Mozart 交響曲第40番ト短調K550/第41番ハ長調K551「ジュピター」
(ユーディ・メニューイン/シンフォニア・ヴァルソヴィア)
Mozart
交響曲第40番ト短調K550
交響曲第41番ハ長調K551「ジュピター」
ユーディ・メニューイン/シンフォニア・ヴァルソヴィア(1990年録音)
VIRGIN 7243 5 61679 2 7 5枚組2,500円で購入したうちの一枚
イギリス・グラモフォン誌で、この曲のベスト演奏と讃えられたCD。〜ホンマかいな。ありがたがっちゃダメですよ。ちゃんと自分の耳で確かめないと。だいたいグラモフォン誌は「イギリスの演奏こそ最高」という前提があるし、ま、どんな本で推薦されたものも、自分の好みに合うとは限りませんし。
このシンフォニア・ヴァルソヴィアというオーケストラ、そんなに美しい響きではない。少々濁り気味だし、カタい感じ。小編成で、そう「鳴り」が良いともいえません。但し、誠実で一生懸命な味わいを感じるのはメニューインならではでしょうか。だいたい、これほどの有名曲で万人を納得させるのはなかなか難しいもの。
ト短調交響曲は、追われているような落ち着きのなさで始められました。テンポは早い。それはそれとしての、必然性を感じさせるほどの個性でもありません。(フルトヴェングラーを思い起こせ〜好き嫌いは別として)細部の仕上げも甘い。間の取り方に、落ち着きを感じない。
アンダンテはリズムがキリリとしていて、悪くありません。テンポの揺れはほとんどなし。悲劇的なメヌエットもテンポは早めで、緊張感がありました。なにかほかに特別な個性と魅力があるかというと、ちょっと厳しい感じ。終楽章は繊細な味わいもあって、中庸でバランスのとれた演奏となりました。 ●
ジュピターは、要所要所の「キメ」が力強い。第1楽章は、ややリキみもあって、大きさを表現しようとしてるのかも知れないが、雑然とした印象でした。勢いはあるが、オーケストラは洗練されない。第2楽章は、淡々としたイン・テンポぶりが、かえって印象深く、成功しています。優雅な第3楽章「メヌエット」も、やや早めでサラリとした流れは自然でした。途中の意識的な大きな休止はそれほど効果的ではない。
フィナーレは早めのテンポで、リムズ感もあり、流れも良いがスケールには欠けます。アンサンブルも甘い。全体としてト短調交響曲より完成度が低いでしょうか。第1楽章提示部、最終楽章も繰り返してくれるのはワタシ好みでした。
この曲には、ジュリーニのとことん歌心とか、クリップスのような極限のやさしさが懐かしい。アマチュアのような誠実さがあって、嫌いな演奏ではないが、「ベスト演奏」にはほど遠いかも知れません。この人類が誇るべき名曲には、多彩なるライヴァル録音が存在します。音質は、まるでライヴのような粗さも感じました。(2001年8月15日)
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