Beethoven 交響曲第9番「合唱」ニ短調(ピエール・モントゥー/ロンドン交響楽団)


MCA MCAD29806A Beethoven

交響曲第9番ニ短調 作品125

ピエール・モントゥー/ロンドン交響楽団
ゼーダーストレーム(s)レズニク(con)ヴィカース(t)ワード(b) ロンドン・バッハ合唱団

MCA MCAD29806A 1962年録音

(+同上 リハーサル風景、「ラ・マルセイエーズ」)

Beethoven

交響曲第5番ハ短調 作品67

ロジンスキー/フィルハーモニック・シンフォニー・オーケストラ・オヴ・ロンドン(RPOのこと)

MCA MCAD29806B 1958年録音  以上2枚組2,000円で購入(?もっと安く個人輸入したのかもしれない)

 毎年、12月になると「第九」を集中的に聴くようにしています。ことし(1998年)はコンサートも行こうと決意。(風邪に倒れ、結局アウト)
 新年はウィンナ・ワルツ。バブル時の「ブーニン・ショック」も、その後の「グレツキ」「グレゴリオ聖歌」「アダージョ・カラヤン」の一時的ブームも、私は悪くないと思うのです。数%のひとびとはこれをきっかけに、ほんとうの音楽ファンに育っていく可能性に期待。

 1998年は偶然でしょうが、Beethoven のCDをたくさん聴きました。第5番なんて、ここ10年くらいほとんど聴いた記憶はなかったんですけど、けっこう聴きましたね。たしかこのCDは最近、両方とも新しくリマスターされて出ていました。MCA系では、シェルヘン、ロジンスキー、スタインバーグ(これはCOMMAND)とBeethoven の主たる録音が残っているはず。

 モントゥーは、DECCAに第1番〜8番まで交響曲をステレオ録音していて(LSOとウィーン・フィル)何故か第9番のみ、ウェストミュンスターになっている不思議さ。
 なにがあったんでしょうか。LP時代はキング・レコードから「世界の名曲1000シリーズ」の一枚として出されていました。残響の少ない音の悪さは今も昔も変わらず。ティンパニなんか、じつに冴えない音。

 録音状態をものともせず、この演奏は聴く度に魅せられます。力みのない自然体、適正でオーソドックスなテンポ。最低限のテンポの揺れから生み出される熱気。オーケストラの指揮者への共感に満ちた自発的で厚みのある歌。音をけっして濁らせない上品な佇まい。

 1楽章も2楽章もそっけなく、耳障り悪く始めて、知らぬ間にノリノリの盛り上がりになってしまう不思議。第3楽章アダージョは、淡々とサラリと速めのテンポで飾らないスタイルながら、ふと我に返ると壮大な変奏曲の深さに身をゆだねてしまっている。
 最終楽章も一見流したような、構えたところのない演奏のように聴こえて、やがて音楽が本来持っている熱気スケールに巻き込まれていく充実感。声楽も満足すべき高い水準。
 LSOもよく鳴っています。

 リハーサルが26分ほど収録されていますが、なんという若々しいモントゥーの声。最晩年の80歳を越えた老人とは思えない精力ぶり。わかりやすい英語もありがたい。「自然体」のように聴こえて、実際はそうとうに細かい指示を出していることもわかります。
 座興で演奏したのか「ラ・マルセイエーズ」も入っています。

 最近、多くの録音が復刻して見直しが進んでいるロジンスキーは、1958年、亡くなった年のステレオ録音。有名なオーケストラのポストにつきながら長続きしなかったのと、ステレオ録音の切り替え時期に亡くなったという不運もあって、現在ではメジャーな存在ではありません。
 でも、けっこう録音はたくさんあって、独特のアクと強引さを感じさせて、面白いものばかりです。わりと好きです。

 第5番は、引き締まって緊張感の強いトスカニーニ方向の演奏でしょう。
 早めのテンポで疾走し、アンサンブルの集中力はそうとうなもの。思わせぶりな「間」とか、示威的なテンポの揺れは少なくてストレートな勢い溢れる演奏です。

 現代的なセンスを感じさせて、録音水準を除けば(年代相応ですよ)古さを感じさせません。オーケストラ・ビルダーとして評価が高かったロジンスキーらしく、アンサンブルの水準は高く、RPOは好調です。

 繰り返しを実行していないので、全体で28分強しかかかっておらず、あっと云う間に終わります。ロジンスキーとしてはバランスのとれた、エキセントリックさを感じさせない演奏と思います。強引さとアクは健在ですが。


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written by wabisuke hayashi