MOLER(1696-1765)
二声のソナタ ヘ長調 MWV W/1
チェロ協奏曲ハ長調 MWV W/7
序曲(管弦楽組曲)ハ短調 MWV V/9
シンフォニア ヘ長調 MWV Z/77
オーボエ協奏曲ハ長調 MWV Y/20
シンフォニア ヘ長調 MWV Z/78
グレース/ヨーロッパ交響楽団/ストロジェンコ(vc)/ポパ(ob)/ベック(cem)
ARTE NOVA 74321 40741 2 1996年録音 500円で購入
MOLERは大Bach のやや後輩の人か?「世界初録音!」(時にあてにならぬが)とのことだから、珍しい作品なんでしょう。演奏はARTE NOVAの主力ヨーロッパ・シンフォニー(旧フィルハーモニア・ロマーニャ)〜ルーマニアの団体ですな。現代楽器使用。しっとりと瑞々しいアンサンブルを聴かせて下さいます。豊かな残響ある録音だって悪くない。
ソナタ ヘ長調は、典雅で穏健な旋律、柔らかな響きがたまらない。弦楽とオーボエですね。ややノンビリしすぎるくらい、気持ちがヨロし。あ〜あ、こりゃいいや、とぬるま湯の温泉に浸かっているみたい・・・で、全7曲でしょ?23分というこの類の作品としては、やや長めで少々飽きます。好きだけど。これには原因がある。閑話休題
チェロ協奏曲も、甘い響きのアンサンブルは健在でした。チェロも朗々と優等生、上手いもんですよ〜ああ、きょうも小春日和だ・・・的演奏が続きます。ハ長調という調性もむずかしいかもね。MOLERって、やっぱりちょっと変化に乏しい作風なのかな、なんてそろそろ思い始めましたね。
で、次の序曲(管弦楽組曲)ハ短調は、ちょうどBach の管弦楽組曲を思い出していただければ良いと思います。フランス風序曲→リゴードンT、U→アリア→アレグロという構成で約12分。オーボエも入ってなかなか名曲です。わかった。「変化に乏しい作風」じゃなくて、演奏の方だよ「変化に乏しい」のは。
やさしく、まったりしてね、このCD全6曲のうち、ひとつだけ取り出せばOK。でもね、続けて聴くと飽きますね。リズムが穏健すぎて、メリハリに欠けるし、もっと大爆発!(って、別に大音響という意味ではないが)も欲しいところ。各楽章ラストのルバートも時代遅れっぽくて、少々気恥ずかしい、というか鬱陶しいかな。
シンフォニアはホルンも登場。曲が変わったのに、雰囲気が変わらない?テンポも動かない。序曲(管弦楽組曲)ハ短調→シンフォニア ヘ長調でっせ。この美しき、ユルフン的雰囲気。ハ短調のオーボエ協に至っても状況は同じでしょ。問題はリズムだな。ポパのオーボエはちょっと粗野な音色で、悪くありませんね。
ラストヘ長調のシンフォニアの晴れやかな旋律の魅力。でも、やっぱりワン・パターンなんです。嗚呼、Molterってけっこうメモロディ・メーカーかも・・・グレース率いるヨーロッパ響もなかなか・・・だけど、この解釈はいただけません。ぜひこのCDを購入していただいて、ご意見賜りたい。けっこう、なんども聴きました。数回昼寝してしまいました。そのくらい気持ちがよい。(2004年1月16日)