Sibelius 交響曲第1番ホ短調(オーマンディ 1941年録音)


Sibelius  交響曲第1番ホ短調(オーマンディ 1941年録音) Sibelius

交響曲第1番ホ短調 作品39(1941年録音)
レンミンケイネンの帰郷 作品22-4(1940年録音)

オーマンディ/フィラデルフィア管弦楽団

HISTORY 205839-303  10枚組2,190円で購入したうちの一枚。The 20th Century Maestros40枚組にも収録。(つまりダブリ)

 

ま、年代が年代なので、最初のウチ「ぼわん」とした音が気になりますが、すぐに耳は慣れてしまう。さすが壮年期のオーマンディ、テンポにメリハリがあるし、オーケストラのテンションは1962年録音とは桁違い。金管はバリバリ鳴るし、爽快です。終楽章はテンポ遅くじっくり歌ってくれて、全体としてラフマニノフ風の甘さを感じます。最高。1970年代のRCA録音も聴きたいもの。
 数年前の感想です。「作曲者から高く評価されていた」というのは、この録音も含まれていたのでしょうか。第1楽章から速めのテンポ、”北欧の寂寥”とはかなり縁の遠そうな、バリバリ勢い付けて進んでいくようなアツさを感じさせます。ここ最近、英国北欧系の涼やか演奏に馴染んでいたせいか、最初のウチ少々違和感ありましたね。でも、カニの殻中存分にミとミソが詰まっているような、たっぷり明快な充実感があって、そのうち音楽に集中できます。この時期でもフィラデルフィア管は上手いですね。

 第2楽章の弦の濃厚な味付けなんて(時代かなぁ、ポルタメントがセクシー)極上の味わいでしょ。そして金管が朗々と鳴る。表情は濃厚で、刻々と変化して雄弁です。そしてけっこう途中テンポが揺れて、やはり情熱的。激情と安らぎの官能が交互にやってきます。第3楽章「スケルツォ」は、文字通り諧謔曲としてのテンションの高さがあって、快活な表情が楽しい・・・が、少々落ち着きが足りないか。

 終楽章は「テンポ遅くじっくり歌って」というのは違っていて、相当にスピードに乗って開始されます。物々しく、雄弁なる緊張感もある。イメージとしては「やや柔軟なるトスカニーニ」といったところか、濃厚な甘さを感じるような演奏じゃないですよね。「じっくり歌って」というのはその通りでして、途中から延々としつこく詠嘆の旋律が続くじゃないですか。この辺りの粘りを聴いちゃうと、オーマンディの得意は初期作品だということが理解できました。中後期の清涼なる味わいには、少々味がはっきり明る過ぎるかもね。

 でも、これが作曲者の願った世界かも知れないから、Sibelius は一筋縄ではいかない。

 「レンミンケイネンの帰郷」の猛スピード、緊張感とテンションはもの凄くて、親の敵でも追っているかのよう。わずか5:34でして、グローヴス/ロイヤル・リヴァプール・フィル(1974年 7:01)を聴いたばかりのワタシとしては、驚愕の世界でした。まるでR.Straussですよ。このアンサンブルは超絶と評して良いでしょう。

(2005年3月11日)


【♪ KechiKechi Classics ♪】

●愉しく、とことん味わって音楽を●
▲To Top Page.▲
written by wabisuke hayashi