Midnight Cruise(真夜中のクルーズ)


Rimsky-Korsakov
交響組曲「シェエラザード」作品35より「海とシンドバッドの船」
ゴルコヴェンコ/サンクトペテルブルグ放送交響楽団

Rachmaninov
ピアノ協奏曲第2番ハ短調 作品18
ティトフ/サンクトペテルブルグ新フィルハーモニー/エゴロフ.P(p)

Elgar
弦楽セレナード ホ長調 作品20
ライロフ/パヴロフスク交響楽団
(以上読み方いい加減)

FELISSIMO MUSIC  FMCD0005  録音年不明のデジタル録音  350円(中古)で購入

 このCD、シリーズもの計3枚ほどご近所の古本屋さんに投げ売りされていました。「どうだ!珍しいだろ!誰も持ってないでしょ?(悔しかったら買ってみろ)」という意地で買ったCD。(だって3枚で千円札と小銭ちょっと。ささやかな冒険)

 このCDは、1994年におそらく通販かなんかで発売された「ヒーリングもの」のシリーズらしくて、驚くべきことにすべてオリジナル音源であること。別項「バッハのピアノ協奏曲集」(Infinity Digital)の演奏家と共通していて、演奏団体は「臨時編成」の可能性が高いものの、ソヴィエット崩壊後のロシアでの録音と推測されます。録音状態は良好。
 イン・ザ・ムード的ながら日本語(訳)の解説も付いています。FELISSIMO MUSICというレーベル(会社?)も初耳。

 とにかく、演奏家が珍しい。ロシアの音楽事情に詳しい方に是非お聞きしたいけれど、この団体はほんとうにあるんでしょうか。サンクトペテルブルグ放響なんて、いかにもありそうな名前ですけどね。Symphny Orchestra Pawlowsk辺りになると、読み方さえわからない。指揮者も、ピアニスト(ユリ・エゴロフじゃないですよ、パーヴェル)も馴染みがない名前。こういうのは好きなんですよ、ワタシ。

 まず「シェエラザード」から。ありがちの第1楽章のみ収録。
 語り口の巧さとか、オケの濃密な響きには欠けますが、ロシアらしい金管のえげつない迫力もあって、意外と聴ける演奏に仕上がっています。これは全曲聴かせて欲しかったなぁ。上記の「Bach 」にInfinity Digitalシリーズのライン・アップが付いていて、そのなかのQK57253が全曲だと推測されます。

 ラフマニノフは一聴の価値あり。

 Bach でも演奏していたパーヴェル・エゴロフですが、ヘタクソっぽい演奏なんです。この曲、かなりの難曲じゃないですか。細かいパッセージが弾きこなせないのか(それともわざとか)、テンポを落として行くんですよね。だから、リヒテルの白熱して、太い芯が通ったような演奏を聴き慣れていると実に危うい、一見ダメ演奏に聴こえるんですよ。

 でも、なんというかじつに誠実で、味わいは有。弾き崩したり、テクニックのかわりにヘンなクセでゴマかしたり、がありません。弾きこなせてない(と、想像される)ところは、正直にテンポを落としても、ていねいに旋律を拾っています。自信を持った力強さとか、個性的な節回し、ものすごい勢いはないけれど、訥々としてなんとなく心に染みてくる。(とくに第2楽章)

 オケもやや響きは薄いけれど、ロシア特有のホルンのヴィヴラートも魅力的で、雰囲気たっぷりです。最終楽章はそうとうヨレヨレですが、心から無事に最後まで演奏が終わることを祈るばかり。聴き手は集中させられます。

 エルガーはもっと凄い。

 メールでご教授いただきましたけど、シノーポリの「セレナード」もそうとうにテンポが遅いそうですね。ワタシが数種類持っているCDはだいたい12・3分なんですが、ここでは18分以上。

 もうなんか、めったやたらと朗々と歌っていて、間の取り方も尋常ではない。テンポを揺らせて、粘りに粘った演奏。アンサンブルは巧いんだか、ヘタなんかわからいないような個性ですが、別な曲を聴くかのような、とてつもない経験をさせてくれます。
 これこそ、ロシアのエルガー、なんでしょうか。並の情熱の込め方じゃありません。


メールでUさんから、エラく叱られました。正直にここに掲載し、反省します。「ヘタクソ」は過激な表現でした。

はじめまして。

HP拝見させていただきました。
私は音楽の勉強をしながら関西で演奏活動をしている者です。

パヴェール・エゴロフ(ピアニスト)についてかかれていましたね。下手、などかかれていましたね。 あの方は私の先生です。 ロシア国立サンクトペテルブルグ音楽院(旧レニングラード音楽院)の教授でいらっ しゃいます。
彼はモスクワ音楽院出身で1975年にシューマン国際コンクールで1位、 現在はヨーロッパの数々のマスタークラスをもたれています。
ネイガウスの孫弟子、ゴルノスタエヴァの弟子です。

本当に素晴らしい先生で、そのことについては音楽之友社出版の 『ロシア・ピアニズムの系譜』にかかれています。
先生の御指導のおかげで私も(小さいですが)国際コンクールに入賞しています。 この秋再び渡露、レッスンを受けにいく予定です。

これに対するワタシのお詫びは

 もうしわけない。知人から譲っていただいたメロデイアの最新カタログのラスト (つまり録音が新しいということ)にもエゴロフさんのCDが掲載されていて、それな りに知られている人なのかな、と思っておりました。貴女の先生であったとは。失礼 な表現、お許しくださいませ。  「エゴロフ」で検索して出てきたページでしょうか。ワタシのHP全体を読んでいた だけばわかるように、あまり知名度にはこだわらず、「安くてタマタマ買った」もの を掲載しております。件のラフマニノフは、いわゆるヴィルティオーゾ・タイプとは違うじゃないですか。表現が失礼で恐縮でしたが、正直ワタシの感想はあの通りです。

 ・・・・・コンクール入賞云々はまったく気にしないワタシですが、バリ・テク・タイプじゃないでしょ、エゴロフ先生は?(味わいタイプ?)

 まるで森総理の申し開きのようですが、まさか日本に縁のある方とも知らず、失礼いたしました。ごめんなさい。

 これに懲りず、ワタシのHPにご遠慮なくご意見下さいね。HPは発信自由の民主主義的な仕組みですが、各人の反応は素直に反映させるのが礼儀です。正直、この珍しいCD で反応があったは驚きました。ご容赦。

(2000年7月1日更新)


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written by wabisuke hayashi