Mozart 交響曲第41・35・36・38番(ミュンヒンガー)


Mozart 交響曲第41・35番(ミュンヒンガー) Mozart

交響曲第41ハ長調K551「ジュピター」
交響曲第35ニ長調K385「ハフナー」

交響曲第36ハ長調K425「リンツ」
交響曲第38ニ長調K504「プラハ」

ミュンヒンガー/シュトゥットガルト・クラシック・フィルハーモニー

VIENNA CLASSICS VIE-4/17  1980/82年録音  各@298で購入

 Intercord録音、現在はEMIの傘下。もっと古い録音かと思ったら、デジタル録音でした。時代が悪かったというか、古楽器系の意欲溢れる録音が増えてきた時期で、このMozart は忘れられた存在となりました。(彼のBach は見直されているはず)

 ガンコ一徹というか、いかにもドイツドイツした印象があるミュンヒンガー。(1990年に亡くなっている)この人のMozart はワタシにとって久々。小学生の時に愛聴した「アイネ・ク」以来でした。自然体、淡々として、ほとんど飾りらしい飾りもなくて、素朴。「クリップスみたい?」と訊かれれば、それは基本的に違うようであり、もちろん似ているところもあります。

 オケは、シュトゥットガルト室内管を発展させたものでしょうか。(現代楽器)しっとりとしていい味出してますね。コンセルトヘボウのような色気はないが、爽やかで涼しげな音色がたまらない魅力。技術的にはまったく問題がないのはあたりまえ。リキみがないのはクリップスと共通するが、実直で真面目な表現に好感が持てます。

 スケール感はないが、親密な「ジュピター」であり、透明でもあります。こんな細部までニュアンスが行き渡っている演奏は滅多にありません。ガチガチのリズムではないが、実直にしっかりとした足取り。枯れた感じもあります。静かで、諄々と諭されるかのような第2楽章「アンダンテ・カンタービレ」には痺れました。

 「天女が空から舞い降りてくる」メヌエットにはもっと愉悦感が欲しいもの。終楽章も控えめで、大人しいがジワジワと滋味深い。物足りないと思う人も多いでしょう。ラスト「ジュピター音型」の手前でテンポを落としてくれるのは、個人的には好み。

 「ハフナー」もまったく同じ印象ですが、もっと元気が欲しい曲。アンダンテの淡々としたテンポは効果的。メヌエット〜フィナーレは溌剌とした音楽ですが、録音の加減か低音が弱い。ワタシは録音の加減ではなくて、ミュンヒンガー自身が「軽さ」を求めた結果と考えました。


Mozart 交響曲第36・38番(ミュンヒンガー)  「リンツ」「プラハ」って、「ジュピター」「ハフナー」と同じ調性関係になっているんですね。「リンツ」は、後期の傑作のなかでもハイドンの影響が一番大きい曲なので、素朴に力強く演奏して欲しいもの。

 ミュンヒンガーの演奏ぶりは、前2曲とそう変わるものではないが、細部まで仕上げのていねいな「リンツ」でした。第1楽章は、細かくテンポが揺れるのが不自然ではないが、そう効果的なわけでもない。

 第2楽章アンダンテは、練り上げられたアンサンブルが美しい。(とくに弦)メヌエットにはもう少し躍動感を求めたいもの。終楽章も透明で、上品でした。そう不足は感じません。繰り返しも嬉しい。良く歌って優雅。

 「プラハ」は、大好きなMozart 作品中でも取り分けて好みの逸品。けっこう満足できる演奏は少ないんですよ。序奏のアレグロはできるだけダルに、その反動でアレグロは羽のように軽快であって欲しい。

 ミュンヒンガーの序奏はおとなしい。アレグロは推進力に不足します。ソロリと始まる感じ。それでも、この曲特有の晴れやかな気分が表現されて、悪い演奏ではない。(繰り返しがないのは個人的に不満)

 徐々に熱くなって第2楽章アンダンテへ。しっとりと歌ってくれて、晴朗、清楚、濁りない精神性を感じます。この人のアンダンテはどれも絶品。最終楽章は、彼の術中にすっかりはまって、少々ヤワな響きに包まれた快感がある。そっと柔らかく仕上げていて、テンポは中庸の美を誇っています。耳障りな響きはどこにもなくて、流れるように滑らかな音楽が蕩々と流れました。

 ミュンヒンガー最晩年の録音で、すっかり肩の力も抜けていたんでしょう。控えめで地味、一見フツウの演奏だけれど完成度は高い。オケも一流です。良い意味で軽さもある。国内盤ではたしかもう一曲収録だったから、各々50分程というのは短いが、価格から考えて文句なしでしょう。録音も自然で極上。(2001年3月9日)


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written by wabisuke hayashi