Paganini ヴァイオリン協奏曲第5番イ短調
(グッリ(v)/ロサーダ/アンジェリクム管弦楽団)
Paganini
ヴァイオリン協奏曲第5番イ短調(モンペリオ版)
ロサーダ/アンジェリクム管弦楽団
「胸のときめき」による序奏と変奏曲イ長調 作品13
カプリース ト短調 作品1-16、変ホ長調 作品1-17
カンタービレ ニ長調
グッリ(v)/エンリカ・グッリ・カヴァッロ(p)
VENUS RECORD TKCZ79218 1,000円で購入(おそらくミラノ・アンジェリクム原盤。発売は徳間ジャパン)
グッリの最近の消息は知らないけれど、もう引退の年齢ですよね。イ・ムジチのメンバーだった時期もあるし、この人の明るく、歯切れの良いヴァイオリンは大好きです。1993年頃、VENUS RECORDという会社が彗星の如く出現して、往年の仏CHRLIN、伊ANGELICUM、そして日トリオの名録音を次々と1000円盤として発売してくださいました。(オリジナルLPの収録、デザインを忠実に再現している)個人的にLP→CDへの切り替え時期だったこともあり、結果15枚ほど手許に残りました。
商売的には失敗だったのか、それきり10年以上再発されません。中古で見掛ければ購入するよう気を付けております。閑話休題。第5番イ短調は、ソロ部分のみが作曲者肉筆で残り、イタリアのPaganini研究家モンペリオが伴奏部分を完成、1959年グッリによって初演(指揮もこのロサーダ)されております。このCDの録音情報は定かではないが、その辺りと同時期のものと想像されます。
Paganiniって意外と人気高いですよね。ラストに「カンタービレ ニ長調」というのが収録されているでしょ?技術的なことはな〜んもワカランけど、テクニックを披瀝するような作品じゃなく、トロリと優しい4分間の甘美な世界。爽快なるヴァイオリン技巧の切れ味を無条件に楽しむのもよろしいけれど、根底にはイタリア演歌の「いかにも風クサい旋律」が魅力なんじゃないのかな?19世紀前半に一世を風靡(「悪魔に魂を売り渡して鬼神の技巧を手に入れた」とウワサされた!上手い客寄せ宣伝文句ですな)、う〜むBeethovenやらWeberとほとんど同世代じゃない。
ま、楽譜は徹底して隠していた(演奏が終わったらパート譜も回収していた!他の誰にも演奏させないよ!)とのことだから、消滅してしまった作品もかなりあるらしい。こういうパターンって、肝心の演奏家が亡くなっちゃうと忘れ去られる運命にありがちだけれど、ちゃんと「音楽史」に載っていますもんね。なにより、こうして現在も人気高くて、演奏会に、録音に、大活躍。現在までに6曲の協奏曲が発見されております。
第1楽章、一発ぶちかまし〜筆舌に尽くしがたい大見得テクニックの連続、終楽章は少々哀愁の旋律があわてず、騒がず三拍子のリズムに乗ってデリケートに(じつは驚くべき技巧を駆使しつつ)歌います。でもね、やっぱり第2楽章「アンダンテ」が(ワタシなりの思いだけれど)白眉だと思うんです。切ない詠嘆。纏綿と泣ける甘い節回し。「指が回る」ということは重要な基本だけれど、ちゃんと歌える、というのが重要なんです。
グッリって、神経質な印象を与えません。骨太、というわけはないが、かっちり明快な暖かい音色。そして技巧。走らない。急かない。カプリースの2作品も、正直この演奏で初めて魅力を発見したような気持ちになったものです。上品で明快なんです。録音はオンマイク気味で、ソロ中心っぽいのが時代を感じさせるし、バックの編成がいかにも小さい(実際に小さいのかも)残響控えめながら、かなり鮮明です。
全部聴いて51分ほどの収録。現代の収録なら「もう1曲協奏曲」なんだろうけど、このくらいで充分でしょう。集中力が続きません。(2004年9月9日)
手元に資料がないので、グッリがいまでも現役で活躍しているのかどうかは知りません。1924年の生まれだから、もう70過ぎのはず。典型的なイタリアのヴァイオリニストで、よく歌って、明るく歯切れの良い音色が最高。イ・ムジチでも活躍しました。
1959年に蘇演された第5番ですが、パガニーニはどれも好きですね。「技巧のみで内容なし」という人もいますが、オペラ・アリア風の朗々とした旋律は(ワン・パターンだけれど)ほんとうに楽しい。終楽章の哀愁に満ちた、わかりやすい旋律もおおいに盛り上がります。爽快です。
グッリとロサーダはこの曲の初演者だそうで、小編成のバックも含めてなかなか自信に満ちた堂々たる演奏。録音情報がないのですが、初演のすこし後の録音でしょうか。「アンジェリクム室内合奏団」との表記になっておりますが、ジャケットのイタリア語では「管弦楽団」と表記。レーベルの名前だから、録音用のオーケストラでしょう。
有名なカプリースから2曲収録されていますが、これが絶品。艶やかで、流麗でこのCD中の白眉。他の曲はカヴァッロ(グッリの奥さんだそう)との共演で、どれもパガニーニらしい懐かしい旋律に溢れた楽しい曲ばかりです。
録音は派手さはないけれど、自然で聴きやすいもの。わずか40分ほどの収録だけれど、これがオリジナルLPの収録らしくて、ジャケット・デザインや解説もそのままLPから復刻されています。こういう姿勢は立派。たしか、カプリースと「変奏曲」は「ファブリ名曲シリーズ」の25cmLPに収録されていた記憶もありました。(1998年)
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