Saint-Sae"ns 交響曲第3番ハ短調
(ユージン・オーマンディ/フィラデルフィア管弦楽団/パワー・ビッグス(or))
Saint-Sae"ns
交響曲第3番ハ短調 作品78(1962年)
歌劇「サムソンとダリラ」作品47より「バッカナール」(1964年)
「アルジェリア組曲」作品60より「フランス軍隊行進曲」(1966年)
交響詩「死の舞踏」作品40(1959年)
ユージン・オーマンディ/フィラデルフィア管弦楽団/エドワード・パワー・ビッグス(or)
SONYCLASSICAL SRCR1627 (1,000円の国内盤。1996年発売)
2006年頃からCDの処分を開始、10年掛けて在庫を1/4に圧縮、やがてネット時代データで音楽を聴く時代がやってきた今日このごろです。このCDはしぶとく棚中に生き残っていた(売れ残ったのが正直なところ)ので、ちゃんと再々聴しましょう。現役です。その後、1956年(CBSモノラル)、1980年(Telarc)も拝聴、1973年(RCA)のみLP以来の再会はないけれど、わざわざムリして探す意欲は失っております。Eugene Ormandy(1899ー1985)は、21世紀に入ってからのほうが日本での評価は高まったかもしれません。
第2楽章第2部冒頭に壮麗なるハ長調和音のオルガンを配して、大人気な交響曲第3番ハ長調。この1962年録音はややオン・マイクに奥行きとデリカシー(残響)が足りぬような音質、それでも重低音+オルガンは充分な存在感でしょう。第1楽章(第1部)Adagio - Allegro moderato ハ短調 は静かに覚醒するかのような導入の後、弦の静かに刻む主題が印象的。「未完成」を連想しました。深刻な風情に情感が込み上げるところは神経質に非ず、おおらかにオーケストラは鳴っております。(第2部)Poco adagio 変ニ長調はオルガンの低音に乗って(きれいに分離して)弦が瞑想的に歌うところ。瑞々しくも豊かな響き、飾りの少ない直截な表現が効果的でしょう。所謂、緩徐楽章なんだけど、いまではここが一番好き。
切迫感溢れる第2楽章(第1部)Allegro moderato ハ短調 - Presto ハ長調はスケルツォ楽章。ここも肩の力が抜けた演奏ぶり、弦の厚み、充分なる量感サウンド(+ピアノの参入もリアル)に要らぬカッコ(旋律にシナ)付けはありません。(第2部)Maestoso - Allegro ハ長調が例の(まるで戴冠式の入場?)オルガンが立派に浮き立ちます。実演を聴いていないのでなんとも云えぬけれど、ものによってはオルガンはオーケストラに埋もれることもありますもんね。管楽器も上手いもんですよ。全体としてゴージャスなオーケストラの響きに感心しつつ、陰影とか最終版に向けてクライマックスを作っていくといった演奏じゃない。ひたすらストレート、フィラデルフィア管弦楽団の豊満なサウンドを堪能すべきものでしょう。
残り4曲の管弦楽作品は別々に録音され、うまいことこの一枚に収めたもの、各々音質も異なります。オリエンタルな風情たっぷりな「バッカナール」、ぐっと奥行きを感じさせる音質、カスタネットも入ってじょじょに熱を帯びてオーケストラの華やかな饗宴!驚異的ラストの爆発最高。「フランス軍隊行進曲」もヴィヴィッドな躍動に充ちてノリノリにアツいもの。管楽器が上手くて、華やかに厚みのあるサウンド最高。「死の舞踏」が一番旧い録音だけど、音質は悪くありません。しっとり情感に充ちたヴァイオリン・ソロはジェイコブ・クラチマルニックかアンシェル・ブルシロウか、ちょうど微妙なところ。オーマンディはこういった小品は上手いですね。交響曲より、後半の小品集のほうが楽しめるかも。 (2016年7月24日)
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ステレオで3回録音したうちの1回目のもの。オーマンディ得意の作品なんでしょう。華やかで、オーケストラの力量が素直に反映されます。「深い精神性」みたいなことは気にしなくても、わりとわかりやすく、美しい旋律を楽しめる作品。厚みのある豪華な響きで、バリバリと演奏していただければ嬉しい。フランスにもこだわりなし。
この度、ヤノフスキ/フランス国立フィル(1995年ライヴ)を聴いたのをきっかけに再聴、全面書き直しです。
ややデッドで荒れ気味ながら、芯のある録音は悪くないと思います。どの旋律もゆるがせにせずに、明快に歌ってくれること。よけいな節回しがなくて、ストレート系の表現であること。この辺りはヤノフスキと似ているが、オーケストラに厚みがあって良く鳴ること、響きが華麗で豪華なことが違いです。豊満な演奏なんです。低音も良く響く。
録音のマジックと思うが、オルガンが良く分離して聴きやすいのも、この演奏の特徴でしょうか。流したり、雰囲気で聴かせないところがオーマンディの見識か。瞑想的な第1楽章第2部「アダージョ」も、弦の厚みが魅力的。第2楽章第1部は、やや音が劣化しているようでもあり、少々響きの鮮度が落ちて弦に濁りが感じられます。
表現的には特別に飾りはなくて素直であり、テンションも高い。リズム感も着実です。パワー・ビッグスのオルガンは鮮明に浮き立っており、いかにも効果的でした。この曲、意外と古典的な作風で、しかもあちこちの音の絡み合いが美しい曲だから、オーマンディの体質に合っているんでしょう。ラスト、存分に盛り上がってくれて満足。
この作品には、精神性とか「人生の苦渋」は必要ないと思います。ノビノビと歌っていただきたい。あまり難しいことを考えずに、音の洪水に身を委ねるのも悪くないでしょう。
「バッカナール」はアラビア風の怪しげな旋律が存分に楽しく、細かく速い音型を苦もなくピタリと合わせていくアンサンブルが素晴らしい。(音質良好。打楽器群の鮮明なこと)優雅なところの歌も絶好調の甘さ。とにかくオーケストラが上手い。テンションの高さは超一流。
「軍隊行進曲」も、リズム感と厚みがなんとも言えません。金管の華やかなこと。高らかにハイテンションで一気呵成に聴かせてくれます。
「死の舞踏」は一番録音が旧いが、音質的にはまったく問題なし。演奏云々を言う曲でもないが、これも豪華ながら重すぎない味わいが出色でしょう。例えばヴァイオリン・ソロ(録音年代的にブルシロウではないらしい、との指摘有)も上手くて感心するし、木管も金管も余裕の奥行きがあって安心して聴けました。 (2002年3月21日)
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