Ravel 左手のためのピアノ協奏曲/ピアノ協奏曲ト長調/
ツィガーヌ(アルド・チッコリーニ(p)/ジャン・マルティノン/パリ管弦楽団/イツァーク・パールマン(v))


EMI 5755262 Ravel

左手のためのピアノ協奏曲
ピアノ協奏曲ト長調

アルド・チッコリーニ(p)

ツィガーヌ

イツァーク・パールマン(v)

ジャン・マルティノン/パリ管弦楽団

EMI 5 75526 2/CD8  1974年録音

 仏蘭西近代の作品は一般にお気に入り、二大巨塔であるDebussy/Ravel だったら旋律嗜好的に後者かな?メルヘンに溢れた旋律、キラキラ華やかなサウンド、緻密に計算された透明なる完成度・・・アルド・チッコリーニ(1925-2015/伊太利亜→仏蘭西)充分な長寿とは云え、稀有な個性を失ったのは残念至極(ちなみに親父と同年代)EMIに残された膨大な録音、晩年あちこちのレーベル(種々メーカーの楽器を使用した)音源をぼちぼち聴いておりました。ジャン・マルティノン(1910-1976)は残された録音、どれを聴いても、その完成度・個性に驚かされます。彼のDebussy/Ravel (EMI8枚組)は座右に置くべきリファレンス(参照の基準)。

 (一部の世評曰く)オケがヘタクソ、アンサンブルが粗い(微妙にズレる)、サウンドが薄っぺらい〜って、これが華やかな個性なんですよ。シカゴ交響楽団を振っていた(1963-1968)人だからマルティノンはわかっていたと思いますよ、んなこと。Ravel は精緻精密な音楽だけど、精緻精密一糸乱れぬ生真面目盤石アンサンブルがすべてを解決するわけでもないでしょ。高級品質CDに非ず、こちら通常CDでもかなり音質良好と思います。

 「左手」始まりました。大仰重厚っぽい怪しげオケの出足もシニカルでエエ感じ。凄いですよね、ワタシ如きド・シロウトがうっかり聴けば片手演奏とは俄に気付かぬほど、圧巻の効果!芯のある明晰な音色は楽器はスタインウエイかな?(違ったらごめんなさい/もうちょっと響きが柔らかいような気もする)物憂い出足から、やがて中盤に入って行進曲風に、抜いたところ、木管の高音はまるで「おもちゃの行進」みたい。華やか、雰囲気たっぷりなオケと(流れは良いけれど、ばりばり弾き進まぬ)粋なピアノとのからみ合いが愉しい!名曲中の名曲。

 「のだめ」ブームからすっかり有名になったト長調協奏曲は気紛れ、素っ頓狂、ユーモラス、キラキラしてほんまに愉しい!こんな作品に肉厚なサウンドは似合わないと思いますよ。第1楽章「Allegramente」は鞭〜ピッコロ〜ブルース〜金管のジャズ奏法って、伝統的なピアノ協奏曲とは一線を画して新しい世界。相変わらずチッコリーニは小粋に軽快でっせ。オケの賑々しい軽快さも絶好調(と、ワタシは思うんですが・・・そんなにアンサンブルが気になりましょうか)

 第2楽章「Adagio assai」3/4拍子なのに、そうは聴こえぬフクザツさはテレビの教養番組で知りました。Satie辺りを連想させる、美しくも静謐な世界が続いてシンプル、ちょっぴりもの哀しく涼し気な風情が広がりました。ピアノは繊細そのもの。ここ前楽章の華やかなお祭り気分とは正反対、落ち着いた幻想風景が広がります。第3楽章「Presto」。「ペトルーシュカ」に一脈通じるお祭り気分は時代の証言か、躍動するリズム、クラリネットの甲高い叫び、挙句(団塊の世代なら皆知っている)「ゴジラ旋律」登場!小粋、軽妙な味わいの典型的演奏也。仏蘭西的曖昧さを嫌ったブーレーズ(新旧録音)、こだわりも遠慮もない切れ味披瀝する新世代の演奏も比較再確認したいもの。

 「ツィガーヌ」は10分ほどの泥臭い旋律の名曲(あたりまえだけど、ツィゴイネルワイゼンに似ている)。パールマン29歳、前半はたっぷりとして余裕の低弦が唸(うな)り、やがて参入するハープは幻想的、BartokとかKodalyを連想させるオリエンタルな旋律に、ヴァイオリンのいかにも超絶技巧(ピチカート、フラジオレットとか)が絡んでやがてテンポアップ、ヒートアップ。

(2015年7月4日)


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written by wabisuke hayashi