Tchaikovsky 交響曲第6番「悲愴」ロ短調 作品74聴き比べ/10年後


Tchaikovsky

交響曲第6番ロ短調 作品74「悲愴」

カラヤン/ベルリン・フィルハーモニー(1964年録音)

KAISER DISKS KC-0008  166円にて購入→処分済

大野和士/ザグレブ・フィルハーモニー(録音年不明)
交響詩「テンペスト」 ヴェルビツキー/スロヴァキア・フィルハーモニー
バレエ組曲「白鳥の湖」/「くるみ割り人形」 大野和士/ブラティスラヴァ放送交響楽団

CONCERTO 22005  2枚組500円で購入→処分済

ザンデルリンク/ベルリン交響楽団(1979年録音)

DENON GES-9219 166円にて購入→処分済

 10年経ちました。素朴で真面目、かつエエ加減な耳で聴いていた「悲愴」3枚のCDは、いずれ現在棚中に存在しません。その後、作品に対する苦手意識は消えて、けっこう甘美な旋律を日常聴く機会も多いものです。

 大野和士/ザグレブ・フィルのCDは、この文書を更新して間もなくBOOK・OFFに行ったはず。”全然鳴らないオケで、聴いていてじつにツラい演奏でした。響きが洗練されなくて、大人しすぎ”との記憶はたしかにあって、その後ザグレブ・フィルの(他の)録音はいくつか聴いているから、これは特別に不調だったのでしょう。その後、店頭では姿を見ない〜というか、そもそも店頭に行かなくなっておりますから。

 カラヤン/ベルリン・フィルの1964年DG録音のことはすっかり失念しておりました。もしかしたら、オークションにて第4〜6番3枚分、駅売海賊盤まとめて処分したのかも知れません。”スケール大きく、ハデな表現/クサイ旋律を恥ずかしげもなく、堂々と真正面から大見得を切ったような演奏”〜なるほどねぇ。カラヤンは「悲愴」を得意にしていて、6回ほど正規録音していたんでしたっけ?やがて、「カラヤン・シンフォニー・エディション(38CD)」を激安(駅売海賊盤の中古より安い総経費込5,182円)入手したら、1970年代の録音が含まれておりました。聴いていないはずはないんだけれど、どんな演奏だったがとんと記憶なし。ちゃんと聴かなくっちゃ。

 時代はどんどん変わっていて、CDの価格下落はもちろん、パブリック・ドメインとなった歴史的音源はネットで無料入手できるようになりました。ヘルベルト・カラヤン/フィルハーモニア管弦楽団による1955年録音は(少々の音質劣化気にせず)自主CD化いたしました。これが颯爽として流麗だけれど、後年ほどの手慣れた甘美ではない、けっこう引き締まって爽やか、しかも充分スケールのある洗練された味わい。気に入りましたよ。オケの個性かな?

 クルト・ザンデルリンク/ベルリン交響楽団(1979年)はつい先日、オークションにて処分いたしました。なかなか売れなかったな。”抑制された渋い響き/地に足が着いているというか、飾りがないというか、自然というか、ガンコというか”〜そんな演奏でしたっけ。ザンデルリンクの録音はいくつか棚中に残してあるが、彼の立派な、堂々とした構築物に少々違和感があって、意外と愉しめません(嗜好問題でしょう)。CDは売れなくなって、もうオークション出品は止めてしまったが、ラストに処分したのが「ソヴィエット・イヤーズ6枚組」でした。

 ちゃんと、また「悲愴」と向き合わないと。10年経ったら棚中メンバー総入れ替え、ってな感じ。

(2010年7月23日)

 「悲愴」が名曲であることを認めるに吝かではないが、じつに苦手。子供時分から聴いていて、旋律の細部にまで馴染みはあるが、どうも気恥ずかしい。昔からエア・チェックなんか絶対にしなかったし、自ら進んでCDを買おうとは思いません。ところが、8月に入ったわずか2週間で、4種類も買うことになってしまいました。上記3種にコヴェチェフ/ソフィア・フェスティヴァル管弦楽団(DARPRO RS 952-0040)4枚組800円也。

 コヴァチェフのは特製紙パックに後期交響曲3曲+主要管弦楽曲が納められてこの価格。数年前に買いそびれていたので、決意して買いました。大野和士さんのは、我が同胞だし、安かったし、たくさん売れ残っているのは可哀想で買って上げました。カラヤンとザンデルリンクは、古本屋さんで「6枚1,000円」の数合わせで買ったもの。言い訳はいくらでも付きます。

 この曲「こんな風な演奏が好みだなぁ」というのはないんです。ま、はっきり言って、いまだになにも発見できていない。12歳でオーマンディのLPを聴いていて、いまでもそのCDを聴くと安心するのはたしかながら、それではあまりに安易でしょう。ムラヴィンスキーの1960年DG録音は凄い。これは別格。別な曲を聴くような趣。ひたすら厳しい。

 大野和士さんのは、ま、録音の加減かも知れませんが、全然鳴らないオケで、聴いていてじつにツラい演奏でした。響きが洗練されなくて、大人しすぎ、地味過ぎ。技術的にヤバいのか、指揮者のリズムに付いていけないようであり、非常に取り柄の探しにくい、最後まで聴くのが困難なもの。(誰かにあげてもよい)期待は裏切られました。

(ヴェルビツキーさんて、誰か知らないが、せっかくのスロヴァキア・フィルもイマイチのアンサンブル。まだ、バレエ音楽のほうが楽しめます。きっとスロヴァキア放響のこと)

 カラヤンの演奏は(当然)初めて。カラヤンはこの曲を大得意にしていて、たくさんの録音が残っているはず。はっきり言って見直しました。オケの圧倒的な馬力にものを言わせて、もの凄く華麗で、バリ盛り上がりの演奏。「おお、悲愴にはこんな世界もあったのか」と感心さえする、スケール大きく、ハデな表現。ロシアとは無縁なスマートさで、ま、クサイ旋律を恥ずかしげもなく、堂々と真正面から大見得を切ったような演奏で、これはこれで納得の一枚。世評高いのも、あながちバカにできない説得力有。

 但し、このシリーズ、どうもLPからいい加減にCD化したみたいで、音量の大きなところで音が割れます。全体に自然さはあって、悪い音ではないが、この値段より高かったらお勧めしません。(ま、正規盤をちゃんと買いましょう。1,000円のもあったはず)

 ザンデルリンク盤が素晴らしい。この人はながくロシアで活躍した人ながら、生粋のドイツ人で「金管バリバリのえげつない響き」とは無縁です。ドイツ人はチャイコ好きだそうですが、いわゆるドイツ風演奏(この表現はヤバかったかな?ワタシのようなド素人が考えるような)で、抑制された渋い響きなんです。地に足が着いているというか、飾りがないというか、自然というか、ガンコというか。

 最初は地味すぎて、旋律の歌わせかたもずいぶんと大人しい。モゴモゴとなにやら呟いているようでもある。ところが、第1楽章終盤辺りから、すっと音楽に入っていけるようになります。第2楽章の中途半端なワルツも滋味深いし、スケルツォの抑制された爆発も説得力がある。

 オケがねぇ、じつにいいんですよ。ベルリン・フィルは感心します。上手い。ベルリン響(旧東)は、いぶし銀というか、墨色というか、なんともいえず落ち着いていて重心が低い。カラヤンのあとに聴くと、指揮者の個性の違いが明快で、カラヤンのはやはり表層的に思えてくるから不思議。

 終楽章が最高で、ブラームスの世界に近い。悲しみを心の奥に押し込めて、涙も見せず淡々としてはいるが、背中に哀愁が滲んでる・・・・といった風情でしょうか。最後までグイグイ引きつけてくれて、魅力的。もしかして、これ、大発見の演奏かも知れません。ワタシの「悲愴アレルギー」を治してくれるかも。(2000年8月17日更新)


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written by wabisuke hayashi