Novak 序曲「マリーシャ」「スロヴァキア組曲」/Dvora'k 組曲イ長調
(イジー・スターレク/南西ドイツ放送交響楽団)


Novak 序曲「マリーシャ」「スロヴァキア組曲」/Dvora'k 組曲イ長調(イジー・スターレク/南西ドイツ放送交響楽団)

Novak

序曲「マリーシャ」作品18
「スロヴァキア組曲」作品32
In the Church
Under Children
The fallen in the Love
With the Dance
At the night

Dvora'k

組曲イ長調 作品98b

イジー・スターレク/南西ドイツ放送交響楽団

aurophon CD AU 34020 1992年録音  972円

 音楽など各自の嗜好だから、好きに聴いたらエエのは自明の理。誰がなんと言おうと気にすることはない。

 ワタシのサイトも(もしかしたら)クラシック音楽界では老舗となったのかもしれないが、ブログ隆盛時代となり、それらは盛んに交流があり、こちら少々時代遅れになったのでしょうか。アクセス・カウントにそう変動はないから、反応薄いだけか。閑話休題(それはさておき)、皆様”王道メジャーな”音源へのコメント多いですねぇ。これは、21世紀に出現したメジャー音源廉価化の流れ故か、それともここ数十年”主流派”(演奏家作品とも)は動いていないということのか。

 ワタシは湯水の如く激安CDを購入し、粗雑な音楽の聴き方を反省する毎日だけれど、”知名度低い作品/演奏家”というのは原点なんです。なんせ小学生から聴いてまっせ(ませたガキだ)、的”クラシック音楽フリーク”故、昔馴染みの作品演奏家ばかり追い掛けても”幅と奥行き”が広がらない。音楽に対する鮮度、緊張感を失いかねない・・・知名度低い=B級=ゲテモノ(これは傲慢なる断定)では断じてない!ただ、知られていないだけなんです。

 「BOHEMIAN MASTERS」(QUADROMANIA)〜ボストック/カールスバード交響楽団(QUADROMANIA 222198-444)という(素敵な)4枚組があって、馴染み薄いボヘミア作品をたっぷり楽しめます。それでこのCDの存在を思い出しました。(十数年前に購入しているが、収録はダブらない)VITEZSLAV Novak(1870-1949)は、Dvora'k(1841-1904)の一世代後ですか?(詳細作品解説付きだけれど独逸語が読めん)

 「マリーシャ」というのは劇音楽らしいが、穏健安寧なるスラヴ風旋律が、まるで子守歌であります。Rachmaninov を微糖タイプ、薄味に仕立てたような甘さ懐かしさがあって、途中から高まる緊張感にも激しさがないのはスターレク(この人は誰なのか?)の表現故ですか?いずれ忘れ去られるような水準ではなく、じわじわ楽しい作品に間違いなし。

 「スロヴァキア組曲」って各章の題名が「いかにも」風だけれど、雰囲気を表現しているのか(おそらくそう)、それとも実用音楽なのかはわかりません。「In the Church」に敬虔なる弦の歌が囁き、「Under Children」は楽しげに遊ぶ子供達が走り回ります。「The fallen in the Love」には甘やかで清純な溜息が聞こえ、「With the Dance」には華やかな躍動と、ゆったりとしたリズムがやがてテンポを上げました。「At the night」は、寂しげな子守歌ですね。

 Dvora'kは稀代のメロディ・メーカーに間違いないが、後輩筋も立派なものですよ。穏健派で少々小粒かも知れぬが。

 組曲イ長調はピアノ作品からの編曲だそうで、初演はDvora'kが亡くなったあと1910年とのこと。あまり知られていない作品・・・だけれど、一般に彼の作品の聴かれ方は意外と狭いですよね。小味で繊細な懐かしい旋律と民族的なリズム、テンポ変化が頻出して、「スラヴ舞曲」続編みたいな味わいが5曲。時に切なく、小声で嘆いたり、楽しくスキップする風情有。

 イジー・スターレクはスロヴァキア出身の指揮者らしいが、アンサンブルは精緻やや神経質であって、大仰なる表現とは縁がないもの。南西ドイツ放響はややクールな響きであって、洗練されているが、作品の持ち味を崩すようなものではありません。音質良好。

written by wabisuke hayashi