イタリアのオーボエ協奏曲集(キャムデン(ob)/
ウォード/シティ・オブ・ロンドン・シンフォニア)


NAXOS 8.553433 1995年録音 Cimarosa(1749-1801) 

オーボエ協奏曲ハ長調(Benjamin編)

Bellini(1801-1835)

オーボエ協奏曲 変ホ長調

Righini(1756-1812) 

オーボエ協奏曲ハ長調

Fiorollo(1755-after1823) 

協奏交響曲へ長調*

Corelli(1653-1713) 

オーボエ協奏曲イ長調(Barbirolli編)

Barbirolli(1899-1970) 

オーボエ協奏曲ハ短調(Pegolesiの主題による)

アンソニー・キャムデン(ob)/ニコラス・ウォード/シティ・オブ・ロンドン・シンフォニア/ジュリア・ガードウッド(ob)*

NAXOS 8.553433 1995年録音 860円

 十余年を経て再聴。伊太利亜のバロック音楽は屈託のない明るさが好きだったのに、ここ最近嗜好はすっかり独逸寄りになって、拝聴機会は減っております。このCD入手当時は音楽への見聞を広げるべく、NAXOSの録音をしっかり聴いておりました。演奏者の知名度、演奏の質や録音、古楽器がどーの、そんなことは二の次、美しい旋律を愉しむことこそ肝要、そう謙虚に考えていたのでしょう。久々の印象はソロ、伴奏ともリズムやら個性を強調しない素直な表現、キャムデンはしっかりとした技巧の名人だけど、華やかな音色を振りまく人ではないでしょう。オケはフツウ(ジミ)なモダーン楽器によるアンサンブル、もうちょっと潤いが欲しいところ。録音も質実、飾り(色気)のないもの。

 Cimarosaは鍵盤楽器のソナタから自由に再編成した作品らしく(George Benjamin, 1960ー)第1楽章「Introduction」からハ長調とは名ばかりの甘美哀愁に黄昏れる旋律、まるで映画音楽風に雰囲気たっぷりなもの。晴れやかな表情の第2楽章「Allegro」はシンプルに快活であり、第3楽章「Siciliana」は題名通りにしっとり落ち着いて、終楽章「Allegro giusto(やや速く正確なテンポ)」は華やかな三拍子がリズミカル、中間部にテンポダウンして表情豊かでした。緩急緩急4楽章11:35也。

 Belliniは単楽章8:35。まるでソプラノのヒロインが可憐に愛の歌を披露しているような、いかにも華やかなアリアの風情に充ちておりました。Fiorolloはこれ以外聴いたこともない協奏交響曲、我らがヴォルフガングと同い年は時代の証言なのか、流行りだったのか?著名な協奏交響曲(K.297b)ととても雰囲気が似て華やかでした。Righiniはわずか4分弱の単楽章作品、ロンド ハ長調K.373によう似て愉しいもの。暗転に崩れるところ、快活に復活するところもクリソツです。全曲作品から散逸して残された楽章かも。

 このCDのキモは奥様(イヴリン・ロスウェル1911-2008)に捧げたジョン・バルビローリの作品でしょう。Corelliのヴァイオリンと通奏低音のソナタ(作品5と8)を自在に編曲したものとのこと、元々著名な旋律ばかり、編曲者のイメージからか、しっとりロマンティックな甘い雰囲気に充ちておりました。ラスト「Giga」は弾むようなリズムに変貌しておりました。Pergoresiの旋律と伝えられるオーボエ協奏曲は哀しみに溢れたハ短調「Largo」に始まり、屈託ない第2楽章「Allegro」は陰影に充ちて懐かしく、第3楽章「Andantino」に静かな嘆きが続きました。終楽章「Allegro」は軽快な笑顔が戻って、明らかにバロック風ではない暗転もゾクゾクするほど美しい。

(2016年8月26日)

 ここ最近オーボエ協奏曲は聴く機会を得ません。イタリア・バロックからも少々縁遠いかな?「ベニスの愛」(1970年)という映画にA.Marcelloのオーボエ協奏曲ニ長調が使われている・・・という本を読んで、そういえばこのCDに収録されていたかな?と、確認したら記憶違いでした。とくかく久々、聴いてみましょうね。

 選曲的には以前書いたとおり、凝ってます。「どれも手堅くて、ちゃんとした演奏。特別、個性的な味わいではありません」って、合っているような、違うような?キャムデンって、1972年〜1988年迄ロンドン響の主席だったとのことだから、アバド時代か。やや薄味系細身の音色なのはオケ出身だからでしょうか。Fiorolloでガードウッドと絡むんだけど、彼女の方がウェットでちょっと暗い音色でした。

 「手堅くて、ちゃんとした」というのは、むしろバックの問題でしょうか。ウォードの指揮ぶりが常識的というか、続けて聴いていると変化に乏しいような、当たり前的着実アンサンブルが気にならないでもない。キャムデンは、けっこう”泣き”が入ったり(Cimarosa)、Fiorolloでは雄弁なるノリも堪能できます。技術云々に問題あろうハズもない、軽やかな世界。

 選曲的には以前書いたとおり、充分凝ってますね。RIGHINIの作品なんてわずか3:49の珠玉の名曲。Fiorolloって、我らがMozart とほぼ同世代じゃないですか。ヴォルフガングの協奏交響曲にテイストがよく似ております。ソロの扱いが自由奔放で、陰影に富んだ旋律はいかにも楽しげでした。

 名指揮者バルビローリが、奥様のイヴリン・ロスウェルのために作った擬バロック様作品は貴重なる録音です。いかにも彼好みのシミジミ懐かしい系旋律が取り上げられており、キャムデンもたっぷり歌って雰囲気たっぷり。作品そのものも、演奏も濃厚な味わいが深まるように感じるのは先入観でしょうか。ハ短調協奏曲終楽章の切ない表情は”バロック”と呼ぶにはムリがある・・・くらい切なくて素敵です。ゆったりとした気持ちになれる一枚。(2004年5月21日)

 


 どれもこれも懐かしい、哀愁漂う名旋律の宝庫。

 ほとんどLP時代に、ホリガー/マーク/バンベルク響(DG MGW5138)で楽しんだ曲ですし、後半の2曲は、バルビローリが奥さんのロスウェルをソロにして(パイの1,000円盤〜たしかCD化されているはず)聴かせてくれました。リギーニとかフィオリッロ辺りとなると初耳の作曲家。
 ありそうでなかなか手に入らない、凝った選曲がいかにもNAXOSらしい一枚。

 どれも手堅くて、ちゃんとした演奏。特別、個性的な味わいではありません。
 録音もぴんぴんの新ものですしね。文句ありません。どういうわけか、個人的に古楽器によるバロックを聴く機会が少ないんですよね。こういうオーボエものなんかも最近は古楽器が主流なんでしょう?(語尾上げ風に)

 「シティ・オブ・ロンドン・シンフォニア」って、例のヒコックスが作った新しい団体でしたね。ロンドンにはいったいいくつの演奏団体があるのか?手堅く、しっかりとした親密なアンサンブルに感心しました。

 キャムデンはLSOの主席も務めた実力派だそうで、際だった特別な輝きは感じさせないけれど、イギリス人らしい上品でなめらかな演奏は飽きさせない。音色はむしろ地味め。(ちょっとおとなしいかな)

 知っている旋律はいっぱい出てきますよ。コレルリの「ガヴォット」は、タルティーニ「コレルリの主題による変奏曲」(クライスラーの編曲で有名)のもと旋律。

 長調の曲が続きますが、ラストのバルビローリの作品が、もの悲しくも、やすらぎに満ちた短調の名曲。ペルコレージから再構成した作品のようですが、いかにもバルビローリらしい節回しの曲に仕上がっています。最終楽章の懐かしいこと。

 欲しかった曲ばかりで、プラス初耳の曲もあり。しかも充分に安い。こんな選曲を見ると、NAXOSはほんとうに立派な、カユいところに手が届くようなレーベルと思います。


【♪ KechiKechi Classics ♪】

●愉しく、とことん味わって音楽を●
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written by wabisuke hayashi