Haydn/Mozart (パイヤール)


アンリ・ルソー(1844〜1910)の「熱帯の森・虎と水牛の戦い」

Haydn

交響曲第101番ニ長調「時計」(イギリス室内管弦楽団1980年録音)
トランペット協奏曲 変ホ長調(1993年録音)

パイヤール/パイヤール室内管弦楽団/カンス(tp)

弦楽四重奏曲第67番ニ長調「ひばり」
「ハイドンのセレナード」

ウィーン弦楽四重奏団(1978年録音)

Mozart

「アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク」(パイヤール室内管弦楽団1977年録音)
交響曲第40番ト短調K550
交響曲第41番ハ長調K551「ジュピター」

パイヤール/イギリス室内管弦楽団1977年録音

RCA CPL-3002  2枚組@298で購入

 縮小しているし、安物のスキャナーなのでちゃんと見えないかも知れないが、アンリ・ルソー(1844〜1910)の「熱帯の森・虎と水牛の戦い」という素敵なジャケット絵。かつて日本でもたいへんな人気を誇ったパイヤールもなつかしい。1928年生まれで、まだ70歳そこそこのはずだから現役でも不思議はない。日本には時々やってくるようだけれど、かつての学究的意味合いは薄れているように思えるのは、ワタシの勘違いでしょうか。

 HPに「Haydnが少ないぞ」との指摘もあったので、棚の中をひっくり返したら出てきたのがこのCD2枚組。穏和で、穏健で、爽やかで濁りがない。ソフトでアクを感じさせず、オーソドックスであり、弱すぎでもある。どこにもキズはなく、美しいが、あまりに当たり前に完成され、これといった個性を感じさせない「時計」。

 ハイドンにはこんなスタイルのほうが良いのでしょうか。手兵パイヤール室内管ではなく、いくぶん渋めのイギリス室内管(相変わらずアンサンブルは立派)ではあるが、軽やかさに不足はない。ようはするにワタシにはHaydnを云々するような、哲学的な耳は持っていないんです。とても楽しいが、それ以上のコメントは不可能。

 トランペット協奏曲は、生きる喜びが溢れ出るような名曲中の名曲。ティリー・カンスというソロは、フランス人でしょうか。鋭さはないが、ソフトで暖かく、技術的には完璧のスムースさ。この演奏も「時計」と同じで楽しい。バランスが良すぎて、逆にすべてが物足りない錯覚を覚えるような演奏・・・・なんて感じるのも、ワタシの哲学の不足でしょう。

 Haydnの弦楽四重奏曲は好きなんですよ。交響曲よりずっと親密で、ワタシの体質に合っているような気がします。ウィーン弦楽四重奏団は小気味よいリズムを感じさせて、控えめながら精気ある表情。現代的なスタイルだけれど、暖かい歌も忘れていません。Mozart 以上にシンプルで飾りがなくて、ごまかしがきかない世界。パイヤールさんには失礼だけれど、こちらの演奏なら素直にカラダも揺れる。

 ホフシュテッターの「ハイドンのセレナード」なんて、最近聴く機会もなくて懐かしくてジ〜ンときました。ゆっくりめに、そっと囁くような演奏は音楽の余韻のようでもあり、名残惜しい。


 さて、2枚目は我らがMozart です。「アイネ・ク」は、まるで「水を得た魚」のように粋で颯爽としてカッコ良い。演奏のスタイルはHaydnとそう変わらないから、これは音楽そのものが持っている魅力でしょうか。それとも体質が合うのか。小細工なしで、ストレートで明るく、柔らかい。

 交響曲では再びイギリス室内管の登場です。この録音、LP時代にはずいぶんと話題になっていた記憶も有。優しくて腰のないト短調交響曲だけれど、クリップスとはまったく印象が違います。アンサンブルは優秀だし、テンポは無用に揺れず、淡々と進めていくのも悪くない。これはこれで充分魅力的だし、凡百な演奏ではありません。

 どうも、細部を流しているというか、雰囲気で聴かせているような感じがあって、不満が残ります。それにメヌエットは、いかにもチカラが弱い。(これは物理的な音量やメリハリのことではない)終楽章も、すましていて劇的な盛り上がりに欠けます。別に、もっとリキんで、と期待してる訳じゃないんだけれど。

 ハ長調交響曲だと、スケールのなさが目につきます。まとまりも良いし、オケのしっとりとした音色も悪くない。でも、落ち着きを感じない。ト短調でもそうだけれど、パイヤールの体質に合っていそうなアンダンテ楽章がツマらない。優雅なメヌエットも、この演奏では「天女が天から降って」来ない。

 終楽章も、余裕、ということではなくて、最後まで全力を出しきれないで終わってしまう感が拭えない。(管が強い、独特のバランスはやや個性的だけれど)・・・・・・というか、全体に悪い演奏ではないが、どうもこれといった個性を感じないまま、大人しくまとめた感じ。それでも、感動するから本当の名曲。ま、素敵なジャケットの紹介のはずが、文句ばっかり言ってしまいました。(2001年4月13日)


【♪ KechiKechi Classics ♪】

●愉しく、とことん味わって音楽を●
▲To Top Page.▲
written by wabisuke hayashi