Mendelssohn 交響曲第1番ハ短調/第5番ニ長調「宗教改革」
(ヘルベルト・カラヤン/ベルリン・フィル)
Mendelssohn
交響曲第1番ハ短調
交響曲第5番ニ長調「宗教改革」
ヘルベルト・カラヤン/ベルリン・フィル
DG (1S 12 040/LP全集のデザイン) 1972年録音
Herbert von Karajan(1908-1989墺太利)は存命中、あまりに有名であったのとレコード、CDが高かったせいもあって拝聴機会はあまりありませんでした。「棺を蓋いて事定まる」先人の言葉にある通り、やがてまとめて彼の音源を聴けるようになって、その立派な個性に打ちのめされることも多いもの。Mendelssohnの作品が実際に演奏会に取り上げられたかどうかは微妙です。なんせ「全集録音して発売する」ためだけの選曲もあったそうですから。プロでっせ。じつは両曲ともオーケストラの大音響部分で響きが濁って、おそらくは我が貧者のオーディオの再生限界と思われます。
作曲者15歳の作品であるハ短調交響曲は古典的二管編成+ティンパニ。あちこち幾度か聴いていたけれど、御大カラヤンの演奏には仰け反りました。若書きの緊張感漂う才気走った古典的風情作品だったはずが、なんというスケールと力感、厚みのある豊満なサウンドはあまりに重厚!な悲劇。 少年の作品を真摯に堂々朗々と再構築させて一切の手抜きがない。ベルリン・フィルのあまりにゴージャスな響きも立派。第1楽章「Allegro di molto」大柄に劇的な始まりにも余力を感じさせる余裕のリズム。弱音部分の木管は透明なセクシー・サウンド。(8:20)第2楽章「Andante」は弦の陶酔に目眩がしそうなほどの静謐。木管も夢見るようにデリケート。(6:31)第3楽章「Menuetto: Allegro molto」このメヌエットは信じられぬほど立派な構えにリズムを刻んで、重量感と分厚い響きはカラヤン/ベルリン・フィルならではの激性でしょう。トリオは静謐に抑制したコラール。(7:02)第4楽章「Allegro con fuoco」風雲急を告げるフィナーレの始まりは痺れるような弦の艶。重心の低い推進力に充ちて、途中の低いピチカートも意味深く響きました。けっこう知っていた馴染みの旋律は別物級のがっちり劇的スケールに変容してラストはテンポ・アップ。立派に明るく締め括られました。(8:41)
あまり人気のない「宗教改革」も古典的二管編成にティンパニ+コントラファゴット+セルパン(チューバで代用可能とのこと)1830年(21歳)の作品、これはいっそう凄い演奏でしょう。第1楽章「Andante - Allegro con fuoco」神妙な序奏から磨き上げられた弦がさわさわと泉が湧き上がるように広がる「ドレスデン・アーメン」登場。第1主題が劇的に盛り上がりを見せつつ劇場は高まります。第2主題は伸びやかに、最終盤「ドレスデン・アーメン」や第1主題再登場して・・・ラスト辺りのティンパニがとんでも大迫力。(13:01)第2楽章「Allegro vivace」軽快軽妙なスケルツォは優雅に、やがてホルンを呼び水に・・・このホルンが凄い厚みでして、いくら抑制した軽妙な味わいも、オーケストラのパワフル優雅な響きは隠せないといったところ。(6:58)第3楽章「Andante」は緩徐楽章。暗く哀しい旋律は楚々として短く、フルートはぞっとするほどセクシー。雰囲気たっぷりにそのままアタッカに(4:25)第4楽章「Andante con moto - Allegro vivace」へ。冒頭敬虔なコラール「神はわがやぐら」がフルートに歌われ、やがて賑やかに晴れやかに盛り上げて、これほどの名曲だったか!そんな発見たっぷりな堂々たるフィナーレでした。(8:53) (2024年11月9日)
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