Mussorgsky/Ravel 組曲「展覧会の絵」/
高雅にして感傷的なワルツ他(エリアフ・インバル/フランス国立管弦楽団)


これはDENON盤 Mussorgsky/Ravel 編

組曲「展覧会の絵」

Debussy/Ravel 編

「ステイリー風のタランテラ」〜舞曲
「ピアノのために」〜サラバンド

Ravel

高雅にして感傷的なワルツ

エリアフ・インバル/フランス国立管弦楽団

BRL6430 1987-89年録音 (写真はDENON盤)

 インバルって、いくつになったんでしたっけ。1936年生まれだから、もう80歳に近いのか・・・Mahler 、Bruckner、Shostakovich辺り、大物全集を次々録音して最盛期はバブル時期?(この録音辺り)デビュー録音はたしかコンセルトヘボウとのDebussy(1967年?)だったはず、仏蘭西ものは得意だったのでしょうか。

 ところがこのRavel 管弦楽集4枚組は、いくら聴いても好きになれんかった。高級オーディオならば、最高の音質!らしいけど、我が貧者のオーディオなら雰囲気ごく一部を味わうのみ、たしかに自然な奥行き、各楽器パートの定位の確かさを感じる程度、なんやおとなしい音質やなぁ、そんなこと感じさせるのは演奏そのものの個性でしょうか。収録音量レベル低く、かなりボリューム上げて拝聴したら〜うむ、たしかに鮮明な音質かも。

 フランス国立管弦楽団って、けっこう色彩的華やかな音だったはず。しかし、ここではそんなふうに感じさせない、インバルってけっこう暗いサウンド作る人ですよね。「展覧会の絵」は古今東西実力威力あるオケが華々しく実力アピール!そんな録音多いじゃないっすか。たしかに個々のパート(管楽器など)拝聴すると、それなり色気もあるけれど、インバルにとことん整えられたアンサンブルの結果、もの凄くジミというかインパクト、訴求力の弱いサウンドに至っております。

 大見得とか極端なデフォルメ表現を嫌う、緻密内向的な解釈。いくつかネットでの評価を伺うと”オケが弱い”との声有、そうかな?知的抑制表現が、オケとの個性とマッチしていないだけなんでしょう。エンターティメントに非ず、静謐な場面はもちろん、激しい大音響、ラスト”バーバ・ヤガ”、”キエフの大門”のクライマックスに至っても、体温は上がらぬ感じ。この作品に生理的快感を求めるのなら、スカみたいな演奏(ワタシもそう思っていた)、微に入り細を穿つ分析、洗練を聴きとるべき価値ある立派な演奏と気付きました。

 Debussyのピアノ曲編曲とは珍しい。これは文句なし、知的緻密な集中力が馴染みの旋律に新たな色彩を付け加えております。「ワルツ」は「展覧会の絵」同様の印象、エリアフ・インバルの解釈にブレはないんです。驚異的に整ったアンサンブル、微細なニュアンスをとことん徹底させ・・・結果、色気も粋もない、知的なサウンドができあがりました。

 たとえばブーレーズ。知的緻密正確であっても色気はたっぷりありました。こちら禁欲的な修行僧のように”美しい”、ムダを削ぎ落した音楽、10年ほど禁避してきたけど、今回はひとつの個性として受け止めました。リファレンスとか、日常座右に、とはいかぬけれど。

written by wabisuke hayashi