緻密に整ったアンサンブル(この管楽器はあきらかに難しそう)は、目隠しで聴けば大都会・亜米利加のオケとは俄に気付かぬ洗練であります。この辺りはデュトワの薫陶の成果なのかも。(17:13ほど)

 「大管弦楽のための騎士的な性格の主題による幻想的変奏曲」との副題を持つらしい「ドン・キホーテ」はシカゴ交響楽団の十八番(おはこ/フリッツ・ライナー/アントニオ・ヤニグロ(v)1960年)のイメージ。かつてはつかみ所のない作品と感じて苦手系だったけれど、変幻自在な変奏曲はお気に入りとなりました。ジョン・シャープ(vc)とチャールズ・ピクラー(va)二人の首席はダニエル・バレンボイム録音(1991年)でもソロを務めておりました。どの作品でもそうなんだけど、ムリムリなテンポ変化、極端な強弱強化、タメとか、ほとんどそういう表現とは無縁な自然派、硬派なメリハリサウンドなイメージのシカゴ響も、いつになくセクシーかつ柔らかなフレージング、しかも基本技術がしっかりしているから曖昧さもない。団員であるソリストも特異な個性を主張するのではなく、アンサンブルに溶け込んで耳あたりよろしい抜群のバランス成果でした。(45:02ほど)

 Nikolai Lugansky(1972ー)は既にRachmaninovのピアノ協奏曲全集を録音している手練(2002-5年)、旬のピアニストでしょう。カデンツァはOssiaではない(と思う)。こどもの頃からの刷り込みだから第2番ハ短調の甘美な旋律が大好き、こちら第3番はニ短調は技巧に走りすぎて、旋律がイマイチ・・・なんて、そんな先入観を一掃する凄い演奏でっせ、これ。ピアニストは超絶技巧を駆使して作品入り込んで疾走し、没入し・・・みたいな印象が多いのだけれど、ルガンスキーは力みも疾走もなく流麗そのもの、旋律はきらきらと美しく輝きます。こんな美しい作品だっけ?

 デュトワ率いるオケが極上、Rachamninovの旋律を浮き立たせて、ライヴでも響きは濁らずしっとりバランス仕上げは前2曲と変わらない。こりゃ交響曲全集(フィラデルフィア管弦楽団1990-93年)を聴くべきかな。ピアノ・ソロの技巧は完璧。中庸からやや遅めのテンポ、熱狂に走ったりせず、むしろ淡々と粒揃いの音色が緻密に美しい。ピアノとオケが丁々発止とやり取りする演奏は経験しているけれど、最初っから最後迄過不足なく、作品旋律の魅力を引き出して快く、心安らかに聴ける成果を初めて経験いたしました。ラストの華やかな盛り上がりも充分に満足。(44:54ほど)+熱狂的な拍手にアンコールは鮮やかな前奏曲嬰ト短調でした。

(2018年8月19日)

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written by wabisuke hayashi