Mozart 「ポストホルン・セレナード」(メニューイン)


VIRGIN 7243 5 61679 2 7 5枚組2,500円で購入したうちの一枚 Mozart

嬉遊曲ニ長調K136
セレナード ニ長調K239「セレナータ・ノットゥルナ」
セレナード ニ長調K320「ポストホルン」
二つの行進曲K335

メニューイン/ローザンヌ室内管弦楽団(1989年ヴヴェイ録音)
VIRGIN 7243 5 61679 2 7
5枚組2,500円で購入したうちの一枚(ほか交響曲などが入っている)

(VIRGINは、すっかりEMIの廉価盤用となってしまったのでしょうか。ここ一年くらい購入したこのレーベルの数枚はいずれも激安でした。ありがたいことに。)

 1999年に亡くなったメニューインは、20世紀に名を残すべき、評価の高いヴァイオリニストでした。最近、若い頃の録音も含めてCD復刻も進んでいます。人気もあったのでしょう。テクニックのみ、といった凡百のヴァイオリニストとは一線を画しますが、技術の衰えとクセがありすぎて、彼のヴァイオリンは好きではありません。

 教育者として、また、晩年は指揮者としての活動も盛んでした。LP時代、セラフィム1000シリーズでバッハが既に出ていた記憶(未聴)がありますし、シューベルトの交響曲全集(2種類有、未聴)、ベートーヴェンの全集(何曲かは複数の録音が存在)など、格安でCD化されています。

 このMozart は安かったのと、ローザンヌ室内管、シンフォニア・ヴァルソヴィア等など、ふだんなかなか聴けない室内オーケストラが楽しみで買ったもの。「指揮者メニューインのファンだ」というひとは滅多にいないはず。(いわゆるひとつの、その、ワタシ流マイナー好みでして。ま、ファンでもないですけど)

 嬉遊曲は、誰でも知っているモーツァルト初期、天衣無縫の名曲。この曲は、思いっきり弾むようにいきいきと演奏して欲しいもの。やや線が細く、すっきりと素直な味わいです。真面目で、地味目で繊細さが際だちます。各楽章のラストをふわっとテンポを落とすのが、この人のクセ。メヌエットの真摯な歌に聴き惚れますね。

 「セレナータ・ノットゥルナ」は有名な曲だけど、この曲を手応えたしかに聴かせるのは意外とむずかしい。
 ずいぶんゆったりとしたテンポで、ここでは優雅な演奏。ヴァイオリン・ソロもロマンティックでしっとり(メニューインではないはず)、古楽器全盛期の今風ではありませんが、それなりの個性があって悪くない。

 「ポストホルン」は、ワタシはオーボエとフルートがキモだと思うのです。弦のアンサンブルも含めて、このオーケストラは音色が地味ですね。でも、ロンドの木管の掛け合いなど、個性的ではないけれどほんとうに親密で、楽しげ。

 この曲はなんか不思議にまとまりが悪く(もともと続けて聴く曲じゃいないのかな)アンダンテは深刻で、暗い雰囲気たっぷり。(演奏のせいも有)次のノーテンキなメヌエットとは相当な違和感。ポストホルンは「あ、出たか」という程度で、上手いもんです。(「そり遊び」もポストホルンでしたっけね。ヨーロッパの伝統を知らないので、ポストホルンってどういう歴史的意味あいがあるんでしょうか。どなたか教えて下さい)

 行進曲は申し分ない楽しさの2曲。

 全体として、誠実な演奏と思います。弦の出身者だけあってアンサンブルもまとめ方もなかなか。だけど、豪快な骨太さとか、流れの良さには少々欠けがち。やや個性不足。モーツァルトらしい弾むようなリズム感も少々不足気味。短い曲はともかく、「ポストホルン」のような曲では全体のつながりというか、見通しはイマイチ。その辺が、指揮者としてのキャリア不足から来ているものなのでしょうか。

 録音は新しいものなので、心配いりません。あまり指揮者としては話題にもなったことがないので、ワタシは養護(というか紹介程度ですけど)しておきます。
ところでベートーヴェンの全集は5枚で1,800円でしたので、迷わず買いました。(1999年前半。IMPレーベル。シンフォニア・ヴァルソヴィアとのライヴ。バークシャー・レコード・アウトレットでは手に入るはず)


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written by wabisuke hayashi