Mendelssohn 交響曲第1番/4番(ブリュッヘン/オランダ放送室内管弦楽団)



Mendelssohn

交響曲第1番ハ短調 作品11
交響曲第4番ニ長調 作品90

ブリュッヘン/オランダ放送室内管弦楽団

BEILLIANT 99761/1  1992年ライヴ録音 7枚組1,890円で購入したウチの一枚

 18世紀管弦楽団との「イタリア」は第1楽章のみCDで所有しているが、驚くべき躍動感に充ち、各パートの上手さ、見事さに感服させられる完成度でした。これ、激安全集セットで有名になった珍しい音源です。ワタシにとってMendelssohnの交響曲は苦手方面だけれど、古今東西の名曲(と呼ばれるもの)には敬意を表して、なんとか魅力を見つけたいもの。

 まず有名な「イタリア」から。オランダ放送室内管とはどんな団体か良く知らんが、ライヴでここまでやってくれるというのは驚きの水準。ティンパニを強奏させて、粗々しくもチカラ強い勢いを出現させます。18世紀管弦楽団はスタジオ録音だし、世界中の名手を集めたんでしょ?こちら現代楽器だけれど、奏法はまるで古楽器でヴィヴラートの少ない弦楽器だし、木管は「美しく、しみじみ」タイプとは少々異なります。でも、なかなかの技量に間違いなし。

 第1楽章の激走ぶりは18世紀管弦楽団をしのぎます。ライヴでしょ。音の濁りとか、少々お下品すぎっ!なんてことは考慮しないこの勢い。ワタシお勧めは第3楽章「モデラート」の、自然な精気に満ちた呼吸です。やや早めのテンポだけれど、これがなんとも穏やかな鼓動を感じさせ、しかも、微笑みに溢れて聴き手のカラダさえ揺らせます。

 終楽章の新幹線のぞみ並のスピードには圧倒されます。音楽は主張と個性が重要なんです。クラリネットの裏返りなんのその。「音楽は爆発だ!」と某大芸術家も仰っていた(少々違ったか)が、その通り。


 「クラシック音楽の天の邪鬼」と自覚するワタシは、知名度が相当落ちる第1番ハ短調には注目しておりました。これはMendelssohnにおける「疾風怒濤」の音楽なんです。ロダン/イスラエル・シンフォニエッタ(OLYMPIA OCD 164)でかなり以前からの愛聴盤〜軽快で早めのテンポ、爽やかな演奏でした。

 ブリュッヘンはややテンポが遅いし、なによりリズムが重いんです。 例の如しでティンパニを先頭にアクセントを明確に刻んでいくから、なにやらたいへんなアクも加わってイメージ一新で第1楽章開始〜って、これは好みの問題ですね。 ところが第2楽章アンダンテの繊細な美しさは、対照的に際だちました。

 第3楽章メヌエットは、ほの暗い激情を感じさせ、やはり重い。終楽章はMozart のト短調交響曲を連想させる、悲しみと美しさが交差する音楽なんです。ティンパニ大活躍で、ブリュッヘンは「綺麗にまとめよう」とは思っていないはず。Mendelssohnはいくらでも「美しく」仕上げることは可能なはずだけれど、彼の音楽は本音みたいでなかなかよろしい。

   但し、座右に常備する演奏かどうかは意見が分かれるところでしょう。いずれにせよ@270の価値を遙かに凌駕するCDに間違いなし。7枚でも「廉価盤」一枚分、か。(2002年8月23日)


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written by wabisuke hayashi