Mozart ピアノ協奏曲第13番ハ長調K.415(1953年?)/
Schubert ピアノ・ソナタ第21番 変ロ長調D960(クララ・ハスキル(p))


DOCUMENTS  232868/2 この顔写真なんとかならぬのか Mozart

ピアノ協奏曲第13番ハ長調K.415

フェレンツ・フリッチャイ/RIAS交響楽団(1953年?)

Schubert

ピアノ・ソナタ第21番 変ロ長調D960(1951年PHILIPS音源)

クララ・ハスキル(p)

DOCUMENTS  232868/2

 クララ・ハスキルは1960年に亡くなっているから、残された録音はすべてパブリック・ドメインとなり、この10枚組も1,000円ほどといった激安入手可能。安いことはありがたいが、このジャケ写真どーにかならんのか。もっと美人なのあるでしょうが。更に、このハ長調協奏曲K.415(1953年?)は少なくともフェレンツ・フリッチャイの指揮ではないらしい。

他資料によると1953年3月30日の録音とされるもの。ぼわんとして(疑似ステレオっぽい)、さほどに良好な音質ではありません。ところがこの日程でフリッチャイはケルンに行っており、録音もあるとのことだから、少なくとも指揮者は彼ではない・・・そうなると日程、オーケストラ、そしてハスキルというのも怪しくなる理屈で、困ったもんですな。1960年(DGバウムガルトナー/ルツェルン)の録音は有名だけど、2002年作成の労作ディスコグラフィにこの音源は出現しません。親密で瑞々しく、可憐な音色、時に力強く、静謐、清明なピアノ・・・ここでも(少々の音質不備乗り越え)そう聞こえるんだけれど・・・

ピアノ協奏曲第19番ヘ長調K.459にいくつか同一変名音源が存在する、との研究結果もあるから、この1953年録音(?)も1960年録音の焼き直し(ワザと音質劣化させる)ということはないでしょうね。あれはほんまに美しい演奏だった記憶がある。そして管楽器を含まない弦楽器のみのバックであったことは共通しております。(「音楽日誌」2011年8月)より

 エエ加減な音源(というか情報)はあきまへんなぁ。1960年録音とは微妙にタイミングも異なります。音質故の印象も手伝ってか、オーケストラはやや散漫な響き、緩いアンサンブルっぽい。親密で瑞々しく、可憐な音色、時に力強く、静謐、清明なピアノ〜この印象は変わりません。先にも書いたように管楽器、ティンパニが略されている(弦楽器)のも、カデンツァがニキタ・マガロフであるのも同じ。もし、ハスキルだとしたら、オーケストラはどこかの弦楽を主体とする団体でしょう。全体として1960年盤より表情がやや濃いというか、ウェットな感じ。ハ長調という調性ながら、第25番K.503に比べ大柄ではない、親密な作風は素敵です。

 第2楽章「アンダンテ」は優しく、安らぎに充ちた表情。名曲でんな。最近のスタイルならもっとスッキリとした流れとなるのでしょう。ここでは微妙に、躊躇いがちにテンポも揺れて浪漫なスタイル。第3楽章「アレグロ」も静かに語りかけるように自然であり、突然現れる嘆きのハ短調間奏曲が陰影を深めます。あとは牧歌的安らぎが戻って、諄々と諭されるような落ち着いた味わいが支配しました。

 拍手収録されず。よろしくはない音質水準、しかし会場ノイズみたいなものは聴き取れません。「あほ!この演奏はじつは○×のだよ」的情報、ご指導願う。

 Schubert のほうは正真正銘旧PHILIPS録音。これも音質ぱっとしません。(オリジナルは聴いたことはない)32分に及ぶ大曲(ややテンポは速め)。出会いはバドゥラ・スコダの旧録音(現代ピアノ)であって、子供の頃は集中力があったな、と自覚いたします。こんな静謐で華々しい爆発のない、延々とした旋律にすっかり馴染んで、好みとなりました。第1楽章「モルト・モデラート」〜ま、中庸な速度という指示。訥々と語るような歌謡的な旋律が延々、時に溌剌、メリハリあるスタイルにて表現されました。歌心は充分。

 第2楽章「アンダンテ」に絶望した、とぼとぼとした足取りを感じます。暗鬱な旋律リズムだけれど、次々と転調してここが一番好き。夜想曲風葬送行進曲ちゃいますか?中間部の寂しい笑顔も効果的(ここテンポ速め)。次、わずか3分半強の第3楽章「スケルツォ」軽妙な表情対比が活きます。

 終楽章の朗らかなる推進力はまるでMozart !でありました。これでもう少々音質明瞭であれば・・・

(2012年3月25日)


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written by wabisuke hayashi