Mendelssohn 交響曲第4番イ長調「イタリア」/ヴァイオリン協奏曲ホ短調
(グッドマン/ハノーヴァー・バンド)


Mendelssohn 交響曲第4番イ長調「イタリア」/ヴァイオリン協奏曲ホ短調(ロイ・グッドマン/ハノーヴァー・バンド)
Mendelssohn

交響曲第4番イ長調 作品90「イタリア」
ヴァイオリン協奏曲ホ短調 作品60
序曲「静かな海と楽しい航海」 作品27

ロイ・グッドマン/ハノーヴァー・バンド/ベンジャミン・ハドソン(v)

NIMBUS NI 1765/5526  1988/90年録音  6枚組3,790円(税抜〜安くはないな)で購入したウチの二枚

 ワタシは浪漫派の交響曲を少々苦手としていて、うんと後期のMahler /Brucknerに至らないと、なかなか楽しめない罰当たり者なんです。なぜかな?出会いが悪かったのか(記憶ではショルティ/イスラエル・フィルの快速ヒステリック演奏・・・1958年)。このボックスセット「Mendelssohn WORKS FOR ORCHESTRA」(6枚組)は、ボートン/ESO、ラレード/スコットランド室内管など、普段なかなか聴けない演奏と作品(弦楽のための交響曲全曲含む)を揃えて10年前ほどに購入したはずだけれど、なぜかこの一枚のみ未聴でした。あきまへんな。もったいない。高い安いの論外か。(現役のようです

 古楽器演奏の老舗であるハノーヴァー・バンドですが、Beethoven 、Haydn、Schubert 、Schumannなど、ほかたくさん立派な録音を残している(現役でしょうか)ワリに”凄い人気!”とか”話題沸騰!”に非ず的印象もあります。来日していないから?ワタシはその”穏健派”的、やや素朴な表現や響きをたいへん気に入っております。この「イタリア」も例外ではない。

 颯爽と軽快で、響きに威圧感がない(やや薄味がちょうどよろしい)し楽しく聴けましたよ。ほとんど変化ワザのない、ストレート系の表現も好感有〜でも、ホルンのつぶれた迫力には充分なる衝撃と説得力が存在します。(第1楽章提示部繰り返しは当たり前だけれど、個人的に嬉しい)弦は痩せすぎず素朴な味わいがあり、管楽器には粗野な味わいが快い・・・テンポはあまり動かない。最終楽章の快速熱気に、思わず身を乗り出すほどの勢い有(木管の技術が素晴らしい)。その勢いは上滑りせず、コクを感じさせて大きなリズムが明快なんです。

 第2/3楽章には、静かなやすらぎを感じました。第3楽章も牧歌的なホルンが良いですね。ワタシはこの楽章「モデラート」が一番好きです。

 ヴァイオリン協奏曲ホ短調といえば、トロ甘い旋律/美音滴る名曲中の名曲〜古楽器での演奏(バロックと違ってノン・ヴィヴラートではない)とは少々(想像上では)違和感ありそうだったが、これも予想外の成功でしたね。まるで化粧を知らぬ美少女の白い肌のような味わいがあって、清楚で無垢そのもの。ベンジャミン・ハドソンはシュトゥットガルト室内管のコン・マスだから、現代楽器が専門なのでしょうか。使用楽器の様子もわからないが、粗野で素っ気ない音色ではありません。これはこれで清涼なる甘さがある。数回聴き通して、飽きは来ない。

 表現的には「イタリア」同様、浪漫に揺れる世界ではなくて、最低限のテンポ変化が効果を上げております。技術的には万全であって、刻々と表情を変化させて繊細な味わいが深い。バックはやはり粗野な金管が印象深いもの。終楽章はずいぶんと抑制が利いて、奥床しい悦びに溢れました。

 序曲「静かな海と楽しい航海」は、初耳だと思います。途中、聴き慣れぬ乾いた響きのティンパニが連打され、耳目を驚かせました。

(2005年9月23日)


【♪ KechiKechi Classics ♪】

●愉しく、とことん味わって音楽を●
▲To Top Page.▲