Dvora'k 交響曲第9番ホ短調 作品95「新世界より」
(ジュゼッペ・パターネ/ハンガリー国立管弦楽団)


Hungaroton SLPD 12501 Dvora'k

交響曲第9番ホ短調 作品95「新世界より」

ジュゼッペ・パターネ/ハンガリー国立管弦楽団

Hungaroton SLPD 12501 1982年録音

 24年前には手許に中古激安CDが存在して、19年前に再聴しております。CDはもちろん処分済、どんな演奏だったのかの記憶もないままに再聴いたしました。アダム・メドヴェツキーの「モルダウ」はさておき、2年ほど前ネットよりオリジナルLP板起こし音源をネットより入手出来。なんと1982年ディジタル録音だったとのこと。(すまんけどおそらく違法)Giuseppe Patane(1932ー1989伊太利亜)はオペラの人、ハンガリー国立歌劇場に呼ばれて、ついでの演奏会に「新世界」を取り上げたと想像しております。全曲一本ファイル44:04(楽章間含む)。音質はやや薄いけれど、かなり明晰でした。

 第1楽章「Adagio - Allegro molto」は提示部繰り返し有。テンポは微妙に揺れ、時にたっぷりタメて悠々と歌う入念な細部の描き込み。剛力なオケに非ず、あまり上手いオケじゃないけれど、精一杯鳴り切って雰囲気たっぷりに快い流れ、新世界への憧憬をしっかり感じさせる雰囲気ある出足。小学生時代心躍らせた初めての出会いはバーンスタイン/ニューヨーク・フィル(1962年)そんな感慨も蘇る新鮮な演奏であります。

 第2楽章「Largo」はイングリッシュ・ホルンによる「家路」〜誰でも知っている、黄昏の後ろ姿を彷彿とさせる名旋律。やや遅めのテンポに滔々とした節回し、切々と歌って叫び、寂寥の念深まる味わい深い演奏でしょう。中間部はフルートによる哀切の歌、ここのテンポはやや上げて、その緊張感もよろしいですね。いずれ日本人好みのツボにぴたり、永遠の人気を誇っていることでしょう。クライマックスの爆発は軽妙に速めのテンポ、そして懐かしい冒頭の旋律がしみじみ消えゆくように回帰する・・・この楽章は絶品の出来。

 第3楽章「Scherzo. Molto vivace」はトライアングルも入る(←ここではほとんど聞こえない)典型的に賑々しいスケルツォ。オケはちょいとパワー不足っぽい感じ。力みなくサラサラと流して、終楽章に向け抑制したパターネの深慮遠謀かも。第4楽章「Allegro con fuoco」は切迫した序奏に呼び込まれるシンプルな第1主題はホルンとトランペットによるもの、テンポは中庸に緊張感を維持して、オケはやはり迫力と厚みが足りない。シンバルの静かな一撃も聞き取りにくいのは我がオーディオの責任でしょう。展開部は一気にテンポ・アップ、軽快にクライマックス、フィナーレへと走ります。テンポの揺れ、静謐なる回想は味わい深く、たっぷりと歌って伊太利亜らしい「新世界」を締めくくりました。

(2022年3月12日)

HUNGAROTON HRC064 1970年代?の録音 Dvora'k

交響曲第9番ホ短調 作品95「新世界より」

ジュゼッペ・パターネ/ハンガリー国立管弦楽団

Smetana

交響詩「モルダウ」

アダム・メドヴェツキー/ブダペスト・フィルハーモニー

HUNGAROTON HRC064 1970年代?の録音   350円(BOOK・OFF)で購入

 2003年再聴です。結論的に言うと、ざっくりとした味わいがあって、勢いとノリで聴かせる方向でしょうか。神経質で精密、という世界とはかなり違っていて、もっと自由なる「歌」を感じさせます。最近、こういった類の演奏は少ないでしょうね。アンサンブルが粗いわけでもないし、仕上げが雑というのでもない。

 オケの響きが明るくて、重くないのはパターネの個性でしょうか。冒頭の、ちょっと思わせぶり夜明け前風景はなんとサッパリしたもの〜あとは、ハズむような疾走ぶりが快くて、嗚呼、とても楽しい。ラルゴも無用に粘らず、サラリと懐かしいもんです。中間部の低弦部のピツィカートにもリズム感がいっぱい。

 オケは特別な色気とか技量を感じさせません。でもね、このウキウキ感は貴重でしょ。この人の旋律の歌わせ方は独特だな。自然な呼吸を感じさせるが、それはBrucknerのなが〜い和音ではなくて、もっと日常の生活の歌のように親しげで、気取ったところはないんです。深刻さも皆無。

 終楽章、途中からテンポ・アップしましたね。さあ、みんなで歌いながら帰ろうね、みたいな。そして旋律が短調に暗転すると、テンポは揺れて遅くなったり、早くなったり。それは「自然な呼吸」なんです。「新世界」は幸せの交響曲だけど、パターネのは(いままで聴いたウチ)一番楽しげで、これは特別な価値ある、親しげ「新世界」の一枚。

 メドヴェツキーって誰?でも、この「モルダウ」、泣けます。どこのバカ野郎だ?「悪くない演奏」なんて書いたのは。これほどシミジミさせて下さったのは、ノイマン/ゲヴァントハウス以来か?いえね、どこにもリキみがない。素朴で、控えめな喜びに溢れました。こんなのを聴くと、カラヤンの素敵な(と、先日思った)旧録音が、やや厚かましく思えてくるから不思議。

 上手いオケって、どういう価値があるの?

(2003年8月1日)

 「新世界」はお好きですか。もしかしたら現在でも、もっとも人気のある曲のひとつじゃないでしょうか。シンプルで印象的な旋律が、細かい単位で繰り返されて、じつに覚えやすく、親しみやすい名曲。「モルダウ」もしみじみとした旋律が極上に美しい黄金のカップリング。中欧系の民族的な暖かい演奏も楽しいし、アメリカの機能的なオケの響きで聴いてもいずれ味わいある、幅広い体質を持っている曲でしょう。

 フンガロトンの「ホワイト・レーベル」は、CD初期の廉価盤で「SANYO製」。(p)1987ですから、その当時1,500円くらいで売られていたはず。パターネは1989年に67歳で亡くなったイタリアの名指揮者。ほぼオペラ畑で活躍した人なので、このようなコンサート・アイテムの録音は珍しいと思います。

 ハンガリーのオケは、どれがどれやらよくわからない。ハンガリー・フィルというのもあるし、ハンガリー国立歌劇場管弦楽団、ブダペスト交響楽団、という録音もありますね。ブダペスト祝祭管というのは、イヴァン・フィッシャーの指揮でけっこうメジャー・レーベルにも録音有。ほかにも「放送云々」ってありましたっけ。(どなたかご教授ください)

 このCDに収録された2団体はなかなか優れたアンサンブルですし、オケの弱さ、薄さは感じさせません。録音は ふつう。より深い奥行きと残響があれば云うことなしですが。

 よく歌い、弾むようにいきいきとして、しかもしみじみと懐かしい「新世界」でした。

 あちこちの聴きどころの旋律にはいると、しっかりとテンポを落として「さぁ、ここだよ。しっかり聴いてね」とばかりにゆったりと節回し。ハッとするほどの各パートの深い音色はないものの、オケの響きは暖かくて、意外なほどアンサンブルは優秀。金管もよく鳴っていて気持ち良い。

 とくに、ラルゴにおける遅いテンポで、音量を抑えに抑えた繊細な響きは印象的。第1楽章提示部の繰り返しはワタシにはやっぱりうれしい。(美しい旋律を倍聴けるでしょ)スケルツォ中間部のワルツは素朴な味わい、終楽章の緩急自在なテンポの揺れも決まっています。最後まで息切れせず、オケはよく鳴っています。イタリア人指揮者ならではの、明るさと歌心が堪能できます。

 MEDVECZKYは初耳の指揮者ですが、「モルダウ」も悪くない演奏。

 ちょっとざらついた弦の音色もこくがあって、胸がキュン(表現が古臭いな)とするような懐かしい旋律の表現は最高、(ちょっと)泣けます。まるで、深呼吸のような主旋律のとうとうとした流れ。ホルンの音色は暖かくて魅力的。どの部分も、弾き崩したような、上滑りしたようなところはありません。ラストのアッチェランドの力強さも迫力充分。(1998年更新)


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written by wabisuke hayashi