独言ひとりごと

せっかくのHPなので、なにかたまには言っておきたい(2001年8月24日)  

 ここ数年、泣かず飛ばずだが、ワタシは明菜のファンでした。(隠していましたが)

 ここ最近の流行歌(はやりうた)は、ずいぶんと水準が高いと思います。(技術的に低いのはジャニーズ系〜でも、ちゃんとしたコンセプト・ワークが出来ていて楽しめます。ワタシが唯一全面的に認めるのはTOKIOのみ)モーニング娘。だってちゃんとハーモニーができるし、踊りのレッスンも厳しく鍛えられている。ゴスペラーズなんていうホントの実力派が売れるし、Misiaの歌唱力は言わずもがな。hitomiはこんなに売れる前から注目していました。(ハスキーな声質と、鍛えられた美しい容姿に)

 あまりウンとは売れてはいないが、古内東子も好きだし、岡本真夜もよく聴きます。同世代の竹内まりやちゃんも大好き。男性では玉置浩二かな。で、先日夏休みの家族ドライブ旅行用にカセット(ウチの車にはカセットしかないんです)を新たに作ろうと、ビデオ屋さんに行ったら明菜のCDがありました。

 まりやちゃん(山田まりやじゃないですよ)の「駅」は知っていますか?シングルでも出ていて、知っている人にはよく知られている名曲。駅を舞台にした切ない別れた恋人へのバラードだが、まりやちゃんの明るくキュートな声質には、この悲劇的な内容がやや似合わない。彼女には「今夜はHearty Party」みたいな小粋で、軽快な曲が一番なんです。

 で、明菜の「駅」だが、これ、もしかしたらもう15年以上経っているのかも知れません。ワタシの知る限りではシングルでは出なかったでしょ(?)おそらく10年ぶりくらいだが、初めて聴いたときの衝撃が蘇りました。

 オリジナルとは少々アレンジもちがう(エレクトリック・ピアノをフューチュアして、弦控えめ)し、なにより歌唱力の質が違う。技術的云々じゃないんです。ほとんど囁くような、耳元でそっとつぶやくような、消え入るような歌。これが胸に刺さる。音もなく降り続く雨に濡れた、夕闇の駅の情景が浮かび上がります。昔、別れた恋人を駅で見かけ、揺れる情感。

 「懐かしさの一歩手前で、こみ上げる苦い思い出に・・・」〜これサビの部分で、まりやちゃんは朗々と歌っちゃうから、そちらのほうが正しい表現なのかも知れません。でも、明菜はここでも囁き、つぶやき続けるんです。声はとぎれとぎれ、バックとのバランスも悪い(声が小さすぎる)。結果、若い世代を過ぎゆきつつある、女性の屈折した心理が鮮やかに浮かび上がって、聴き手の胸を締め付けます。

 これが表現の芸術なんでしょう。湿り気のあるヴィヴラートにとことん痺れました。デビュー当時の、アイドル然とした可愛い歌い方から大人に成長した姿が確認できます。自分ではナツメロの世界ではないと信じたいが、如何?(ちなみにワタシのカラオケ十八番は「ミ・アモーレ」でした)

 


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