Prokofiev 交響曲 第1番 ニ長調「古典」作品25/交響曲 第5番 変ロ長調 作品100/
ロシア序曲 作品72(ジャン・マルティノン/フランス国立放送管弦楽団)


VOXBOX CDX5001 Prokofiev

交響曲 第1番 ニ長調「古典」作品25
交響曲 第5番 変ロ長調 作品100
ロシア序曲 作品72

ジャン・マルティノン/フランス国立放送管弦楽団

VOXBOX CDX5001 1971年頃録音

 Prokofievとは少々疎遠で、熱心な聴き手とは言えぬ不良音楽ファンであります。著名なる交響曲第5番、ピアノ協奏曲第3番ハ長調だって、若い頃はウケ狙い作品(!?)っぽく聴こえて好きではなかった。やがて幾星霜、馬齢を重ねるとシニカルで硬派な旋律リズムが妙に心に染みる今日この頃、彼の音楽に対峙すべき時期がやって参りました。LP時代より馴染みのVOX録音は、かつて劣悪なる音質に悩まされた記憶もあります。1975年に亡くなったマルティノン最晩年の録音。まぁまぁの音質でしょう。ちょっと響きが濁るのも懐かしい記憶也。作品が進むにつれ、それも気にならなくなります。

 誰も知っている、擬古典的名曲交響曲 第1番 ニ長調「古典」は颯爽と速めのテンポにて開始されました。第2楽章「ラルゲット」もさらりとして粋な味わい、第3楽章のメヌエットも品のある舞曲に仕上がっております。オーバーアクションなるテンポの動きも少ない。最終楽章は快速パッセージの木管が華やかで美しい。洗練され、力みはどこにもない。ま、もとより力むような作品じゃありませんから。オケの技量は上々であります。

 交響曲第5番 変ロ長調は、(たしか)カラヤンのCDで出会ったんです。これが全然アカンかったような、ユルく盛り上がらなかった記憶有。現在なら是々非々で聴ける寛容を身に付けたが、あちこち苦手系音楽に至った遠因はカラヤンにあったのかも・・・今聴いたらわかりませんよ、どんな感想になるのか。 これがマルティノンの手に掛かると(先ほどの第1番同様)颯爽と粋な作品に聴こえるから不思議なものです。第1楽章「アンダンテ」は陰影と頻繁なる転調に溢れた、カッコ良い旋律続きます。響きは明晰、重苦しさを感じさせない。静謐に開始され、やがて諄々と響きの厚みと幅を増していきます。

 第2楽章「アレグロ・モデラート」は落ち着きのないスケルツォであって、どこか近代工場のオートメーションを連想させます。軽妙なるリズム感、木管の多彩な響き、アンサンブルは極めて優秀であります。途中テンポが遅くなって剽軽ユーモラスな旋律は継続するが、どこか不安、シニカルであります、これぞProkofievの個性でしょう。やがてテンポは快速に復旧して〜突然終わっちゃう。走り疲れ、電池が切れたロボットみたい。

 第3楽章「アダージョ」。悲劇的であり、ややつかみどころのない弦の旋律が主体が続きます。やがてそれは管楽器、打楽器が加わって葬送行進曲風に。それはありきたりのリズムじゃなく、妙につっかかったり、激昂したり(金管打楽器を伴ってそうとうな迫力)複雑な味わいを伴っておりました。シンプルな哀しみでも安寧でもない、一筋縄でではいかぬ緩徐楽章也。やはり不安か。

 第4楽章「アレグロ」ってカッコ良いリズムですよね。静謐なる序奏は即終了、印象的な木管の旋律(ユーモラス?不機嫌のような・・・)〜弦に引き継がれ、快速ノリノリに音楽は進んでいくが、爆発はなかなかやってこない。小走りに、あちこちエピソードを振りまきながら安易なる大団円とはしないところがProkofievでしょう。マルティノンは精密かつ繊細なアンサンブルで、各パートの響きを混沌とさせない。この作品にはウッドブロック、タンブリン、トライアングル、小太鼓、シンバル、大太鼓、タムタム、ティンパニ、ハープ、ピアノ多彩なる打楽器が含まれるんだけれど、ここではあまり表に出ないというか、バランス最優先にてコントロールしているのでしょう。ラスト、打楽器勢揃いで盛り上げて全曲を終了。

 これは、もっと粗野に、ド迫力に仕上げる手もあったでしょう。音質は第1番より聴きやすい。

 ロシア序曲は変拍子、頻繁にテンポが変わる賑々しい、派手な13分ほどの作品。愉しいですよ。4管編成に+ピアノといった大柄な作品です。1936年作曲とのことだから「ロメオとジュリエット」と同時期か。

(2011年9月17日)

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written by wabisuke hayashi