イル・ジャルディーノ・アルモニコによる「Musica Barocca」(2001年録音)


Werner 2564 63264-2 11枚組3,829円(更に▲800)にて入手したうちの一枚

Bach

管弦楽組曲第3番ニ長調BWV1068

Albinoni

オーボエ協奏曲ニ短調 作品9/2〜アダージョ

Vivaldi

ピッコロ協奏曲ハ長調 RV.443

Albinoni

ヴァイオリンと通奏低音のための協奏曲〜アダージョ

Marcello

オーボエ協奏曲ニ短調

Telemann

2つのフルート、弦楽と通奏低音のための協奏曲〜グラーヴェ

Pachelbel

3声のカノンとジーグ

伝承曲

グリーンスリーヴス ニ長調

Purcell

シャコンヌ ト短調

Handel

オラトリオ「ソロモン」〜シバの女王の入城

Albinoni

2つのヴァイオリンと通奏低音のためのアダージョ

イル・ジャルディーノ・アルモニコ(2001年)

Werner 2564 63264-2 11枚組3,829円(更に▲800)にて入手したうちの一枚

 激安再発売はありがたいが、単発時代に比べ、デザイン的には少々ツマらない。閑話休題(それはさておき)、古楽器時代を迎えた新たな「バロック名曲集」であります。選曲、演奏とも熟慮され、選り抜かれた先鋭なる一枚。時代は変わりましたね。LP時代には”家庭に常備”すべきバロック名曲集、的なものがあったんです。かつては「過激」と感じたイル・ジャルディーノ・アルモニコが、久々の聴取では違和感まったくなし。ひたすら楽しい!時代の流れとは恐ろしいものです。

 Bach 管弦楽組曲第3番ニ長調は、キレとノリノリの快速テンポで開始されます。エンリコ・オノフリ(v)のビートと快い装飾に溢れたヴァイオリンがノリノリに快く、著名なる「アリア」は幻想的に静謐・・・なんだけど、かつて馴染んだ「バスのピツィカート」はどこに行ったの?(楽譜や如何)通奏低音のアルペジオも新たな魅力です。四角四面になりがちな「ガヴォット」も軽快に粋だし、快速「ブーレ」はハズんでおります。フィナーレは圧巻の華やかさに、旋律がふくらんで揺れて・・・棚中、カザルスとかクレンペラーのはちょっと時間を置いて、ノーミソ冷やさないと聴けないな。

 オーボエはパオロ・グラッツィの担当。通奏低音はどうもチェンバロだけではないらしい。リュート?テオルボか。ジミで古雅な響きがたまりまへん。流麗ではないが、装飾音の遊びが楽しいですね。Albinoniはもちろんだけれど、著名なるMarcello オーボエ協奏曲ニ短調の哀愁の旋律が胸に染みます。ここでの通奏低音はファゴットとオルガンかな?静謐かつリズムのキレ有。テンポは微細に揺れます。「アダージョ」は「ヴェニスの愛」の映画音楽でした。旋律だけで映画の雰囲気が想像可能。

 Vivaldi ピッコロ協奏曲ハ長調はジョヴァンニ・アントニーニがソロを執ります。おもちゃ箱のような賑やかな作品であり、緻密な演奏。調性のワリに暗転がけっこうあるんです。「バロック名曲集」には欠かせぬ「アルビノーニのアダージョ」・・・と思ったら、馴染みの旋律とは全然別物じゃないの。オノフリのしっとり纏綿としたヴァイオリンが、ほんの2分ほど歌いました。もしかしたら(シロウト考えだけれど)残存する楽譜断片から自由に解釈したものかも。

 Telemannはマルコ・バロニ+アントニーニのフルートが深々として、やはり伊太利亜音楽とはテイスト異なる独逸系深刻さがありました。Pachelbel「カノン」は旧知の旋律であって、但しリュートの軽快なリズムに乗って快速です。ジーグ入ってこその画竜点睛也。

 舞台は英国へ。「スティーヴン・クレオバリーヴズ」はリュートによる(おそらく)原曲であって、担当はルカ・ピアンカ。R.V.Wによる幻想曲ばかり馴染みだけれど、素朴で静謐であります。Purcell シャコンヌ ト短調は、これもBrittenの編曲が有名だけれど、原典による練り上げられたアンサンブルは滋味深いもの。悲劇的な旋律です。

 Handel 「シバの女王の入城」は「名曲集」に欠かせないもの。2本のオーボエ(マルコ・セラ/エミリアーノ・ロドルフィ)は、瑞々しい弦楽アンサンブルと楽しげに対話しております。ラスト、Albinoni再登場。これも未知の哀愁であって、CD一枚分をゆっくりクールダウンさせて下さいました。最高。

(2008年6月28日)


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written by wabisuke hayashi