Mozart 交響曲第31番ニ長調 K.297 (300a)「パリ」/
第33番 変ロ長調 K.319/第34番ハ長調 K.338
(アダム・フィッシャー/デンマーク国立室内管弦楽団)


Dacapo 8201201 Mozart

交響曲第31番ニ長調 K.297 (300a)「パリ」
交響曲第33番 変ロ長調 K.319
交響曲第34番ハ長調 K.338
交響曲第31番ニ長調 K.297 (300a)「パリ」第2楽章「Andate」(初稿)

アダム・フィッシャー/デンマーク国立室内管弦楽団

Dacapo 8201201 2010-11年録音

 例えばMahlerやBruckner、ましてやHaydnやMozartの交響曲全集を入手するなんて、LP時代は夢のまた夢、一部のお金持ちの世界でした。ましてやBachのカンタータ全集とか、庶民に手が出るものではない・・・社会人になって結婚して子供ができた頃、長年の夢であったMozart 交響曲全集LPボックス(カール・ベーム/ベルリン・フィル中古壱万円)を入手しました。当時それでも激安、あまり盤質状態よろしくなく、しかもラスト交響曲第40番ト短調第41番ハ長調「ジュピター」は抜けていて、コンセルヘボウのモノラルが封入されていた・・・のも妙な、懐かしい思い出。やがて幾星霜

 似非金満中年は21世紀廉価盤CDの時代を経、こどもの頃からの音楽ファン(=ワシ)はネット音源を自在に拝聴できるお仕事引退年齢に至りました。このアダム・フィッシャー(Adam Fischer, 1949ー)全集は日本では全然話題になっていないようですね。あまりに自由自在安易に”全集”が聴けるようになると、かえって有り難みを失ってちゃんと音楽に対峙しないようになる・・・ことを反省。彼のHaydnはけっこう真面目に聴いていたのにね。ニ長調 K.297 (300a)「パリ」はカール・ベームの終楽章「Allegro」があまりの遅さに仰け反った記憶も鮮明、それを含んだ1枚を取り出したもの。ま、なんでも、どの曲でもよろしかった。

 不況、財政難が理由でもないらしいすったもんだで残念、解散したらしいデンマーク国立室内管弦楽団はモダーン楽器使用、アダム・フィッシャーはピリオド奏法を取り入れて、表情豊かにヴィヴィッドな演奏を繰り広げております。もったいないなぁ、こんなステキなオケを潰すなんて!

 「パリ」は1778年22歳の作品、クラリネットやティンパニも入った2管編成はのびのび溌剌な第1楽章「Allegro assai」は躍動の開始。アクセントはかなり強烈でっせ。パリの聴衆受けを狙ったらしい強弱の対比、ティンパニのアクセントも鮮やか。(6:54)第2楽章「Andante」は典型的優雅なメヌエット、ここではティンパニはお休みでした。ノンヴィヴラートの弦に+木管が優雅に歌って、リズミカルにメリハリも充分でしょう。(4:42)第3楽章「Allegro」は弦の弱音からそっと入って、ダメ押しのように強烈な対比、暗転、色彩の変化もMozartの面目躍如、アダム・フィッシャーは表情ニュアンスも豊かにストレートでした。(3:36)(初稿「Andante」だって、悪くない落ち着いた風情。3:33)

 交響曲第33番 変ロ長調 K.319は23歳、ザルツブルグ時代の交響曲とのこと。クラリネットもティンパニも入りません。第1楽章「Allegro assai」の晴れやかな表情、やや速めのテンポにちょっぴり粗野な響き、ノリノリの感興であります。ジュピター音形が登場するのですね。(6:21)第2楽章「Andante moderato」は優雅な緩徐楽章。途中オーボエとホルンの掛け合いが美しいもの。(4:05)第3楽章「MenuettoーTrio」は躍動し、スウィングするメヌエット、ポルタメントって云うんですか?弦の強調がアダム・フィッシャーらしいところ。途中、ヴァイオリン・ソロになっているのも初耳。(2:29)第4楽章「Finale:Allegro assai」はダメ押しのウキウキ楽章でしょう。木管の剽軽な活躍を挟んで、決然としたリズムを刻んで晴れやかに疾走しました。(8:22)

 交響曲第34番ハ長調 K.338はMozartのザルツブルグ時代ラスト交響曲。調性に相応しいスケールを感じさせる第1楽章「Allegro vivace」堂々たる開始。楽器編成は上記第33番と同じ、オーボエ2-ファゴット2ーホルン2+弦楽なのは宮廷楽団の編成だから当たり前、と思ったらここではティンパニが付加されて力強いもの。暗転とタメ、表情の多彩な変化は後年の成熟を予感させます。(7:09)第2楽章「Andante di molto piu tosto allegretto」は弦の優しい旋律がノン・ヴィヴラートにさっくり淡々と、そっと歌って素敵です。(5:48)第3楽章「Allegro vivace」は前曲のフィナーレによう似て、演奏会アンコールにも使われます。弦が細い音形を刻んで、木管が呼応する躍動に心奪われるところ。(7:07)かなり上手いオケでっせ。嗚呼、解散とはもったいない。

(2018年7月28日)

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written by wabisuke hayashi