Ravel バレエ組曲「ダフニスとクロエ」第2組曲/Debussy 夜想曲
(ジョルジュ・プレートル/ロイヤル・フィル)


Chesky CD-101 Ravel

バレエ組曲「ダフニスとクロエ」第2組曲*(夜明け/無言劇/全員の踊り)

Debussy

夜想曲(雲/祭)

ジョルジュ・プレートル/ロイヤル・フィル/ビーチャム・コラール・ソサエティ*(1963年)

Debussy

夢想/月の光/亜麻色の髪の乙女/沈める寺/小組曲「行列」/ゴリウォークのケーク・ウォーク/小さな羊飼い

エリック・ハマースタイン/ロンドン・フィルハーモニー・プロムナード管弦楽団(1964年)

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 1960年代の前半頃、リーダーズダイジェスト社が英DECCAの録音スタッフを使って、意欲的な録音を出しておりました。現在はChsekyでCD化され、演奏内容音質とも現役であります。ロイヤル・フィルはトーマス・ビーチャムが亡くなり(1879-1961)ルドルフ・ケンペが首席を務めていた(1961-1975)頃、Georges Pretreは39歳の若手でした。噂通りの鮮明な音質、このオケは例の如し強烈な金管炸裂! 切れ味たっぷりの素晴らしい迫力、整ったアンサンブルをたっぷり聴かせてくださいました。

 「ダフニス」はいきなり「夜明け」のフルートの細かい分散和音(なんて音数が多いことでしょう!)+ハープの神秘的なサウンドに載せてきらきら、輝かしい朝日が繊細に表現されてオケの腕の見せどころでしょう。そこに合唱のヴォカリーズ参入すると、爽やか雄大な情景が広がります。「無言歌」の「愛の歌」にはジェフリー・ギルバート(Geoffrey Gilbert)のクレジット有、当時の首席ですか?彼(ヴィヴラート少なめ、クールな音色)に限らず、どの木管パートも切れのある個性を主張して、英国のオケが仏蘭西音楽?みたいな疑念を払拭して、軽みと粋、華やかさはちゃんとありましたよ。Ravelだから精緻精密なアンサンブルは必須、雰囲気はあっても曖昧さはない。「全員の踊り」のノリ、リズム感の良さ+金管が爆発!打楽器、合唱は輝かしいクライマックスを作り出しました。

 夜想曲「シレーヌ」省略が残念、合唱団は忙しかったんでしょうか。「雲 (Nuages)」〜形のないものを表現するDebussyは天才です。物憂いクラリネットがゆっくり形を変えつつある雲の動きを象徴して、イングリッシュホルンは「セーヌ河の汽船の警笛」らしい。いずれ、低く垂れ込めた灰色の情景が眼前に浮かびます。ド・シロウト(=ワシ)でもRavelとDebussyの個性の違いははっきり認識できて、かなり理詰めな前者に対してこちら、まったく独創的。プレートルは静謐な世界をていねいに描いております。

  「祭 (Fetes)」はいきなりロイヤル・フィルの輝かしい金管炸裂!ここはフクザツなリズムですね。遠くからの行列の接近はRespighiの「ローマの松」を連想しませんか?(どちらが先なのか)ぐっとテンポを落として、アクセント明確に徐々にテンポを上げて絶叫するオケ、小太鼓の雄弁さも特筆すべきでしょう。最終版に向けて、更にテンポアップ!熱狂的なアッチェレランドも決まっております。ラストは静謐に名残惜しい。

 残りはエリック・ハマースタインが担当する編曲もの。この人はライトクラシック?系の人でしょうか。いかにもゴージャスな雰囲気たっぷり、先程までのプレートルとは大違い、あまり品のよろしいサウンドではない(オンマイクにかなり刺激的)でしょう。オケの技量にも差があってフルート、オーボエなど歴然です。「亜麻色の髪の乙女」はピアノ協奏曲風+ヴォカリーズの合唱も参入して趣向ありました。「沈める寺」はほとんど「展覧会の絵」(まるでストコフスキー!)風。「行列」は逆にピアノが参入しております。「ゴリウォークのケーク・ウォーク」はほとんど亜米利加アニメのテーマ風。オリジナルLPフィル・アップはたしか、Franckの交響詩だったと記憶するから、CD化にあたってはもう少々配慮が欲しかったところ。

(2016年12月10日)

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written by wabisuke hayashi