10月革命(マーク・エルダー/BBC交響楽団/合唱団)


BBC MUSIC  BBC MM50 1996年録音  $1.99 Shostakovich

交響曲第2番ロ短調 作品14「10月革命に捧げる」

Prokofiev 

カンタータ「10月革命20周年記念」作品74

マーク・エルダー/BBC交響楽団/合唱団、ジャクソン/ジェフリー・ミッチェル合唱団

BBC MUSIC BBC MM50 1996年録音 $1.99

 マーク・エルダー、ウィッグルスワース辺りは英国期待の新鋭。こうしたロシア革命にちなんだ曲は、かつてはソヴィエットでしか演奏されず、逆に現在ではロシアではまず演奏されない演目。政治がらみの音楽も、じょじょに古典化していくのでしょう。Shostakovichは全集が出ているので、聴く機会はわりとあるのですが、46分を越えるProkofievのカンタータは初耳でした。

 Shostakovichの交響曲第2番は、1927年の10月革命10周年記念作品だから、Prokofievの作品と同じように「機会音楽」なんでしょう。歌詞(アレクサンドル・ペズイメンスキー作→誰?)は例のごとくまったくわからないけど、いずれにせよ革命賛美、英雄的な犠牲者に対する追悼の内容と想像されます。純音楽的に聴いても、それなりに楽しめる立派な音楽。

 ロイヤル・フェスティヴァル・ホールのライヴで、BBC MUSIC MAGAZINという雑誌の付録の処分品です。(日本の某雑誌も見習って欲しい、意欲的な選曲)「LAND LOVER」の宣伝入り。(BBCの主たるスポンサーだそう)

 Shostakovichの曲は、交響曲とは云いながら単一楽章でわずか19分ほど。なにやらモソモソと不安げな冒頭の静けさ、6分くらいからテンポとヴォリュームが上がって、例の感情の起伏の少ない、乾いた旋律があちこちに見られます。12分辺りから混成合唱が始まり、いやが上でも祝典的な雰囲気が盛り上がります。ラストの小太鼓に乗ったシュプレヒコールもいかにも「それ」風の決め方。

 「ショスタコヴィッチの証言」を読んで以来の先入観のせいか、21歳の青年の作品ながら「このくらいは要望にお応えして作れますよ」と云った印象を持ちました。(心からの祝典ではない感じ)演奏はまったくみごとで、(もちろん)感情移入なんかないでしょうし、合唱共々充実した響き。

 Prokofievは、けっこうカンタータの作品はあるんですね。「アレクサンドル・ネフスキー」は有名ですが、この曲のCDはないはず。きっと旧ソヴィエットでは録音は残っていることでしょう。

 旋律は、Shostakovichよりオーソドックスというか、いかにもロシア風なわかりやすいもの。なにぶん、46分の大作なので、さすがに解説なしでは少々つらいもの事実。で、いちおうインデックスを記しておきます。(ネタもないし)

1) Intoroduction
2) Philosophers
3) Interlude
4) Marching in Close Ranks
5) Interlude
6) Revolution
7) Victory
8) The Pledge
9) Symphony
10) The Constitution

・・・・・なんか、だいたい雰囲気はわかるでしょ?「Revolution」がもっとも長くて10分以上。機関銃の派手なぶっ放しが楽しめます。(小太鼓だろうけど、本物の機関銃のような迫力。もしかしたら効果音かも)途中、踏切警告音、サイレンなども聞こえ、最高の迫力。そして、指導者とおぼしき男による、せっぱ詰まったシュプレヒコール。(失礼ながら、よくできた映画を見る感じ)

 「Victory」も激しい戦いの後、溢れでる勝利の喜びを静かに歌い上げたもので、いかにもありがちな構成です。よけいな揶揄を入れずに聴けば、ここはもっとも美しい旋律。

 「Symphony」の意味合いは理解できないが、細かい音形が続く技巧的な曲。ここでは合唱はありません。単独で演奏会に取り上げても良いくらいの、ちゃんとした小品です。
 ラスト「The Constitution」(これなに?憲法のこと?)は、大団円で「喜びの歌」風祝典の大盛り上がり。じつに決まっていて、観衆の盛大な拍手も納得でしょう。

 なにぶん、普段聴き慣れない曲なもので、演奏云々はコメント不能。アンサンブルといい合唱といい、まことに立派で文句ないと思います。録音も極上。イギリスのオケ、若手指揮者でこんな演奏会が持てるようになって、お客さんが入って、CD化されるようになるなんて、時代は変わりました。


おまけのバカ話

 新潮文庫「ソバ屋で憩う」は、ワタシには縁の薄いお江戸方面のソバ屋紹介の楽しい本。テレビでもお馴染みの杉浦日向子さんと「ソ連」編著、というのに惹かれて買いました。「ソバ好き連」の略で、こういう冗談が出ること自体時代の変遷であり、「October」というCDが出現する素地と同一のものがありますね。


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written by wabisuke hayashi