To●「かなり有名なレーベル」


Mozart ピアノ協奏曲第17/18番
(エンゲル/ハーガー/モーツァルテウム管弦楽団)



Mozart

ピアノ協奏曲第17番ト長調 K.453
ピアノ協奏曲第18番 変ロ長調 K.456

エンゲル(p)/ハーガー/モーツァルテウム管弦楽団(ザルツブルグ)

TELDEC WPCS-10102  1974年頃録音 250円(中古)

 カール・エンゲルは、1923年スイス生まれのピアニスト。名前的に独逸系の方でしょうか。声楽の伴奏やら、室内楽でずいぶんと昔からお馴染みだったような気もしますね。Mozart のピアノ協奏曲は全集になっていて、1999年に国内廉価盤としてCDが発売されております。ワタシは不勉強、かつ罰当たりなことに、ようやくこの価格(250円!)で出会って入手した一枚。

 ま、「Mozart に駄作なし」〜は当たり前の真理だけれど、第17番ト長調協奏曲を聴いていてると、カラダの奥底・・・芯のほうに蟠(わだかま)っていた”澱(おり)”のようなものが、とろりと霧散するのを自覚できます。ああ、楽しい、幸せ、音楽を聴く原点が蘇ります。草原に遊ぶ幼児が春の陽気に誘われ、初めて自らの足で歩み出すような、そんな暖かくて切ない感動も連想させました。

 これほど虚飾のない、素直な演奏も珍しいでしょう。音色やスタイルに特別な色合い〜例えば”艶”とか、朗々たる歌とか、そういうものは存在しないのに、この自然体に魅せられる不思議。バックのオケともどもリキみやら濁りとは無縁でした。最近、とみにワタシの嗜好が”地味渋裏地凝系”に接近しているから、もうコレはたまんない。

 曲目も演奏も”爆演系”もたまに良いけれど、薄味隠し味だよね、料理の醍醐味は。激辛ばかりじゃカラダがもう保たん。ああ、曲はいつのまにか第18番 変ロ長調協奏曲に。いつもいつもMozart の協奏曲には「人の声・歌」をしっかりと感じます。天衣無縫なる旋律に聴き惚れていると、美しいソプラノの笑顔が見えてくるんです。

 声量に不足はないが、けっして大声ではない。むしろ小さめの声で、しかも発声が正確で会場の隅々まで通るような、そんなピアノ。ワタシは楽器演奏に縁はないが、ピアノを演奏される方に伺うと「Mozart はキライ。だって、演奏の上手いヘタがモロに出ちゃうから」とのこと。ワタシはエンゲルのピアノに「正確さ」を聴き取りました。それはもちろん機械的真面目一方なものではないけれど。

 アンダンテは全ピアノ協奏曲中屈指の名曲!歌劇「フィガロの結婚」〜バルバリーナのカヴァティーナ 「なくしてしまった」との関連も指摘される哀愁の旋律。ワタシは”救済”も同時に感じました。終楽章の端正で落ち着いた味わいはいかがでしょうか。指が存分に回っているのに、ゆったりと音楽は流れます。Mozart いつものお約束〜短調への暗転はちゃんとやってきて、ここでの効果はピカイチと感じました。

 Mozart ピアノ協奏曲演奏のスタンダードであり、ひとつのお手本でしょう。録音もごく自然。(2004年1月8日)

【♪ KechiKechi Classics ♪】

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written by wabisuke hayashi