山下 洋輔 「ピアノ弾き乱入元年」徳間文庫 1991年発行 480円(BOOK-OFFで100円) BBSに「8月更新しなかったですね。楽しみにしていたのに(;_:) 」とイヤミを書かれ、ここ最近、更新をババにしていた(この意味通じます?)ことを深く反省(ウソ)し、ここに更新します。じつは矢野顕子ちゃんの素敵な文庫本が気に入って、それを更新ネタで考えていたのに、行方不明になっちゃって・・・・もしかしたら、出張中の新幹線に忘れたのかも。 ワタシはクラシック音楽ばかり聴いている(ノーミソが)硬派か、と思われているかも知れんが、小学校低学年で洋楽に目覚め(PPM、プロコルハルム、あと、え〜とプラターズ、そんな辺り)、世代的にフォーク〜ニューミュージックでしょ?ビートルズ世代じゃないが、基礎知識としては知っているし、高校生時代は西海岸の音楽に凝ってました。歌謡曲はずっと大好き。 大学生〜社会人ホヤホヤの頃はクラシック音楽から離れていました。(札幌から京都に出てきたとき、LPは全部売った)クロス・オーヴァーなんか聴いていて、そこからの派生でジャズも聴いたもんです。山下洋輔さんは何冊も出ているエッセイがおもろくて、当時はFM 全盛期だったから(1970年代後半)彼のライヴなんかバリバリ聴いてました。タモリを発見した人なんですよね。 椎名誠、嵐山光三郎を代表とする「昭和軽薄体」流れの名文である、と文学史的には分類できるでしょう。(ホンマか?)破壊的なエネルギーに溢れた、美しい彼の音楽を連想させる文章の魅力。擬音を多用するお下品な表現。言語を意味合いとしてではなく、音感とリズムでコミュニケーションする「ハナモゲラ語」の説得力。 「ヨーロッパ乱入ソロ・ドレイ旅」(1985年)〜この人、ドイツでは高く評価されているんだが、扁桃腺を腫らせつつ(体調最悪)激しい旅回り演奏会の記録が凄い!(尺八の邦山さんとの競演)日記はこうでなくちゃ、という躍動感とリアリズム。当時の出し物の中心は「ボレロ」(そう、RAVELの)。そこは当然フリー・ジャズだから原型からかなりデフォルメされているはずで、アンコールにはBACHの無伴奏チェロ組曲を(当然ピアノを中心に)やったそうで、聴いてみたい! 茂木大輔さん(当時在ドイツ。リリングのバンドにいたらしい)のお友達みたいで、彼から作品を受けたりする場面(というか、このツアー中作曲に勤しんでいる)も有。古代史界のアウト・ロー古田武彦さんのファンである、というのも偶然ワタシの嗜好と一緒。移動中の食いモン描写が詳細なのも嬉しいな。 あとは様々な本のあとがき集、やらパンフレット執筆収録で、趣味やお付き合いの多彩さに驚きます。筒井康隆の「ジャズ大名」辺りは「いかにも!」ってな感じだが、オフ・コース(小田さんね)の大ファン(家族中)というのは驚き!だって、あれほど世界が隔たった音楽というのも滅多にないじゃないですか。 文書やテレビで拝見する狂気の暴力(誉め言葉のつもり)から連想できませんが、FMなんかで聴く彼の肉声はじつに知的で冷静です。彼の学術論文(じつはほとんど理解できないが)も、たいへんな理論展開だそう。閑話休題、これは元気の出る本です。ワタシは即影響されてしまう。
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