Mozart 交響曲第35番二長調K.385「ハフナー」/
交響曲第36番ハ長調K.425「リンツ」(フリッツ・ライナー)


パブリック・ドメイン音源より入手 Mozart

交響曲第35番二長調K.385「ハフナー」

フリッツ・ライナー/ピッツバーグ交響楽団(1946年)

交響曲第36番ハ長調K.425「リンツ」

フリッツ・ライナー/シカゴ交響楽団(1956年)

パブリック・ドメイン音源より入手→自主CD化

 ワタシは基本、穏健古楽器派なんだけど、先日ブルーノ・ワルター晩年のMozart 交響曲を聴いて、豊満ゆったりとしたスケールに(心より)感動いたしました。子供の頃からの刷り込みですし。こんな大昔の伝説みたいな巨匠の録音ばかり聴いていても仕方がないんだろうが、Mozart にあまり適正がなさそうに思えるフリッツ・ライナー(1888年- 1963年)の録音はネットからありがたいことに無料で拾えます。ぜひ聴かなくては。

 フリッツ・ライナーは1938年-1948年ピッツバーグ交響楽団の音楽監督を務めており、Beethoven 交響曲第2番ニ長調と並んでその当時の録音なのでしょう(米CBS1945年録音/他R.StraussとかBartokとかけっこう大量の録音有)。音質かなり良好。明るく硬質なオケの響き、テンション高く、溌剌として驚くべき推進力+アンサンブルの集中力を誇ります。テンポは速めなのに、どんな細かい旋律パッセージも縦線がぴたりと合う。セレナードを出目とする優雅な作品にしては、表現が少々硬派であって強靱すぎるかも知れぬが、オケの実力を万全に、文句なく発揮して唖然とさせる「ハフナー」でありました。

 ライナーの最晩年はシカゴ交響楽団との華やかな成果とともに語られます。(在任1953-1962年)著名なる「英雄の生涯」「ツァラ」(1954年)が立派なステレオ録音だけれどから、この1956年録音の「リンツ」もオリジナルはステレオなのかも。10年後の録音は、ピッツバーグ響の技量やら音質をいくら称揚しても、それらを圧倒的に上回って、圧巻の感銘有。

 サウンドの厚み、低音の深さが違う〜それはもちろん録音問題もあるんだろうが、それを勘案してもおそらくはシカゴ交響楽団のサウンド個性と判断できます。”明るく硬質なオケの響き、テンション高く、溌剌として驚くべき推進力+アンサンブルの集中力を誇ります。テンポは速めなのに、どんな細かい旋律パッセージも縦線がぴたりと合う”〜とは前出ピッツバーグ響へのコメントだけれど、それはシカゴ響へも同じ賛辞を適用可能。でもね、明るく硬質なオケの響きは、もっと重く、陰影があって、亜米利加のオケなのに欧州のサウンドが木霊(こだま)します。

 どんな細かい旋律パッセージも縦線がぴたりと合うのはその通りなんだけど、微妙なニュアンスで味付けは刻々と変化して、これがほんまに上手いオケなのだろうな、との手応え充分。テンション高く、溌剌として驚くべき推進力なんだけど、この人の底流には浪漫が感じられました。無条件幸福Mozart /大好きな後期交響曲中やや苦手な(実際、満足できる演奏にはなかなか出会えない)「リンツ」を、ここまで鮮烈に、強烈な印象を刻み込んで下さって、弾丸ライナーの実力を眼前に提示して下さいました。

 最高。ちなみに他の交響曲録音もほとんど同じ印象となります。第39番 変ホ長調第40番ト短調交響曲第41番ハ長調「ジュピター」(すべて1954年)、もパブリック・ドメイン音源として拾えます。印象は上記とほとんど変わりません。

(2010年8月28日)

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written by wabisuke hayashi