R.Strauss アルプス交響曲
(ハルトムート・ヘンヒェン/オランダ・フィル)


Brilliant BRL6366 R.Strauss

アルプス交響曲 作品64

ハルトムート・ヘンヒェン/オランダ・フィル

Brilliant BRL6366 1999年ライヴ

"ずいぶんと野暮ったいオーケストラのサウンド"なんて当時(13年前)は感じたけれど、印象一変!自然な豊かな残響は百難隠す奥行き空間広がる音質、余裕のスケールたっぷりっすよ。Netherland Philは放送フィルとは別団体、アムステルダムにてオペラのピットにも入るらしい立派なアンサンブル。Hartmut Haenchen(1943ー独逸)はオペラ畑のヴェテラン、特別あざとい表現、ムリムリ力こぶも存在しないのに、清涼爽快な世界が淡々と広がって眼前に浮かぶ自然描写最高。(「音楽日誌」2021年7月より)
 初演は1915年作曲者自らの指揮、シュターツカペレ・ドレスデンとのこと。巨大なる4管編成、オルガン、ワグナー・チューバ+多種多様な打楽器、ウィンドマシーン(風音器)サンダーマシーン(雷音器)迄入る大きな作品。夜の動機、山の動機、太陽の動機、山登りの動機、頂上の動機、リアルな風、遠雷、雷鳴が一日にの流れに沿って表現され、音による大パノラマに爽快なる感銘を受ける名作。

 自分がその昔未だ廉価盤CDフリークであった頃3枚組1,000円也にて入手したもの。Capriccio原盤。R.Straussは作品そのものがデーハーに巨魁、オーケストラの技量やら録音状態必須な作品、自然描写に優れた Eine Alpensinfonieは、いくらムラヴィンスキーの厳しい表現が立派でも(1962年)モノラルは残念、欧米の優れたオーケストラによるパワフルなサウンドが聴きたくなります。フリッツ・ライナーとかカラヤン辺り、鉄板の存在でしょう。欧州伝統の木目なサウンド=ルドルフ・ケンペ/本家ドレスデン全集というのも有。こちら、指揮者もオーケストラも日本では知名度薄きジミな存在でしょう。先入観抜きに拝聴して、ちょいと痺れました。あまりの快さに”二度連続聴きした”とメモが残っております。

 作った不自然さを感じさせぬ残響豊かな音質、広がり奥行き、艶々に強靭刺激的ではない金管のサウンド、弦の涼やかな色合い、ムリムリな雄弁さを強調しない表現。ハデさはないけれど、技量やらパワーにもさほどの不足を感じぬ素朴な余裕。聴き疲れしない、弱音でのテンションの落ち込みもない。これ以上の個別コメントは不可。以下作品の流れのみ書いてお茶濁し。

 暗く静謐な夜 Nacht(3:07)日の出 Sonnenaufgangは輝かしくも爽快(1:25)登り道 Der Anstieg(舞台裏でホルンを中心とした金管楽器のファンファーレ/以下Wikiより引用)(2:21)森への立ち入り Eintritt in den Wald(トロンボーンとホルンによる)(6:13)小川に沿っての歩み Wanderung neben dem Bache(0:47)滝 Am Wasserfall (ハープ・チェレスタによる滝の流れ)(0:14)幻影 Erscheinung(水の中オーボエの旋律による幻影)(0:44)花咲く草原 Auf blumigen Wiesen (0:55)山の牧場 Auf der Alm(カウベルによる牛の存在、牛の鳴き声とアルプホルンを模したホルン)(2:14)林で道に迷う Durch Dickicht und Gestrupp auf Irrwegen(1:26)氷河 Auf dem Gletscher(4:31)危険な瞬間 Gefahrvolle Augenblicke(遠くから雷鳴(ティンパニのロール)(1:19)頂上にて Auf dem Gipfel(トロンボーンが頂上の動機)(3:46)情景 Vision(3:46)霧が立ちのぼる Nebel steigen auf(ファゴットとヘッケルフォーン(?)が不安げな旋律を奏でる)(0:19)しだいに日がかげる Die Sonne verdustert sich allmahlich(0:48)哀歌 Elegie (2:12)嵐の前の静けさ Stille vor dem Sturm 遠くから雷(バスドラムとサスペンデッドシンバル)風が吹き出してくる(ウィンドマシーン)(2:44)雷雨と嵐、下山 Gewitter und Sturm, Abstieg(オルガンの和音とウィンドマシーンによる風 サンダーマシーンによる落雷)(3:40)日没 Sonnenuntergang(2:18)終末 Ausklang(オルガンによる太陽の動機)(6:02)夜 Nacht (2:06)

 できるだけボリュームを上げてしっかり集中したい演奏でした。

(2021年10月2日)

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written by wabisuke hayashi