Nielsen 交響曲第2番「四つの気質」(モートン・グールド/シカゴ交響楽団)


Nielsen 交響曲第2番「四つの気質」(モートン・グールド/シカゴ交響楽団) Nielsen

交響曲第2番 作品16「四つの気質」
クラリネット協奏曲 作品57

モートン・グールド/シカゴ交響楽団/ベニー・グッドマン(cl)

序曲「ヘリオス」

マルティノン/シカゴ交響楽団

RCA 74321 29255 2 1966年録音  300円

 NielsenはSibelius と同年生まれ(1983年)で、北欧方面出身で共通するものを感じないでもないが、人気は天地ほど異なりますね。んなことは音楽の価値と無縁であることは、言うまでもないこと。各楽章は「胆汁質」、「粘液質」、「憂鬱質」、「多血質」と題されるが、変化と躍動、激しさもあって充分楽しめる作品です。(表題にあまりこだわらなくても)ワタシは「一通りの作品は聴いておきましょう」という趣旨のもと、エイドリアン・リーパー/アイルランド・ナショナル交響楽団の全集(1994年 NAXOS)を聴いて参りました・・・が、この演奏に言及すると、どうも読者筋から評判悪い・・・(それなりにまったり爽やかで、悪くないと思うんだけれど)

 その後、他の演奏も聴く機会を得、ある日このCDを中古屋さんで発見。これも出会いでしょう。モートン・グールド(Morton Gould 1913年〜1996年)って、なんかポップ系専門の先入観ありました。(「アメリカ・サリュート」とかテレビ・ドラマ「ホロコースト」とか)こんなクラシックなレパートリーもあったんだな。シカゴ響という一流オーケストラとの録音があるくらいだから、定期演奏会にも登場していたのでしょうか。

 勇壮でカッコ良い緊張感が続く第1楽章「胆汁質」(なんやねん、コレ〜感情は、愛憎が非常に激しくて怒りやすい感激家が多い。非常に誠実)・・・とのこと。ワタシみたい・・・とくに後者の特質が・・・(誰だツッコミ入れてんの!)対照的に優しく、優雅な静けさを感じされる第2楽章「粘着質」(なんやねん、コレ〜几帳面で礼儀正しく義理がたい。着実で手堅く非常識な面が無い。忍耐強い性格であるがストレスを内側に溜め込み、我慢が一定のレベルを超してしまった時の怒り方は凄いものがある)・・・ヤバいじゃん。ストーカー的体質?音楽のイメージとは少々異なるか。

 ゆったりアンダンテが雄弁な第3楽章「憂鬱質」(なんやねん、コレ〜冷静で内向的。顔の輪郭ははっきりしていますが、やわらかい印象を与えます。態度と言葉使いはゆっくりしていて、慎重)・・・う〜む、走り出してから考えるワタシとは正反対か。でも、途中から結構盛り上がって情感が溢れる(叫んだりする)音楽じゃないの。

 第4楽章「多血質」は、いやこれは明るく、前向きな表情溢れて快活。幸せ。(コレは?感情は刺激されやすく、快や不快、喜びや悲しみに敏感ですが、とくに楽しいことが大好き。世の中のあらゆることに関心をもち、社交的です。心配事は好きではなく、ユーモアがあって明るい人柄)・・・て、ワタシはこっち系か?もしかして。(とても人好きもするし、感じのいい人が多いのですが、案外あてになりません。思考力の点では、思いつきも想像力も豊かですが、ものの考え方にはかなり遊びの部分がふくまれて、徹底的に突き詰める態度には不向きなのです。すぐに判断を下すのですが、それも熟慮の末ではない。意志の面では、持続力に欠けていて、中途で投げ出しがち)・・・うぅっ、やっぱり自らを鏡で見るようだ。

 演奏はシカゴ響の強烈なテンションやら、金管・打楽器の迫力圧倒的で、”北欧の郷愁”なんか期待しちゃうと、外れ、でしょう。(粗暴ではない)単なる先入観だけかも知れないが、Sibelius って、どんな演奏でも幻想的な冬の景色を彷彿とさせるが、コチラもっと都会的というか、機能的というか、明快な音楽であり、ここでの推進力演奏が、いっそうそのイメージを強調します。良く鳴るオーケストラだなぁ。録音ももちろん良好。

 クラリネット協奏曲は自由な単楽章、ちょっと前衛的な味わいある、気紛れで不思議な旋律です。難解なまま昂揚を迎えていく(4分辺り)・・・そんな作品か。ジャズの巨匠ベニー・グッドマン(1909〜1986)って、けっこうRCAに著名なる作品録音しているみたい。低音高音にバラつきなく、非常にスムースな技量であるのは当たり前のこと。先ほどの交響曲が、かなり”大爆発!”的音楽(演奏)だったのに比べて、少々内省的で地味なものと感じました。正直なところ、少々鬱陶しい。

   序曲「ヘリオス」は、マルティノンが交響曲第4番「不滅」を録音したときのフィル・アップだったんじゃないかな。作曲者が「ギリシアはエーゲ海の日の出に感激して作った」という、爽やかそのものの作品であります。さわさわとした静かな弦から、やがて金管が高らかに歌われ・・・絵に描いたような喜び一杯でした。マルティノンは少々アンサンブルとリズム乱れてます。もっとまったり優雅で、甘い表現が似合う作品かも知れません。

written by wabisuke hayashi