Bach ヴァイオリン協奏曲集(ダヴィッド・オイストラフ/ウィーン交響楽団)


 (輸入元エコー・インダストリー)CC1056(1962年/61年 DG録音)  1,000円で購入 Bach

ヴァイオリン協奏曲イ短調 BWV1041
ヴァイオリン協奏曲 変ホ長調 BWV1042

ダヴィッド・オイストラフ/ウィーン交響楽団

2台のヴァイオリンのための協奏曲ニ短調 BWV1043

VIVAlDI

2台のヴァイオリンのための協奏曲イ短調(「調和の霊感」より) 作品3-8(RV522)

ダヴィッド& イーゴリ・オイストラフ(v)/グーセンス/ロイヤル・フィルハーモニー

(輸入元エコー・インダストリー)CC1056(1962年/61年 DG録音) 1,000円で購入(嗚呼、高〜い)

 以下の文書はサイト開設当初1998年頃のものでしょう。Bach はお気に入りであって、中学生時代には(LPで)この作品に馴染んでおりましたね。(ルイ・オーリアコンブ/トゥールーズ交響楽団/アルマン/シルーニック)CD時代以降のバロック演奏スタイルの変遷は周知の通りでありまして、知らず”古楽器のテイスト”に影響を受けていて、こういった往年のスタイル(であろう)演奏を再聴するには少々勇気も要るものです。もう何年も聴いていないかも。

 結論的に、これは驚異的に美しい、ということです。ハズむような軽快なるリズム感とは無縁だけれど、水も滴るしっとり艶やかな歌があってどこまでも豊満!いつだっけ?山本富士子的古典的美人(例えが旧い!若い人には理解できないか?)演奏、と書いたような気がする。切迫感のあるイ短調協奏曲 第1/3楽章の余裕のテクニックと変幻自在なる音色の変化はもちろん、第2楽章「アンダンテ」のシミジミ滔々と歌うところなど、もう最高!とろりまったり明るく楽天的なヴァイオリンは、なんと落ち着き払ってゴージャスなことか。

 牧歌的な変ホ長調協奏曲だったら、よりいっそうこのスタイルには適正を感じさせ、切々纏綿と歌って下さいます。どこまでも希望に満ち溢れた、幸せな世界が広がって、第2楽章など”甘美なる詠嘆”に至ってますよ。ウィーン交響楽団は(オイストラフの弾き振り)しっとり、雰囲気あるアンサンブルに仕上がっておりますね。優秀録音。(クレーメルが同じオケを弾き振りして、やはりBach のヴァイオリン協奏曲を録音したことがあったが、かなり粗いアンサンブルだった記憶有)

 ここから先がバックはグーセンス/ロイヤル・フィルとなります。(たしか、他にBeethoven のロマンスの録音があったはずだけれど)2台のためのニ短調協奏曲は名曲揃いのBach 作品中でも白眉のもの。脳裏にはハイフェッツ/フリードマン/サージェント/ロンドン新交響楽団(1961年)の切迫緊張感ぱつんぱつんのイメージがあって、それに比べると、やはり”金持ち喧嘩せず”的しっとりまったり優雅な演奏でしょうか。3楽章合計17分ほど、ハイフェッツ盤14分弱(こちらが速すぎるのか)、いや、もう、第2楽章「ラルゴ」なんて夢見るように繊細な絡み合い。終楽章は慌てず急がず、粛々と危機が迫るような迫力有。

 バックのアンサンブルはBach より少々集中力が足りないようだけれど、気になるほどでもないでしょ。(録音もほんの少々落ちる)ラストVivaldiは、グーセンスのバックが少々うるさいでしょうか。(チェンバロは昔懐かしい金属的通奏低音)リズムの重さがやや時代を感じさせて違和感が強まるのは、やはりBach (演奏スタイルを問わない。音楽の基盤が盤石)ではないからでしょうか。二人のソロ・ヴァイオリンのスタイルはなにも変わってりません。

(2005年9月9日)

 オイストラフは往年の巨匠だっただけに、様々なレーベルに録音を残しています。DGにはバッハのヴァイオリン・ソナタ集の録音もあり(チェンバロ;旧東ドイツの名匠ピシュナー)LP時代の愛聴盤でした。このヴァイオリン協奏曲集も、DGに残されたおそらく2枚分のLPをCD化したもの。

 使用楽器に関わらず、スリムですっきり、軽快なリズムが主流になったバロック音楽。ま、いまさら云わんでもわかると思うのですが、この演奏は全然違うんですね。ある意味、ベートーヴェンでも、プロコフィエフでもみんな同じ。あくまでオイストラフの豊かなヴァイオリンを聴くための録音なんです。

 まず録音の自然さ、しっとりとした落ち着いた音質が嬉しい。(同時期のCBS録音となんたる違い)VSOも意外と好演だし、ソロとのバランスもいうことなし。

 久々に聴いていて思ったのは、バックのアンサンブルが優秀で、演奏スタイルはともかく、繊細であること。これは、指揮も手がけていたオイストラフの力でしょうか。ソロとしては技術的に最盛期にあったようで、どの部分も均一でスムーズ、むしろ知的な味わいの音色。音の濁り皆無。ボウイング完璧。(クレーメルの先生であったことに、はじめて納得)

 速いテンポのところでは、ややノンビリとした感じがあるのは時代でしょう。ゆるやかな楽章での、しみじとした味わいは、おそらくこれ以上の演奏はあり得ない感動。だからイ短調協奏曲におけるアンダンテ、ホ長調における第1楽章アレグロ(これを間延びさせずに聴かせるのは至難)辺りが白眉。たまに見せる甘〜いルバートも、いまとなってはむしろ新鮮。

 息子のイーゴリとの二重協奏曲は、ロンドンへと移動。グーセンスとの協演というのも珍しい。左がイーゴリでしょう。ヴァイオリンの音色がちょっと明るい。ニ短調協奏曲は、少々緊張感が緩い感じ。これはグーセンスのバックのせいもあります。(オイストラフの弾き振りのほうがずっといい)ラルゴの二人の絡み合いは期待通り。

 最後にVivaldiまでサービスしてくれて、しかも有名な「調和の霊感」。

 ここでもバックの濁りが気になって、録音のせいか(たしかに奥行きが足りない)な、と思ったら、ソロ・ヴァイオリンは変わらない。ヴィヴァルディでも、いつもの平和で豊かなスタイルは崩さない。ワン・パターンといえばその通り。

 最近、この音源は見かけなくなりました。


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written by wabisuke hayashi